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「検屍」って昔からあったの?:後編|中国時代劇トリビア#60

前編はこちら

ここで、「洗冤集録」に記された、ちょっとびっくり!でも、当時は実際に信じられていた検屍方法で、歴史ドラマでも見覚えがある事例をいくつかご紹介します。

血液で親子を鑑定

血液点滴親子鑑定法(迷信)。父、あるいは母の骸骨が残っていて、その子どもが現れ実の親子だと名乗った際は、子どもの身体に針などを刺して、1、2滴の血を採り、骸骨に上にたらす。もし実の子どもであれば、血は骨の中にしみこむ。子どもでなければしみこまない。

→ドラマでよく観るパターンは、一族・親子の証として血を混ぜて反応をみる「合血の法」も。血液は封印を解く鍵としても登場しますね!

 「大唐女法医」場面写真1
「大唐女法医~Love&Truth~」より。※写真はイメージです

毒の鑑定は銀の簪(かんざし)

服毒死体を検屍するときは、銀の簪を用い、サイカチ(マメ科の植物)で洗ってから死者の喉に侵入し、鼻口を紙で密封、しばらくしてから取り出す。もし毒があれば、銀の簪は青黒く変色し、サイカチで洗っても落ちない。もし毒がなければ、簪の色は鮮やかに白いまま。

→ヨーロッパでも毒を予知する発想で、食卓の銀製品が使用され、発達したとも。ドラマ「両世歓~ふたつの魂、一途な想い~」でも毒の有無を確認するために、銀のかんざしが使われていましたね!


失神いろいろ

◎驚いて失神したときは、暖めた酒を1、2盃飲ませると蘇生する。

◎五絶(首つり、溺死、圧死、凍死、驚死)および墜落によって死亡したときなどは、もし心臓が暖かければ、翌日になっても救うことができる。死者の膝を折り曲げて地上に置き、僧侶が座禅を組んでいるようにする。一人に死者の頭髪をつかませ、ひっぱらせる。次に、未加工のハンゲ(植物)粉末を竹筒あるいは紙筒、筆管から鼻腔内に吹き込む。もし蘇生すれば、さらに生姜の生汁をのませると、ハンゲの毒を消すことができる。

◎暴死、墜落、衝突あるいは睡眠中の突然死のとき、もし死体がまだ暖かければ、急いで酒に蘇合香丸(そごうこうがん/伝統的な漢方)を加えて調合し、口中に注ぎ込む。もし飲み下せば生き返ることができる。

→どれもどこかで観たような…。生姜、お酒、謎の丸薬は最強アイテム!?

「大唐女法医」場面写真2
「大唐女法医~Love&Truth~」より。※写真はイメージです

みせかけの傷痕

ある地方の人は、わずかないさかいから、みずから命を絶ち、他人を陥れようとするものが大変おおい。その方法は、カワヤナギ(植物。別名行李ヤナギ)の皮を自分の身体に湿布する。すると皮膚がかぶれて痕ができ、それは一見するとこん棒など刃がない凶器による打撲傷そっくりに見える。手で圧迫し、傷痕に浮腫が見られれば、傷痕はカヤナギによるものではない。

→なんと!不自然な傷痕にはこんなカラクリが!見破るにはやはり知識と経験が必要に。


迷信のような方法もあれば、理にかなった内容もあって面白いですね!

【参考文献】
著者:宋慈 訳者:徳田隆 監修:西丸與一
書名:『中国人の死体観察学 「洗冤集録」の世界』
出版社:雄山閣

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。

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