韓国映画特集
【インタビュー】クロックワークス・細川由香理さん 良いものは良い!韓国映画を日本に届けるひと(1)
作品の力が伝わり広がっていった『タクシー運転手』
― 韓国映画に携わるようになって、何年ぐらいですか?
細川:もう7年、8年ぐらいでしょうか。
― 現在、数多くの韓国映画を配給しているクロックワークスですが、韓国作品が増えたのは細川さんが韓国映画に携われるようになってから、という印象があって。
細川:もともと『カル』や『ラブストーリー』など何作品かは配給していたのですが、韓国映画ということを意図していたわけではなく、今も変わらないスタンスに通じるところですが、良い作品だったからという理由が大きいと思います。
私が韓国を担当し始めた頃は韓流ドラマブームの勢いが続いていた時期だったため、主にドラマ作品の買付からスタートしたんです。
そのうちドラマの買付価格が高騰しはじめたこともあり、クロックワークスの原点である映画ももっとやっていこうと切り替えることになりました。そこからキャスト情報など、いろいろな視点での韓国映画の買付・配給が増え始めましたね。
※『カル』(チャン・ユニョン監督、1999年、118分)
韓国でタブー視されていた猟奇殺人モノに挑み驚異的大ヒットとなったスリラー映画。出演はハン・ソッキュ、シム・ウナほか。
― 今まで数多くの作品を担当されてきたかと思いますが、強く印象に残っている作品はありますか?
細川:最近の作品にはなりますが、『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』ですね。あの作品を観たとき「これは多くの方に観て頂きたい」と思いました。
日本での展開プランについては社内で意見が分かれたりもしたのですが、多くの方にという思いに賛同してもらい、シネマートさんを皮切りに全国で公開する運びとなりました。
韓国作品はキャストも重要な作品選定のポイントになりますが、決してアイドルのようなイケメン俳優が出ているわけではないけれど、韓国映画界を代表する演技力を兼ね備えたベテラン俳優と時代の痛みを扱う実在事件という社会派なメッセージが見事融合され、まさに作品の力が伝わり、受け入れられ、広がっていったという点でも印象に残っています。
― 私、この映画を観て光州事件を知りました。
細川:日本人にとってあまり馴染みのなかった事件ですよね。公開前はそういう点で不安に思うところもありましたが、いざ公開してみると光州事件を通して描かれた政治に対するフラストレーションや、何かを変えるためには自分も一歩動かなきゃいけないという作品の根底としてのメッセージが今の日本が置かれている状況や人々が抱えている思いと重なり、共感された方が多くて。そういう意味でもとても意義のある作品でした。
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