ビギナー向け!香港映画入門 <前編>ブルース・リーからジャッキー・チェン…まずはアクション映画から!
香港映画といえば、アクションである。
こう書くと「いやいや、アクションばかりじゃないから!」という声があちこちから飛んできそうだが、それを分かっている方たちはすでに十分香港映画ツウ。
「え、香港映画が好きなの? ブルース・リー(李小龍)とかジャッキー・チェン(成龍)とか?」と言われ続けて幾星霜、彼らの知名度と影響力はやはり別格だ。なので入門編としてはやはりアクションから話を始めよう。
ひとくちにアクション映画といっても多種多様。その中で香港映画=アクションのイメージを確立したのがカンフー映画である。カンフーは中国語で「功夫」と書き、読み方はゴンフーとかグンフーに近い。ただ、カンフーという呼称がほぼ定着しているので本稿もそれにならうこととする。
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ブルース・リーからジャッキー・チェン、ジェット・リー、そしてドニー・イェンへ
するどい叫び声とともに相手を一撃で倒す、誰も見たことのないリアルなアクション。『燃えよドラゴン』(73)で世界を熱狂させたとき、すでに彼はこの世にいなかった。
その衝撃もあいまって神話的存在となったブルース・リー(李小龍)は、先行する『ドラゴン危機一発』(71)『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)『ドラゴンへの道』(72)もすべてが代表作といっていいが、それでもひとつ選ぶとしたら悲壮感あふれる燃えドラに一票を投じたい。
ブルース・リーの急逝でうちひしがれた香港映画界を、ブルース・リーとは真逆のコメディ・カンフーで救ったのがジャッキー・チェン(成龍)である。
『スネーキーモンキー 蛇拳』(78)『ドランクモンキー 酔拳』(78)で人気爆発したジャッキーは、70年代にはカンフー映画を中心に、80年代に入ると現代アクションにシフトして市場を席巻。『プロジェクトA』(83)『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(85)『奇蹟 ミラクル』(89)『レッド・ブロンクス』(95)などなど、命がいくつあっても足りないような超人的スタントで一時代を築いた。
同じころジャッキーとともにアクション映画界に君臨したのがサモ・ハン・キンポー(サモ・ハン/洪金寶)とユン・ピョウ(元彪)だ。
三者そろいぶみの『プロジェクトA』『五福星』(83)『スパルタンX』(84)、サモ・ハン主演の『燃えよデブゴン』 (78)シリーズ(本当はシリーズではなく邦題にデブゴンを冠してナンバーをつけた一連の作品群)、ユン・ピョウ主演の『モンキーフィスト/猿拳』(79)『ユン・ピョウINドラ息子カンフー』(81)をはじめ、京劇学校できたえられた彼らのアクロバティックなアクションは何度見ても驚かされるし、ワクワクさせられる。
香港にジャッキーあれば、中国にジェット・リー(李連杰)あり。『少林寺』(82)で国内外に少林寺ブームを巻き起こした中国武術界の至宝は、90年代には香港を拠点に『スウォーズマン/女神伝説の章』(92)など武侠映画(チャンバラ時代劇)を中心に第二の黄金期を迎えた。
とりわけ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明』(91)に始まるワンチャイシリーズは当たり役となり、シリーズ2作目の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱』(92)ではドニー・イェン(甄子丹)演じる悪役と対決。今や国際的スターのドニー・イェンにとっても、この映画はキャリアの大きな転換点となった。
カンフー映画でデビューしたドニー・イェン(甄子丹)は、『クライム・キーパー 香港捜査官』(89)など現代アクションを経て上記のワンチャイ第2弾でブレイク。
パワフルでマッハなアクションはブルース・リーの再来といわれ、同シリーズのスピンオフ作品『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアン・モンキー』(93)から近年の『SPL/狼よ静かに死ね』(05)『孫文の義士団』(09)『捜査官X』(11)『カンフー・ジャングル』(14)まで見るべき作品は数多い。中でも『イップ・マン 序章』(08)に始まる『イップ・マン』シリーズ全4作は代表作中の代表作である。
また、ドニーつながりで『SPL/狼よ静かに死ね』のウー・ジン(呉京)や『イップ・マン 継承』(15)のマックス・チャン(張晋)のかっこよさに目覚めた人には、両者が共演の『ドラゴン×マッハ!』(15)、マックス・チャン主演の『イップ・マン外伝 マスターZ』(18)もおすすめだ。
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