【連載:中国の歴史・文化からひも解く「山河令」 】最終回 衣装の「色」が表す意味
この連載では、知っていると「山河令」をより深く理解できる、中国の歴史・文化をご紹介します。
最終回 衣装の「色」が表す意味
「山河令」は衣装、美術、小道具などが生み出している映像美も見どころの一つ。最終回は衣装の色に注目していきたいと思います。
中国では赤色&青色の組み合わせはペアとなる色と考えられ、二次元の作品などでもカップルを示す配色としてよく使われています。そのため「山河令」のメインビジュアルも温客行が赤色、周子舒が青色の服を着ています。
また、赤色&白色の組み合わせは、中国古来の伝統では吉凶の配色。赤色が婚礼の色で、白色が葬儀の色です。例えば「山河令」でも喜喪鬼のビジュアルが赤色の服、白色の髪という対比になっているのは、婚礼と葬儀を表しているといえます。
一方で、武侠ドラマにおける赤色&白色の対比は、赤色が強さを、白色が清廉潔白さを表し、悪役 VS. 善玉を象徴することが多いです。そのため、真っ赤な衣装の敵は「最強のラスボス」で、全身が白い「白衣の若様」は正義の味方というのが定番。「山河令」では、温客行が鬼谷の谷主という身分でいる時は赤い衣装で登場し、名前の通り白衣姿の葉白衣は、鬼谷を滅ぼす使命を負った正義の味方という役回りです。
また、「山河令」において衣装の色は感情の変化を表す上でも効果的に使われています。周子舒は天窗にいた頃は暗い色の服を着ていますが、旅を始めてからは青系の服となり、その色も少しずつ明るく変化していきます。また、温客行は前半は竹の葉の刺繍をあしらった緑系の服を身につけていることが多いですが、周子舒との仲が深まっていくと楓の葉が刺繍されたピンク系の服を着ています。ちなみに、「無心紫煞」という名前から最初は紫色の服が多い顧湘も、曹蔚寧と恋をしていく過程でピンク系へと変化していきます。
なお、顧湘が婚礼で緑色の花嫁衣装を着ているのも印象的ですが、これは唐から宋の時代にかけての文化。正室として嫁ぐ花嫁は緑色を、側室は赤色を着る、あるいは自分より身分の高い男性に嫁ぐ花嫁は緑色を着るという習慣があったそうです。
そのほか、趙敬が官職の高い人が着るような鶴が刺繍された青色の衣装を着ているのは、地位と名誉にこだわる彼の性格を表していたり、蝎王が銀をあしらった光沢のある衣装を着ているのは、彼が異民族の出身であることを示していたりなど、衣装にも含意があり細かい配慮が行き届いている「山河令」。そのビジュアルの美しさとさまざまな意味合いを想像して楽しむことができるのも、本作の醍醐味といえるかもしれません。
この連載では、これまで「気」「楽器」「扮装術」「鬼」「客桟」「葬祭」「春節」「酒」「毒と薬」「衣装」と、中国の歴史・文化について紹介してきました。このような面からも「山河令」をより深く味わい、これをきっかけに、さらに多くの中国ドラマを楽しんでいただければ幸いです。
\「山河令」特集はこちら/
TEXT: 小酒真由子(フリーライター)
アジアから欧米までドラマについて執筆しています。双葉社『韓国TVドラマガイド』にて「熱烈推薦!! 中華ドラマはこうハマる!」を、Cinem@rtにて「アジドラ処方箋」を連載中。また、執筆させていただいたキネマ旬報ムック『最新!中国時代劇ドラマガイド 2021』が絶賛発売中です。
Edited:小俣悦子(フリーランス編集・ライター)
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