実在した⁉ 唐代の「斛珠夫人」とは?|中国時代劇トリビア #99
中国人気のファンタジー超大作 “九州シリーズ”で唯一女性主人公を描く「斛珠<コクジュ>夫人~真珠の涙~」。壮大なスケールの世界観とダイナミックなアクション、そして女性主人公ならではの繊細なロマンス描写など、新たな“九州シリーズ”作品のヒット作として知られるこのドラマ。
今回は、本作の主人公には実在の人物のモデルが…⁉を探っていきたいと思います!
実在した⁉ 唐代の斛珠夫人とは…?
「斛珠<コクジュ>夫人~真珠の涙~」©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited
“九州シリーズ”は、先にあげたように創作による物語。しかし、架空である九州世界は、作家たちが大量の史書等を参考にして創作された世界でもあるので、「山海経」にインスパイアされた存在が描かれたり、それぞれの物語に潜む歴史的ヒントも登場したりします。
ドラマ「斛珠<コクジュ>夫人~真珠の涙~」に登場する海市も、当然ながらフィクションの人物であり、中国王朝との関係はありません。ただ、宋代に創作されたとされる「梅妃伝」には、「斛珠夫人」と称される伝説の女性が登場します。
「斛珠<コクジュ>夫人~真珠の涙~」©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited
伝説の「斛珠夫人」は、唐代玄宗の寵妃とされる江采蘋(ジャン・ツァイピン)。医術に携わる家に生まれた彼女は、幼い頃から非常に聡明で詩作が得意なだけでなく、琴碁書画、踊り、歌、笛の演奏と全てに優れ、加えて背が高くて美しいことでも知られる令嬢でした。
738年に武恵妃が世を去り、玄宗の新たな妃として迎えられた江采蘋は、その才能と美貌で玄宗の心を捕らえ、東宮正一品皇妃となり、彼女の大好きな梅の花にちなんで梅妃の称号を与えられました。
芸術だけでなく医術にも長けていた彼女は、真珠を使った漢方美容(美肌)薬を調合するのが得意で、宮廷内の妃や公主たちの間でも評判となり、「斛珠夫人」と呼ばれるように。玄宗の寵愛を受けた梅妃でしたが、その後、楊貴妃の登場によって次第に寵を失っていきます。やがて冷宮に移された梅妃は、安史の乱の中で亡くなりました。
中国ではひろく知られているという梅妃の伝説ですが、唐代の歴史には梅妃の名はありません。しかし玄宗を巡る梅妃と楊貴妃のエピソードは物語としてとても魅力的であり、叶わぬ恋や選べぬ運命への絶望感など、彼女のイメージは作家たちの創作意欲を刺激するものの一つだったかもしれませんね!
「斛珠<コクジュ>夫人~真珠の涙~」©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited
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Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。
「斛珠<コクジュ>夫人~真珠の涙~」
DVD-BOX1:2022年12月2日(金)発売
DVD-BOX2:2022年12月9日(金)発売
DVD-BOX3:2023年1月13日(金)発売 各16,500円(税込)
※2022年12月2日よりDVDレンタル順次スタート!(全24巻)
提供 エスピーオー/BS12 トゥエルビ 発売・販売元 エスピーオー
©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited
HP:http://www.cinemart.co.jp/dc/c/kokuzyu/
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