ビギナー向け!香港映画入門 <後編>アクション映画だけじゃない!多彩な香港映画の沼へようこそ
<前編:ブルース・リーからジャッキー・チェン…まずはアクション映画から! はこちら>
※下線の付いている作品は「おうちで Cinem@rt -いつでも・どこでも- 」で配信中!
コメディ映画もキョンシー映画もアクション抜きに語れない
香港映画=アクションというイメージに負けずおとらず、香港映画=コメディと連想する人も実は多いのではないだろうか。
なぜならジャッキー・チェン(成龍)やサモ・ハン(洪金寶)らの作品は総じてコメディ仕立てだったし、70年代から80年代にかけては『Mr.BOO!』シリーズや『霊幻道士』シリーズも日本でも大いにヒットした。あるいは、もっと若い層ならチャウ・シンチー(周星馳)の『少林サッカー』(01)や『カンフーハッスル』(04)で香港コメディに開眼した人もいるだろう。
要するに香港映画はアクションとコメディの親和性がとても高いのだ。ブラックユーモアやシリアスホラーより、バナナの皮ですべって転ぶレベルのギャグを全力で展開するエンタメ志向。コメディでもホラーでもアクションをしっかり盛り込んでくるサービス精神が香港映画のキモである。
『Mr.BOO!ミスター・ブー』(76)『Mr.BOO!インベーダー作戦』(78)『新Mr.BOO!アヒルの警備保障』(81)など一連の『Mr.BOO!』ものは、監督・主演のマイケル・ホイ(許冠文)を筆頭に弟のサミュエル・ホイ(許冠傑)とリッキー・ホイ(許冠英)のホイ3兄弟が渾身のドタバタギャグで笑わせる大ヒットシリーズ。シリーズといっても独立した作品群で、どれから見てもかまわない。
ちなみにミスター・ブーというのは邦題独自の名称で、なにがどうブーなのかわからないが、マイケル・ホイ本人も気に入って認めたという後日談がある。
『霊幻道士』(85)に始まる一連のシリーズもそれぞれ一話完結で、中華版ゾンビであるキョンシーが出現し、道士(日本でいえば陰陽師)が法術を駆使してこれを倒すというのが基本設定。
主演のラム・チェンイン(林正英)はユニークな風体と本格的アクションで人気を博し、道士さまといえばラム・チェンインのイメージを確立した。惜しくも40代で病没したが、キョンシー映画以外にも『七小福』(88)など数多くの出演作がある。
90年代。香港のコメディ映画はチャウ・シンチー(周星馳)の登場によって新たなフェーズに突入した。
唯一無二のギャグセンスと、ブルース・リーおたくとして筋金入りの身体能力をそなえたチャウ・シンチーは、『ゴッド・ギャンブラーII』(91)『ロイヤル・トランプ』2部作(いずれも92)『008 皇帝ミッション』(96)など快進撃を続け、監督・主演を兼ねた『少林サッカー』と『カンフーハッスル』でキャリアの頂点をきわめた。
<次のページ:これぞ明星(スター)! チョウ・ユンファ、四大天王、輝ける女優たち、そしてレスリー・チャン>
記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!
Twitter
Facebook