韓国映画特集
【インタビュー】クロックワークス・細川由香理さん 良いものは良い!韓国映画を日本に届けるひと(2)
良いものは伝わる
― そういった垣根がひとつなくなったところで、これから日本での韓国映画の人気はどうなっていくと思いますか?
細川:より一層「良いものは良い!」と映画作品の選択肢の1つとして捉えられていくんじゃないかなと思います。ただジャンルありき俳優ありきではなく、良い作品であればどんどん可能性が広がっていく。
若い世代にもK-POPやコスメなど韓国カルチャーが流行っていますが、垣根のハードルがない今の若い世代にこそ、映画やドラマなどの映像コンテンツにもっと興味を持ってもらい、様々な世代での広がりが出ていってくれるといいなと思っています。それは私たちの使命でもありますし、願いも込めて。
― 細川さんは買い付ける韓国映画を選定する際に大切にされていることはありますか?
細川:韓国映画だけではないのですが、クロックワークスには「良い作品はやろう」という指針があって。かつ、熱意を大切にしています。社内で1人でもその作品に惚れ込んでいる人がいれば、その声に耳を傾け、その熱意を後押ししようというチームワークがあります。
― 買い付け担当者の感性に信頼が寄せられているということですね。
細川:そうですね。買付担当それぞれに得意な国やジャンルがあるので「この人が言うなら」と思える関係性はあるのかもしれません。内容でもキャストでも、熱意をもって「良い!」と思えることが、作品購入の大きな指針になっています。
― 細川さんご自身で決めているルールはありますか?
細川:何度も言ってしまうのですが「良いものは良い」ということですかね。それが私にとってはエンドロールで感情の波が最高潮に達するというのも1つの指針かもしれません。その高揚感とともに思わず拍手したり、誰かに話したくなるような。
最初にお話しした『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』や『エクストリーム・ジョブ』もそうでした。映画館で映画を観ていて凄い作品と出合うとエンドロールが始まってもすぐには立ち上がれないじゃないですか。最後までずっと心が湧き続けている。そういうものを感じられると、私は日本で紹介したいという熱意にかられます。
― 長く業界にいると自分の感覚が普通からズレていくのではという不安はありませんか?
細川:あぁわかります。でも、結局は自分を信じるしかありません。観てくださる方のことを考えつつも、まずは自分が面白いと思えなければ、伝わるものも伝わらなくなってしまうので。
― 先ほど、作品に惚れ込んでいる人の声に耳を傾けるという話がありましたが、それは実感を伴った本当の言葉だからなんでしょうね。
細川:そうですね、作品をプレゼンしながらそれぞれ「この作品はこんなところがいい!」と出来立てほやほやの鑑賞後感と共に話すんです。映画好きが集まる業界ですし、フットワークは軽い社風だと思いますね。
売り出し方に絶対的な法則はありませんが、良いものは伝わるということは核としてあると思っています。
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