『返校 言葉が消えた日』が称賛された理由とは―― <後編>年代別!映画から台湾の歴史を知る
『若葉のころ』が描く80年代
台湾の1980年代と言えば、戒厳令が解除され民主化が始まる。この大きな転換期を迎える中で、人々の暮らしや価値観にも変化が訪れ、台湾アイデンティティの発芽の時期と言える。台湾映画ではこの1980年代が描かれる作品が多く、現代と当時が交錯し少女とその母の青春模様がドラマチックに綴られているのが『若葉のころ』だ。
30年前に書いてそのままになっていた母の手紙を見つけた娘は、自分と同じ17才だった頃の切々と綴られる思いに動かされ、その手紙を投函する……。
ここから始まる2つの時代の青春、二世代のヒロインを1人で演じるルゥルゥ・チェン(程予希)が、その瑞々しさ、少女のあやうさを見事に表現している。 そして、80年代のヒロインと恋をする役がシー・チーティエン(石知田)。真っ直ぐでやや自信家の負けず嫌いな高校生役がぴったりで、鋭い眼力が焼き付いている。これまた制服・丸坊主のりりしさにノックアウトされた。
民主化が近い時代の想い出と現代を重ね合わせて中年世代は甘酸っぱい気持ちになり、若い世代もまた歴史の中に普遍的な初恋の思いを感じることができるのが本作だ。
◆『若葉のころ』予告編 シネマトゥデイチャンネル
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