コリアン・フード・コラムニストの八田靖史さんが教えてくれる、おすすめカルチャー×スイーツ【韓国編⑤】
Cinem@rt 10月の特集テーマは「アジアンスイーツ」。ですが、アジアンカルチャーの“好き”を応援するCinem@rtらしく、スイーツとカルチャーを一緒に楽しむ3つの質問を、有識者の方々にしてみました。
Q1「代表的スイーツと一緒に楽しみたい、おすすめカルチャー作品は?」
Q2「代表的スイーツからイメージする人は?」
Q3「最新注目作と一緒に楽しむ、おすすめおやつは?」
どんなスイーツ&カルチャーの出会いがあるでしょうか?
【教えてくれた人】八田靖史さん(コリアン・フード・コラムニスト)
慶尚北道、および慶尚北道栄州市広報大使。ハングル能力検定協会理事。ウェブサイト「韓食生活」を運営。最新の著書は『韓国かあさんの味とレシピ』(誠文堂新光社)。
まず…韓国編のスイーツ代表は パッピンス
韓国語で팥(パッ)は小豆、빙수(ピンス)は氷水を意味し、本来は「小豆のかき氷」を指しますが、今ではフルーツやアイスクリームなどをトッピングした様々な種類があります。専門店も多く、市街のあちこちで看板を見かけますが、最近では三清洞や仁寺洞などで食べられる伝統的なパッピンスが再注目されています。
<パッピンス>と一緒に楽しみたい、おすすめカルチャー作品は?
ユン・ジョンシン(윤종신)の『パッピンス(팥빙수)』(2001年)
『パッピンス』はユン・ジョンシンが2001年に発売したアルバム9集『クヌル(影)』の収録曲で、2007年にはデジタルシングルとしてリメイクもされました。
パッピンスを作る過程がそのまま歌詞になっていて、軽快なメロディに載せた「アズキを入れてじっくり煮込む」「砂糖はとろ火で徐々に煮詰める」「アズキを煮るときは砂糖たっぷり」という歌詞のひとつひとつが、いずれも愛情に満ちたリアルさで食欲をそそります。
パッピンスは直訳すると「氷アズキ」ですが、アズキ意外にもたくさんの具を、彩りよく、また気前よく盛り付けるのが何よりの魅力と言えます。本楽曲においても、フルーツカクテル(チェリーは軸つき)、餅、ゼリー、クリーム、練乳といった単語が差し込まれ、さながら甘味のオンパレードといった贅沢さがたまりません。
ちょうど2001年といえば、キングサイズの巨大なパッピンスが流行ったころで、この曲を聴きながら韓国の友人たちと、氷山に突撃するような気分でザクザクつつきながら食べたことが思い出されます。いくら大きくても大勢で食べればあっという間。しっかり胃の中に納めたにもかかわらず、歌詞の最後「ノクチマ(溶けるな)」がなぜか頭に残ったり。(八田さん)
<パッピンス>からイメージする人は?
方定煥(パン・ジョンファン/방정환)(小説家)
20世紀前半に活躍した小説家で、無類のピンス(カキ氷)好きとして知られます。1929年に雑誌『別乾坤』にて、ピンスというタイトルのエッセイを執筆。氷にかけるシロップの種類や、氷のきめ細かさ、カキ氷店の店内装飾などについて、なみなみならぬこだわりを披露しました。(八田さん)
※動画はEBSCulture制作の「역사채널e - The history channel e_소파 방정환(訳:ヒストリーチャンネルe_小波 方定煥)」
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