Cinem@rt エスピーオーが運営するアジアカルチャーメディア

時代劇あるある・暗闇で大活躍の“アレ”は実在した!|中国時代劇トリビア #112

過去の事件をきっかけに、秘密を抱えた4人が協力し事件を解決していく謎解きラブロマンス時代劇「雲中月~二人だけの約束~」。今回はこの作品に関する、気になる“アレ”について探っていきます!



暗闇で大活躍の“アレ”は実在した?!


©Hunan Mgtv.com Interactive Entertainment Media Co., Ltd.

「雲中月~二人だけの約束~」をはじめ、事件を捜査するドラマでは暗闇で行動する…というシーンも多くなりますね。そんな時に登場する、竹筒でできた火のつけられる“アレ”。息を吹きかけるだけで火がつくあの道具、「よくこんな便利な小道具を思いつたなー」なんて感心していましたが、実はあれ、演出上のものではなくて、実在した道具だったのです!

一説によると、南北朝時代に宮女が発明したというこの道具。名称は「火折子」で、燃料にはリンや硫黄などの物質を利用し、口で息を吹き込んだり、素早く振ったりして、その成分と酸素を接触させることで激しい反応を引き起こし、燃焼する仕組みとなっているそう。

通常、火折子に使われる中身は、主に紙、綿、硫黄やリンなどの簡素な素材で作られています。作る際は、これらの原料を用意し、入れ物となる竹筒よりも少し長めに切った穴が開いていない紙銭(死者を弔うときに焼く紙で作った銭)や、わら紙などに包み、適度な締め具合で丸め、竹筒の内側と同じくらいの太さに丸めて、最後に竹筒に差し込みます。使用時は蓋を押し下げ、息を吹きかけると火がつきます。使用しない時は蓋をして酸素を遮断すると半燃焼状態になり、火はつきませんが、消えません。点火したいときは息を吹きかけることで再点火することができますが、息を吹きかけるのは非常に熟練した技術が必要で、急激かつ短時間、かつ強力に行う必要があるそうです。

大変便利な火折子ですが、じつは誰もが持っていたわけではなく、富裕層だけが手に入れることができたものでした。そうした人たちは、品質や色合いを向上させるために、通常の材料にさらに手のこんだ材料を加えたりもしたのだとか。例えば、サツマイモの蔓を水に浸し、取り出して平らにしたものや、葦房を叩いて乾燥させたもの、硝酸塩、硫黄、松脂、リンなどの可燃物や抹香、樟脳など各種香辛料を加えて作ります。こうしてできた火折子は、取り出すとすぐに燃えて、非常に可燃性が高く、同時に香りも楽しめるという利点があったそうです。


Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。

火折子が登場する中国ドラマはこの作品
「雲中月」キービジュアル

DVD-BOX1:2023.10.11(水)発売
DVD-BOX2:2023.11.8(水)発売 各14,300円(税込)
※2023.10.4より、レンタル開始&各社動画配信サービスにて配信開始。
発売・販売元:エスピーオー

©Hunan Mgtv.com Interactive Entertainment Media Co., Ltd.
HP:https://www.cinemart.co.jp/dc/c/unchugetsu.html

記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!

TOP