ユン・ジョンビン監督

大学の卒業制作『許されざるもの』（2005、主演は無名時代のハ・ジョンウ）が釜山国際映画祭で受賞し、カンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭にも出品され注目される。軍隊という特殊な空間を舞台に、韓国で兵役につく若者が誰でも体験する不条理を描いた。韓国の「軍隊文化」を知るうえでも一見の価値あり。

 商業映画デビュー後は『悪いやつら』（2011）、『群盗』（2013）、『工作　黒金星（ブラック・ヴィーナス）と呼ばれた男』（2017）とヒットを連発。緊張感のあるストーリーとアクションを得意とする。 

リュ・スンワン監督

 アクション映画といえばこの人。長らくジャンル映画が不毛だった韓国では異色の存在だ。

 弟は個性派俳優リュ・スンボム。自身も俳優として、自作や他の監督の映画にときどき顔を出している。映画界を志したきっかけは、幼少期に見た香港アクション映画。自腹を切って製作した『ダイ・バッド〜死ぬか、もしくは悪（ワル）になるか〜』（2000）がインディペンデント界で旋風を巻き起こす。

 大成功した『生き残るための三つの取引』（2010）や『ベテラン』（2014）もいいが、ジャンル映画ファンには『史上最強スパイ　Mr.タチマワリ！ 爆笑世界珍道中』（2007）を勧めたい。この映画、興行にこそ失敗したが、原題の『タチマワLee－悪人よ、地獄行き急行列車に乗れ！』からも垣間見える奇想天外な世界観に仰天必至だ。

Text:芳賀　恵

札幌市在住。1990年代に韓国映画に魅せられ2002年に渡韓。ソウル滞在中はメディア企業勤務のかたわら、ドラマの字幕翻訳や取材コーディネートを手掛ける。帰国後はライターとして韓国映画の取材を続け、翻訳・通訳、大学講師も務める。

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