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『返校 言葉が消えた日』が称賛された理由とは―― <前編>『返校』が巻き起こしたこと

Cinem@rtでは2か月連続で映画を特集中! 7月のテーマは「台湾映画」! 今年、日本では6月~8月に多くの新作台湾映画が公開に。まさに台湾映画を味わうべき今年の夏、新作映画を切り口に台湾映画を楽しむコラムやインタビューをお届けします。

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『返校 言葉が消えた日』いよいよ7月30日より公開!

いよいよ『返校 言葉が消えた日』が公開になる。コロナ渦で予定の時期から延びてしまったが、この夏の台湾映画公開ラッシュの一翼を担う話題作だ。

人気ゲーム「返校 -Detention-」を映画化した、台湾でも数少ない白色テロ(※1)を大きく扱った作品で、興行収入2.59億台湾ドルを叩き出し2019年の一番のメガヒット、歴代興行成績は12位となった。

金馬奨でも新人監督賞、脚色賞、視覚効果賞、美術賞、オリジナル楽曲賞を獲得。さらに翌年の台北電影節では最高賞の百萬元大賞と長編劇映画賞、ワン・ジン(王淨)の主演女優賞、美術賞、音声賞、視覚効果賞の6部門を受賞した。
  


『返校 言葉が消えた日』 ワン・ジン
©1 Production Film Co. ALL RIGHTS RESERVED.

※1:白色テロ 1947年から1987年の戒厳令下における、国民党政府が反体制派に対して行った政治的弾圧。主に台湾の知識人や社会的エリート約14万人が投獄され、うち3〜4千人が処刑されたと言われる。


もととなったゲームはホラーアドベンチャーだが、映画版はホラーというよりファンタジー・サスペンスと言った方が良いだろう。日本公開にあたり、公式はダーク・ミステリーとされている。

戒厳令下の台湾で、ある高校の一部の教師と生徒が禁じられている自由と民主に関わる読書会を行っていたが、それが密告により悲惨な事態を引き起こすという物語。

監督は、これが初の長編となるジョン・スー(徐漢強)。2005年のドラマアワード金鐘奨でミニドラマ監督賞を受賞、金鐘奨史上最年少の監督として注目された。その後数々の短編を作り、初の長編映画『返校 言葉が消えた日』でその地位を決定的にし、2020年の金馬奨ではPRムービーの監督を任されるという、一躍台湾映画界期待の監督となった。

◆『返校 言葉が消えた日』本予告 株式会社ツインチャンネル


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