―　主役の法学医・周建⽣にウー・カンレン（吳慷仁）さんを起用した理由を教えてください。

最初、活躍している30代の俳優の何人かに出演を打診し、最終的にウー・カンレンさんに決めました。彼とは元々知り合いで、彼の出演作も知っていました。

彼はとても真面目な俳優ですし、僕は真面目な俳優と一緒に仕事をするのが好きなんです。その上、彼は自分の考えやアイデアをいっぱい持っていて、提案してくれます。それは彼が想像力と創造力を持っていることの証です。監督と俳優の間で起きる柔軟で活発なコミュニケーションは、作品にもキャラクターにもいいことだと思います。

私は、演技はコミュニケーションによって生まれるべきで、俳優が監督の指示のまま演じるのは時代に合わないと考えています。だからウー・カンレンさんの真面目なところ、想像力と創造力があるところが、彼を起用した一番大きな理由です。

―　ウー・カンレンさんが「監督からの厳しい要求にもプロ精神で応えた」と仰っていましたが、監督はウー・カンレンさんにどのような厳しい要求をされたのでしょうか？　また、ウー・カンレンさんとのやりとりで印象に残っていることがあれば教えてください。

私は自分が厳しいとは思わなかったけど、厳しかったかな？（笑）　私には演出の際にこだわりがあって。自分が「違う」と思ったらそのままにせずに、納得できるレベルに到達するまで諦めません。もしかしたら、厳しいと感じたのはこれが理由かもしれませんね。

でも、ウー・カンレンさんも自分自身に対してすごく厳しい人なんですよ。例えば、さっき話したラストシーン。実は撮影に2日かかっているんです。1日目、現場の環境もウー・カンレンさんのコンディションもどこか違っていて。日が暮れるまで撮影しましたが、私も彼も納得がいかず。それでもう一回撮影しようと決め、次の日の朝、再度このシーンを撮影しなおしました。その時撮影したカットが、映画のラストシーンになりました。


―　ウー・カンレンさん以外にも、強く印象に残っている俳優はいらっしゃいますか？

ヤオ・イーティー（姚以緹） さんですね。彼女とは知り合いではなく、一緒に仕事をしたこともありませんでした。知り合いの紹介で、オーディションの後に起用を決めました。

彼女もとても真面目でポテンシャルがあり、エネルギッシュな俳優です。見た目からはそんなエネルギッシュには見えないけど、一緒に仕事をしているとわかります。彼女の中にスイッチがあり、そのスイッチを押すとポテンシャルとエネルギーが爆発するんです。

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