【特集】アジアのお弁当を知りたい!<ベトナム編>#1:バイクで長時間通勤にお弁当は不向き!? 小まめな間食文化
「暖かくなってきたから、外でお弁当を…。」学校や職場、行楽行事と、暮らしのなかにお弁当が定着している日本では、春になると、こんな会話が聞こえてきます。では、年中、常夏の東南アジアの人たちは、どのように昼食タイムを過ごしているのでしょうか?
そこで今回は、ベトナムのお弁当事情をリサーチ。ホーチミン在住の日本人パワーブロガーで、フードアナリストのちぇりさんに教えていただきました!
【ベトナム編(全3回)】
#1:バイクで長時間通勤にお弁当は不向き!? 小まめな間食文化
#2:人気のお弁当箱は、ガラス容器や三段重ね
#3:コロナ禍で加速。日本スタイルのBENTOの広まり
\\韓国・台湾・インドのお弁当事情はこちら//
バイクで長時間通勤にお弁当は不向き!? 小まめな間食文化
ベトナムの都市部に住んでいると、お弁当文化はあまり一般的でないように感じます。
というのも、ホーチミン市内は物価が高く、住むにはコストがかかりすぎるので、片道1時間半、2時間とかけてバイクで通勤する人が少なくないのです。ただでさえも早起きが必要な上に弁当を作るのは大変ですし、気温は年中常夏状態。ランチタイムまで常温でお弁当を無事に保つのは難しい、ということも、あまりお弁当を持ってこない理由のひとつかもしれません。
その代わり、ベトナムの都市部には小さな移動式の屋台がたくさんあります。それらは時間帯により場所を変え品を変え出現し、朝食、昼食、間食、夜食など、1日の中のあらゆる「食事」のニーズに応えてくれるうえに、とてもお安いのです。
さらに言うと、南国では食中毒対策のため、一度に取る食事量を抑える傾向がよく見られます。一度に取る食事量が少なければ、万が一にも多少傷んだものであったとしても、胃酸が対抗してくれる、という考え方。その分、小まめな間食を挟んで、食べる回数を増やすことで空腹に対応している様子です。
実際、オフィス勤務の人でも午前中と午後におやつの時間があり、オフィス街にはそのニーズを見込んだ、その時間帯だけ出店する屋台がたくさんあります。お菓子や果物、ちょっとした軽食、あらゆる種類の食べものが、小さなポーションで50円〜100円くらいで売られていて、便利で、気分転換にもなり、良い習慣だと思います。
学校生活でも、半日で授業が終わるときは自宅で食事、または学校近くに出現するおやつ屋さん群に頼ることが多く、結果、お弁当を持ってこない人が多い印象になっているのかと思います。
節約のためのお弁当は、見た目よりも実利!
とはいえ、近郊に住む人もいるわけで、よくよくリサーチしてみると、お弁当文化が全くないということでもないようです。
ランチのためにお弁当をオフィスなどに持ってくる人は、どうやらそのほとんどが既婚者、家族と同居している人たち。いくら外食単価が安いと言っても、人数が増えれば何かしら持っていくほうが経済的で、無駄を減らすということにつながるからかもしれません。
ただし前夜の食事の残り物をタッパーに詰めただけ、という簡易なものが多く、日本のお弁当のようにおかずを何種類も入れたり、見栄えを気にしたり、というのはあまりないようです。見た目より実利。このあたりは、自分は自分、他人は他人、という線引きが上手くできる人が多いことも手伝っているかもしれません。
<#2:人気のお弁当箱は、ガラス容器や三段重ね につづきます>
Text:ちぇり
フードアナリスト
ベトナムに在住9年。ホーチミンを中心に、日本と東南アジアを合わせると3500件以上の飲食店や食材をレビューしている、食べるのも作るのも大好きな食いしん坊ブロガー。
「フードアナリストちぇりのホーチミンの美味いもん」https://cheritheglutton.com
Q. ちぇりさんの好きなお弁当のおかずは?
A.たこさんウインナー。
写真提供:ちぇり
Edited:野田智代(編集者、「韓流自分史」代表)
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