【インタビュー】『HIGH FLASH 引⽕点』ジャン・ジンシェン監督 "もし光っているのが人間の臓器だったら?"
美しい島“台湾”の環境問題を深くえぐる社会派ミステリー『HIGH FLASH 引⽕点』のDVDが本日10月6日(水)に発売! 本作を手掛けたジャン・ジンシェン(莊景燊)監督にお話しを聞きました。
― 『HIGH FLASH 引⽕点』の着想はどこからだったのでしょうか?
この作品を作ろうとしたきっかけは、妻である脚本家ワン・リーウェン(王莉雯)さんがインターネットニュースで見つけてきた一枚の写真です。
その写真は中国で撮られたものでした。女性が市場で豚肉を買いテーブルに置いておくと、夜その豚肉が発光していた。写真は、その光る豚肉を撮影したものでした。その写真を見て驚きましたね。明らかにこの豚肉は何かに汚染されていました。
環境問題は中国に限らず全世界の問題であり、台湾でも似たようなことが起こっています。私たちは、もしこのような事件が台湾で起きて、もし光っているのが豚肉ではなく人間の臓器だったらどうなるのか?と考えました。 最初のアイデアはこの写真から生まれました。
― 事前にどのようなフィールドワークを行いましたか? 印象に残っているエピソードはありますか?
実はこの映画には、前身となる短編映画があるんです。『阿海』という妻の大学院の卒業制作です。この作品の準備のために、台湾の環境問題に関する資料をたくさん読みました。この文献調査もフィールドワークのひとつです。
具体的な行動としては、台湾中部や南部にある環境汚染された地域に行きました。例えば、雲林県の麦寮郷で10日間滞在し、私たちは警察でも調査員でもないので何か調査できるわけではないけれど、その地域の雰囲気を感じ空気の匂いを嗅ぎました。麦寮郷に行ったことがある人はわかると思いますが、嫌な匂いがするんです。その地域にあるプラスチック工場の近くでぶらぶらしたり、ホテルでその日感じたことを書いたり、脚本づくりについて話をしました。
また、私たちは専門家や学者の話も聞きに行きました。環境問題に精通できたとは言えませんが、ここ10年間の台湾の環境事件をだいたい把握しました。もちろん映画では主人公2人に焦点を当てるので、そこまで詳しくは描けませんが、こういった資料は物語に厚みを与えてくれます。
― 本作には印象的なシーンが多数登場しますが、監督ご自身が特に好きなシーンはどこですか?
特に好きなシーンはラストシーンです。主人公の周建生の感情があふれ出していく、その姿に感動しました。
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