【いま聴きたい音楽アーティスト20】後編:台湾らしい魅力にあふれるアーティストたち
台湾原住民音楽&これから期待のアーティスト
それからもうひとつ、台湾音楽になくてはならないもの、それは原住民音楽です。
アミ族のシンガーであるスミン(舒米恩)は、のびやかな歌声と癒しの笑顔で日本の観客も魅了してきた人気者。楽曲は親しみやすく、一緒に歌い踊りたくなるような曲から、映画『太陽の子』の主題歌「不要放棄」(第52回金馬奨最優秀映画オリジナル主題歌賞受賞)など感動的な曲までバラエティ豊か。2019年にリリースされた「下巴」は、原住民音楽に電子音をあわせ、軽やかな出だしから壮大な展開となる楽曲になっています。
◆スミン(舒米恩)「下巴」MV(米大創意 Mita Idea)
◆スミン(舒米恩)「不要放棄Aka pisawad」阿美族語版。台湾映画『太陽の子』主題歌(一期一會影像製作)
台湾の歌姫・アーメイ(阿妹)が発掘したバンド、Boxing樂團のボーカル、kasiwa(葛西瓦)の活躍も見逃せません。パイワン族の彼が歌うパイワン語のラップ「Maya maluqem 別退縮」は強烈なインパクトがあります。また、他のアーティストとのコラボでも魅力的な音楽を聴かせるkasiwa。同じパイワン族のミュージシャン、Matzka(瑪斯卡)とコラボした「好好走」は南国の雰囲気あふれる名曲です。
◆kasiwa(葛西瓦)feat. Matzka(瑪斯卡)「好好走」MV(聲動娛樂 Mei Entertainment)
さて、ここでひとつ、応援したいバンドを。
日本と台湾で活躍できるスターを目指して、オーディションで選ばれデビューしたボーイズバンドのnoovy。台湾メジャーデビューから4年がたち、かわいかった彼らもすっかりバンドとして成長していました。その成長ぶりは「七加幣 Don't Look Back」でお確かめください。現在メンバーは1月より4ヶ月間の兵役中。除隊後の4人にますます期待が高まりますね!
◆noovy 「七加幣 Don't Look Back」MV(noovy)
そして最後に、台湾の人気Youtuber5人が独特のパフォーマンスを発信している、興味深いバンドをご紹介します。
その名はSeven Fat(七月半)。ムード歌謡のような「林森北路」のMVでは、台湾で活躍する日本人女優の田中千絵が着物姿でバーのママをしっとりと演じ、昨年リリースしたアルバムのタイトルは「夜露思苦」(よろしく)! そこここに台湾人による日本のイメージ(?)が垣間見えるような作品、ノリよく楽しめる曲をリリースしています。
◆Seven Fat(七月半)「林森北路」MV。MVの主演は田中千絵さんとチェン・ヨウジエ(鄭有傑)監督が務めている(七月半SevenFat )
台湾には他にもたくさんのステキなアーティストがいます。今回ご紹介したアーティストのMVを見ると、他のアーティストのMVが横に出たり、彼らが他のアーティストとコラボしていたりもします。そんな風に広がっていく出会いをきっかけに、めくるめく台湾音楽の世界へ足を踏み入れてみてください!
熊坂多恵(編集者・ライター)
映画雑誌の編集を経て、アジアのエンタメを紹介するムック本の編集や執筆に参加。07年からライブや映画を見るため、おいしいものを食べるために台湾へ通う。好きな場所は大安森林公園と全聯(スーパーマーケット)。いつでも食べたいのは炒米粉と芋圓。
Edited:小俣悦子(フリーランス編集・ライター)
記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!
Twitter
Facebook