中国ドラマでよく聞く「九州シリーズ」ってなに?|中国時代劇トリビア #98
中国人気のファンタジー超大作 “九州シリーズ”で唯一女性主人公を描く「斛珠<コクジュ>夫人~真珠の涙~」。壮大なスケールの世界観とダイナミックなアクション、そして女性主人公ならではの繊細なロマンス描写など、新たな“九州シリーズ”作品のヒット作として知られるこのドラマ。
今回は、この作品を含む“九州シリーズ”とその世界について探っていきたいと思います!
「九州シリーズ」ってなに?
「斛珠<コクジュ>夫人~真珠の涙~」©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited
「九州」という名称は古代中国の居住地域の呼称でもありますが、小説“九州シリーズ”の舞台となる「九州」とは、2001年に中国のファンタジー小説の作家である遥控、潘海天、今何在、水泡、江南、斩鞍、多事の7人によって共同で作り上げられた架空の世界のこと。
彼らが共通の世界観と背景をもって描いていった物語がこの“九州シリーズ”といわれており、映像化された作品は「九州天空城~星流花の姫と2人の王~」「海上牧雲記 ~3つの予言と王朝の謎」「九州縹緲録〜宿命を継ぐ者〜」「鳳星(ほうせい)の姫~天空の女神と宿命の愛~」「斛珠<コクジュ>夫人~真珠の涙~」など。ウィリアム・フォン(馮紹峰)、ポン・シャオラン(彭小苒)主演の「星河長明(原題)」(九州朱顔記)が、現在のところ放送待機作品となっています。
基本的な世界設定としては、九州世界での歴法は星流紀元であり、1千年を1紀とし、王朝は燹・晁・賁・胤・燮・晟・端・徴と変わっていきます。大陸は東陸・西陸・北陸と呼ばれる3つの陸地に別れて9つの州(中・瀾・苑・越・殤・瀚・寧・雲・雷)があり、異なる陸地ではそれぞれの文化が存在します。
「斛珠<コクジュ>夫人~真珠の涙~」でシュー・カイチョンが演じるのは、大徴国の皇帝。
©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited
そして九州には6つの種族があり、人族は人類に近い種族、羽族は飛行能力があり、巨人のような体を持っている巨人族(夸族)、河洛族は小柄で地下に住み、精錬文明と高い技術を持ちます。強い秘術の力を持つ魅族は意識の集合体とされ、鮫族は海洋の支配者とされています。
創作者たちは、できるだけ現実に近い複雑な世界を作り、そこで生まれる大陸文明と海洋文明の間の衝突や、遊牧部落と帝国の戦争、そしてそれぞれの人種の文化を繊細に描写し、やがて壮大なスケールを持った九州の物語を次々と生み出していきました。
ファンタジーを愛する人たちによるネット創作から始まり、専門雑誌・長編小説単行本の発売、そして映像化という、一大ブームを巻き起こした「九州」の創出目標は、“ドラゴンや騎士が登場するような西洋ファンタジーに対抗する東洋ファンタジー”であったとか。
このことから、九州世界には「山海経」のような中国の古典の幻想要素から得たインスピレーションや、神話に現れる存在のイメージをもとに生み出された羽人や鮫人などが登場し、単なる“中国風”ではない新たな世界が作り上げられていったのです。
「斛珠<コクジュ>夫人~真珠の涙~」では、劇中に鮫人が登場したりも。
©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited
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Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。
「斛珠<コクジュ>夫人~真珠の涙~」
DVD-BOX1:2022年12月2日(金)発売
DVD-BOX2:2022年12月9日(金)発売
DVD-BOX3:2023年1月13日(金)発売 各16,500円(税込)
※2022年12月2日よりDVDレンタル順次スタート!(全24巻)
提供 エスピーオー/BS12 トゥエルビ 発売・販売元 エスピーオー
©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited
HP:http://www.cinemart.co.jp/dc/c/kokuzyu/
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