【インタビュー】『映画 真・三國無双』音楽制作担当 波多野裕介氏 “登場人物たちの戦いと一緒に演奏しているという迫力を出したかった”
爆発的人気のアクションゲームを実写化した「映画 真・三國無双」がシネマート新宿およびシネマート心斎橋にて開催中の「のむコレ‘21」にて上映、先日どの回も大好評のまま上映が終了。そして本日、本作のBlu-ray&DVDリリースが発表となりました!
この度、本作の音楽を担当した香港在住の日本人作曲家、波多野裕介さんにお話を伺いました。
波多野裕介さん
― 今回、『映画 真・三國無双』の音楽を担当されることになったいきさつを教えてください。
波多野裕介さん(以下、波多野) 『映画 真・三國無双』のロイ・チョウ監督との出会いは、2019年の『The Great Detective』(日本未公開)でした。もともと作曲を担当していた方はいらっしゃったんですが、事情によりできなくなってしまったとのことで、急遽代わりの作曲家を探していたところに紹介されたのがきっかけです。
『The Great Detective』は1900年初頭の中国を舞台にしたファンタジー映画だったので、サントラも1900年代の音楽を作ってほしいというリクエストでした。締め切りまで1ヵ月ちょっとしかなかったんですが、当時僕はホテルのラウンジでいろいろな年代の音楽を演奏したり、即興でアレンジしたりという仕事をしていたので、すぐに取り掛かれて間に合わせることができたんです。それを監督が気に入ってくれて、『映画 真・三國無双』の音楽も任せてもらえることになりました。
― 『映画 真・三國無双』は日本で大人気のゲームを実写化した映画です。波多野さんもゲームのファンだとお聞きしていますが、音楽制作を任されたときのお気持ちはいかがでしたか?
波多野 「真・三國無双」は音楽もとても印象的なので、「大先輩たちが作ってこられた素晴らしいサウンドを汚してはいけない」と、正直荷が重いという気持ちもありました(笑)。でもせっかくこのような大きな仕事を任されたわけですから、チャンスを逃さないよう、しっかり頑張ろうという気持ちに切り替えました。
― 確かにゲームファンのなかには、あの特徴的な音楽が好きだという人も多いです。ゲームのイメージが強い音楽を映画のサントラとして作るうえで、工夫した点があれば教えてください。
波多野 まず、音楽がどのようなデバイスから流れるのか、ということを意識しました。ゲームの場合はテレビやスマホなどで聞きますが、映画館の場合は大きなスピーカーから流れます。映像が映る画面も大きいですから、それに見合うくらいの迫力のある音圧や音量を意識して作りました。
また、「真・三國無双」の音楽というと、デュアルギターのカッコいいロックサウンドが特徴的です。そのロックの音楽をどう映画に取り入れるかということも課題でした。ゲーム音楽では5~6人編成のバンドサイズの音でも十分迫力は出せますが、それをそのまま映画館の大きなスピーカーから大音量で流すと、音量は大きくなってもエネルギー量や音圧が迫力のある映像に負けてしまうと思ったんです。
それを解決するために自分なりに考えたのが、ドラムの音の下にティンパニやパーカッションを足したり、何十人という弦楽器の音を重ねたりという方法でした。登場人物たちの戦いと一緒に演奏しているという迫力を出したかったんです。
<次のページ:『映画 真・三國無双』に込めたこだわり>
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