【これだけは知りたい! 韓国アニメーションの基礎知識】#2 激動の歴史の中で進化を続けてきた韓国のアニメーション
エンタメのいちジャンルとして日本にも定着した、韓国の映像コンテンツ。ただし「ドラマや映画はよく見ている」という人でも、アニメーションとなると、まだまだイメージが浮かばないかもしれない。
しかし、今、韓国では、ドラマや映画、音楽に続くコンテンツとしてアニメーションにも大きな期待が集まり、目覚ましい発展を遂げつつある。今回は、そんな韓国アニメーションの世界を、人気ジャンルや歴史、個性豊かな作り手たちといった、いくつかのポイントから見ていきたい。
これだけは知りたい! 韓国アニメーションの基礎知識
#1 実はおなじみ? 世界を席巻する韓国のキッズ・アニメーション
#2 激動の歴史の中で進化を続けてきた韓国のアニメーション
#3 映画祭をきっかけにステップアップしてきた監督たち
《「韓国アニメーションと出会う」特集ページ》
激動の歴史の中で進化を続けてきた韓国のアニメーション
ドラマ、映画に続くコンテンツとして成長への挑戦を続ける韓国アニメーションだが、韓国社会が歩んできた道と同じように、その過程は苦難と逆境の連続だった。
韓国にアニメーションがやってきたのは、約90年前。植民地時代の朝鮮半島で、ディズニー作品や日本製のアニメーション映画が紹介され、短編が制作された記録が残っている。その後、解放から朝鮮戦争、南北分断を経て1960年代にテレビ放送が開始されると、アニメーションを用いたCMが流れるようになった。このころ、本格的にアニメ制作が始まったと言われている。
◆ラッキー化学工業(現・LG生活健康)が1960年に制作したテレビCM。古典文学『春香伝』の主人公たちが主力製品である歯磨き粉と石鹸を贈り合っている。
LG化学公式YouTubeチャンネルより
1967年には、古くから伝わる英雄譚をモチーフにした韓国初の劇場用長編アニメーション『ホンギルドン』が公開された。当時の映画興行成績で第2位となる大ヒットを記録したことからも、作品が韓国社会に与えたインパクトの強さがうかがえる。
一方で1965年に日韓の国交が回復すると、経済交流の一環として、日本のアニメ業界との合作が試みられる。『黄金バット』(1967)や『妖怪人間ベム』(1968)は、この時期両国で共同制作・放送されていた。その後アニメーション産業は、日本やアメリカの下請けを中心に成長していく。
そんな時期に制作された映画『ロボットテコンV』(1976)は、初のオリジナル巨大ロボットアニメーションとして子どもたちから熱烈な人気を獲得。シリーズ化され、韓国アニメーション史に残る作品となった。
◆『ロボットテコンV』復元版(2007)予告 韓国映像資料院公式YouTubeチャンネルより
軍事独裁政権による政情不安が続き、大衆文化が検閲されていた1970〜80年代の韓国では、自由な制作環境も消費市場も育たず、質の高いオリジナル作品は生まれにくかった。海外の下請け作品を元ネタにした、いわゆる「パクリ作品」も乱造された時期だ。
その後、学生や市民の力によって民主化への足掛かりをつかんだ1987年には、放送局KBSで人気漫画を原作としたアニメーション「赤ちゃん恐竜ドゥーリー(原題)」が放送開始。子どもたちから人気を集め、主人公のドゥーリーは現在でも、韓国を代表するキャラクターとして親しまれている。
◆「赤ちゃん恐竜ドゥーリー」(1987〜88年放送分まとめ)KBSアーカイブ公式YouTubeチャンネルより
1988年のソウル五輪、1989年の海外旅行自由化などを経て、海外の文化が一斉に流入すると、アニメーションをめぐる環境も大きく変わり始める。
1990年代後半には、金大中(キム・デジュン)大統領のもとで、文化コンテンツを輸出産業に育てるための「コンテンツ振興政策」が本格化した。
アニメーション業界も、下請け中心の産業構造から脱して、質の高いオリジナル作品を制作し輸出することが目標となる。このころから、日本やアメリカのような、幅広い年代に支えられたアニメ消費市場の成功にならい、ヤングアダルト向けの作品も制作され始めた。
2002年公開の長編『マリといた夏』は、自主制作アニメーションの先駆者と言われるイ・ソンガン監督のファンタジー作品。イ・ビョンホンが声優として出演し、アヌシー国際アニメーション映画祭で受賞するなど、韓国作品が海外で注目されるきっかけを作った。
◆『マリといた夏』 CJ ENM公式YouTubeチャンネルより
21世紀に入ると、アニメーション業界にも思わぬ追い風が吹いてくる。ドラマやK-POPなどの韓流コンテンツが、アジアから世界へと広がり始めた。同時に、インターネットやスマートフォン、衛星放送によるテレビの多チャンネル化など、コンテンツを早く効果的に届けられるメディアも急速に普及する。
そこで、韓国の商業アニメーションは、ドラマなどと合わせて輸出しやすい幼児・児童向け教育用テレビシリーズの制作に、力を入れ始める。欧米との合作でノウハウを得ながら、先述した「ポンポンポロロ」などで、海外市場への販売を成功させた。
<#3 映画祭をきっかけにステップアップしてきた監督たち につづきます>
Text:田中恵美(ライター・編集者)
1990年前後のアジア美術ブームをきっかけに、韓国の現代美術や民衆美術を通じた交流活動に携わる。特に「花開くコリア・アニメーション+アジア(花コリ)」運営委員として、日韓アニメーション界の交流をサポート。韓国関連の執筆・編集では、ドラマなどのほか美術・デザイン、野球、ジャズなど専らニッチ担当(笑)。
花コリ公式サイト:https://anikr.com/
Edited:佐藤結(ライター)
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