“沈香”から探る、ドラマ「沈香の夢」原題の意味|中国時代劇トリビア #122
「沈香の夢:前編」一気見するなら!
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「霜花の姫~香蜜が咲かせし愛~」のヤン・ズーと、「琉璃~めぐり逢う2人、封じられた愛~」のチョン・イーの共演が話題を呼んだファンタジー時代劇「沈香の夢」が、Amazon Prime Video チャンネル《エンタメ・アジア》にて先行見放題配信中&BS12 トゥエルビで放送中! 以前このドラマの中に登場する重要なアイテム「四大神器」を紹介しましたが、今回はこのドラマのタイトルにもなった「沈香」について、調べていきたいと思います!
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沈香とは?
沈香はジンチョウゲ科の沈香という植物の油分を含んだ部分を乾燥させたもので、木材、香料、漢方薬の一種です。世界の多くの地域で、沈香は貴重な香料であり、酒に加えたり、装飾品にされたり、直接彫刻をしたりされます。
沈香の木は硬く、ほとんど水に浮かず、燃焼時の濃い煙は強烈な香りを放ちます。沈香は主に中国の広東省、広西チワン族自治区、雲南省、福建省などに分布しており、東アジア諸国ではインドネシア、マレーシア、シンガポール産の沈香(新州香)が最高品質とされています。
沈香はどのように使われているの?
沈香は最も一般的な仏事用のお供え物(香)で、仏菩薩を心から敬うほか、穢れを祓い虫や邪気を追い払い、心を清めるなどの効能があります。特にその香りは柔らかく甘いのでとても癒されます。
心を落ち着かせる効果のほかに、エネルギーの流れを助け、集中力を高める効果もあり、静かに座って瞑想する人に最適とされ、一般の修行者にとっても体と心に非常に有益とされています。沈香は戒を守る行者の静けさを象徴する香りであり、解脱した者の魂の香りとも言われるそう。
沈香の歴史
沈香が使用された歴史は古く、最も高品質とされる奇楠沈香関する最古の文書記録は、梁の時代にまでさかのぼるとされています。漢の時代には、王室で天を崇拝する儀式、祝福を祈るために使用され、王家や富裕層の室内香の主な香とされました。
隋や唐の時代には、より多くの記録と使用があり、医学書には沈香の効能が非常に高いことが記録されており、沈香の薬効は唐、五代から宋の時代に至るまで探求されてきました。また、中国文化における沈香の人気は文学作品から知ることができ、『紅楼夢』の中にも贈り物の一つとして登場しています。
ドラマ「沈香の夢」の原題、「沈香如屑/沈香重華」の意味とは?
この沈香が、ドラマ「沈香の夢」の原題「沈香如屑/沈香重華」ではどんな意味として使われているのしょうか?
沈香は木が外傷を受けたり、なんらかの病気などで刺激されると、治癒を助けるために大量の樹脂を分泌し、その過程で豊かな香りを持つ組織を生成します。つまり、過酷な状況で傷つき、長い年月を経ないとできないという大変貴重なものの象徴であり、ドラマ「沈香の夢:前編」の原題「沈香如屑」は、顔淡の応淵に対する感情が炎のように燃え上がり、最終的には消えてしまい再び燃え上がることができない沈香の粉のようになったことを意味するのだとか。
この「沈香如屑」という表現は、中国の文学や芸術作品の中で、消えてしまって復活することのない深い感情を表すためによく使用されるそう。 沈香は可燃性で香りが長く持続するため、一度燃やして灰になると再燃することはなく、ドラマ「沈香の夢」においては、主人公たちの関係の終わりを象徴するものとなっていると考察されています。
一方、「沈香の夢:後編」の原題「沈香重華」にある「重華」には二つの意味があり、一つは古代中国の名君・虞舜の名前で名君を示す言葉であり、顔淡と応淵が天下を守ることを指していて、もう一つは沈香が再び燃えて2人の縁と愛が永遠に続く…という意味になっているのだとか。
タイトルを読み解くだけでも、顔淡と応淵の愛の行方がどうなるのか、大いに気になってしまいますね! ぜひ、ドラマでじっくりと壮大な愛の物語をお楽しみください!
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Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。
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