【連載:中国の歴史・文化からひも解く「山河令」 】第7回 今も昔も変わらない「春節」の風景
この連載では、知っていると「山河令」をより深く理解できる、中国の歴史・文化をご紹介します。
第7回 今も昔も変わらない「春節」の風景
第28話で「山河令」の物語は「春節」を迎えます。「春節」とは旧暦の正月で「旧正月」とも呼ばれ、アジアの国と地域では今でも「旧正月」を祝うところは珍しくありません。特に中国では新暦の正月よりも「春節」を盛大に祝い、前後7日の連休に多くの人が故郷へ里帰りする“民族大移動”が起こり交通機関が大混雑となるのが、毎年の風物詩となっています。今回は「山河令」に見られる、今も昔も変わらない「春節」の風景をご紹介しましょう。
四季山荘で初めての「春節」を迎える周子舒、温客行、張成嶺は、部屋の中を飾りつけます。中国では家のあちこちをおめでたい色である「赤」で飾るのが、現代まで変わることなく続いている風習です。
張成嶺が貼る赤い切り絵もそんな正月飾りの一つ。紙を切って繋げたまま模様を作る中国の切り絵は「剪紙」と呼ばれ、現在では世界無形文化遺産に指定されています。なお、「山河令」に登場する「剪紙」の模様は「魚」ですが、新年がお金にも食べるものにも余裕のある1年になることを願う言葉に「年年有余」があり、「余」と「魚」の発音が同じことから、新年の飾りには魚をモチーフに使ったものがよく見られます。
また、大晦日には家中を大掃除する慣わしもあります。正月に掃除をするのは幸運を逃してしまうので避けるべきとされているからです。
こうして、いよいよ除夕(大晦日の夜)を迎えると、みんなで年越しの食事「年夜飯」を食べます。家族がそれぞれどこで暮らしていても、除夕となれば故郷で一堂に会し食卓を囲むのが中国の伝統なのです。「山河令」では温客行が周子舒、張成嶺のために腕をふるい「年夜飯」を作ります。その料理のシーンでは温客行から鶏をしめるように言われた張成嶺がうまくできずに大騒ぎとなりますが、「鶏」と「吉」は発音が似ていることから、「春節」に鶏を食べるのは縁起がよいとされています。なお、温客行が大好物のナッツは家族団欒の場に欠かせないおやつで、「春節」のシーンにも登場します。
一方、1人きりで年越しを過ごすと思っていた顧湘は、思いがけず曹蔚寧たちが「年夜飯」を持って訪ねてきてくれたことに感激します。この時、曹蔚寧の師叔・范懐空が作ってきたというのが「餃子」。これは正月の定番メニューで、餃子が昔のお金の形に似ていることから、「春節」に「餃子」を食べると金運に恵まれるといわれています。
さらに、除夕には爆竹を盛大に鳴らし、花火を打ち上げる風習もあります。劇中でも五湖盟では爆竹を鳴らし、四季山荘では花火を見るシーンが登場します。このように大きな音を出すのには魔除けの意味があります。ただし、近年では騒音や火災、大気汚染の問題から都市部では「春節」の期間の爆竹・花火を禁止しているところもあります。
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TEXT: 小酒真由子(フリーライター)
アジアから欧米までドラマについて執筆しています。双葉社『韓国TVドラマガイド』にて「熱烈推薦!! 中華ドラマはこうハマる!」を、Cinem@rtにて「アジドラ処方箋」を連載中。また、執筆させていただいたキネマ旬報ムック『最新!中国時代劇ドラマガイド 2021』が絶賛発売中です。
Edited:小俣悦子(フリーランス編集・ライター)
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