『返校 言葉が消えた日』が称賛された理由とは―― <前編>『返校』が巻き起こしたこと
『返校 言葉が消えた日』で自分たちの歴史を知る
金馬影展(金馬映画祭)のQ&Aでは、エグゼクティブプロデューサーのリー・リエ(李烈)が、クランクインした当時は製作費の半分しか資金が集まっていなかったことを明らかにした。プロデューサーとして本作のGOサインを出すのは、かなり勇気の要った決断だったようだ。結果、台湾映画史上貴重な1ページを記すことになるのだから、リー・リエの英断と共に時代の後押しもあったのではないだろうか。
ヒットの要因は色々報道されているが、単に人気ゲームの映画化というだけでなく、台湾の歴史の暗部が描かれていることにより、この時代を知らない若い世代が口コミで映画館へ足を運んだということが大きい。
自分たちの歴史を知ることの重要性、そして今の台湾の民主と自由は決して誰かから与えられたものではなく、多くの犠牲と流された血によって自分たちが勝ち取ったものであることを、この映画で再確認したのだ。
もちろんエンターテインメントとして楽しめる作品になっていることも、間違いない。
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