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字(あざな)ってなに? 後編:字のつけかたと意味|中国時代劇トリビア #107

三国時代を舞台に名もなき英雄たちの諜報戦を描いた歴史サスペンスドラマ「風起隴西(ふうきろうせい)-SPY of Three Kingdoms-(以下、風起隴西)」。緊張感のある頭脳戦、逆転の連続と緻密な駆け引きに加え、蜀漢・曹魏両国の個性豊かな登場人物たちが、様々な人間ドラマを展開する群像劇としても楽しめる作品でもあります。

今回はこのドラマからちょっと気になる“アレ”について、探っていきたいとおもいます!



字(あざな)のつけかたと意味

前編でご紹介したように、字はあだ名のようなものであり、自分でつけても、誰かにつけてもらってもいいものでした。そのため、明確な決まりや縛りはなかったようですが、定型的なつけかたというものはあったようです。

1)字数
多くの場合は2文字だが、1文字、または3文字という場合もあり。


「風起隴西(ふうきろうせい)-SPY of Three Kingdoms-」 ©2022 New Classics Television Entertainment Investment Co.Ltd

2)兄弟・姉妹の生まれた順
兄弟・姉妹の長幼の順を名前のかわりに使う排行字を使う。または1字目に敬称の「子」で統一するなど。排行字を用いる場合、例えば長男(長女)から順に、「伯(孟)・仲・叔・季・幼・稚」などの文字が入る。

8兄弟だった司馬家の場合
司馬(姓)朗(名)伯達(字)というように長子を示す伯の字が入り、次男は司馬懿(仲達)、三男の司馬孚(叔達)、以下―司馬馗(季達)、司馬恂(顕達)、司馬進(恵達)、司馬通(雅達)、司馬敏(幼達)となる。


3)二字目または全文字に名(諱)と関連した字を用いる
名と同じ意味や対義語となる字を使う、経書、古人にちなむ、など。

諸葛亮(孔明)の場合
名の「亮」と「明」が同じ意味。


「風起隴西(ふうきろうせい)-SPY of Three Kingdoms-」 ©2022 New Classics Television Entertainment Investment Co.Ltd

プチコラム「中国人の姓で少ないのは?」

歴史・現代ドラマと時代を問わず、中国ドラマを観ていると、同姓の人がたくさんいるな、と感じることも多いかと思います。

中国の三大姓は李、王、張ともいわれているそうですが、ではその逆の少ない姓とは? ランキングトップとなるのは「難」という姓。この姓は河南省に分布していて、北魏(386~534年)の時代、鮮卑族の姓から発展してきたものなのだとか。難は金色の鳥の名前を由来とするそうです。2位は「死」。この姓は主に中国西北部に分布していて、北魏の時代に少数民族の四字の姓から発展・進化してきたものだそう。3位は「山(ヤ)」。この姓は岳飛(1103~1141年)の末裔で、当時の権力者・秦檜の迫害から逃れて、岳姓を山姓に改めたのだそうです。

名前から色々なルーツが分かって、面白いですね!



Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。

このコラムに登場した作品
「ふうきろうせい」キービジュアル

Blu-ray-BOX1/DVD-BOX1発売中
4月26日 Blu-ray-BOX2/DVD-BOX2発売
BD:各16,500円 DVD:各13,200円(税込)
※DVDレンタル&各社動画配信サービスにて順次リリース。

提供 エスピーオー/テレビ東京メディアネット
発売・販売元 エスピーオー
公式サイト http://www.cinemart.co.jp/dc/c/rousei/
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