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【アジアドラマ特集2021】<韓ドラ座談会>#1「不時着」「梨泰院」だけじゃなかった!2020年の名作ドラマたち

2021年、新年第一回目の特集「アジアドラマ2020-2021」では、韓流ブームなどという言葉がなかった時代から韓国のコンテンツにどっぷり浸ってきた、まさに“韓流生き字引”のお三方に、去年からの韓国ドラマの日本と韓国のトレンドや、今年大注目のイケメンライジングスターまでを、たっぷり3回に分けて語っていただきます☆彡(対談日時:2020年12月21日)

【パネラー】
高橋尚子さん(写真左・以下、高橋
『韓国TVドラマガイド』(双葉社)編集チーフ。エンタメライターとして雑誌やWEBなど各種媒体に執筆。新旧激推しドラマ:『ハンムラビ法廷〜初恋はツンデレ判事⁉〜』『天気が良ければ訪ねていきます(原題)』。

杉本真理さん(写真中央・以下、杉本
『韓国TVドラマガイド』(双葉社)編集担当。ほかに『韓国テレビドラマコレクション』(キネマ旬報社)監修など。私的推薦作:『(知ってることはあまりないけれど)家族です(原題)』。『哲仁王后』。超私的注目俳優:ユ・テオ

露木恵美子さん(写真右・以下、露木
『韓流ぴあ』(ぴあ)編集長。TOKYO FMとJFNCの音声サービス『AuDee(オーディー)』にて配信中の『韓流ぴあpresents K♥♥♥MAX』監修。推しジャンル:サスペンス、ミステリー。ストーリーも挿入歌も◎な「応答せよ」シリーズは強く推したい。

【アジアドラマ特集2021】韓国ドラマ編 座談会 目次
#1  「不時着」「梨泰院」だけじゃない!2020年の名作ドラマたち(2021.1.21更新)
#2  日本のトレンドとまるで違う。韓国で話題沸騰した2020年の人気ドラマ(2021.1.22更新)
#3  大予想!2021年の韓国ドラマはこうなる!(2021.1.25更新)

<台湾・中国・タイドラマ編はこちら>


“涙のヒロイン”は、もういない?!
「愛の不時着」「梨泰院クラス」に見る、今求められるヒロイン像

――去年2020年は、ステイホームやネット環境の影響もあり、「初めて韓国ドラマを見た」「久しぶりに韓国ドラマにハマった」という方も多かったのでは?
杉本 ふふふ。本当にえらいこっちゃ!でした。今まで韓ドラのカの字もなかった芸能人やアスリート界隈のSNSから、「最高!」「ハマる」って。その発信力をまざまざと思い知りました。

高橋 日本での韓流……といえば、「愛の不時着」(以下「不時着」)「梨泰院クラス」(以下「梨泰院」)の話をしないわけにはいかないですよね。パク・セロイ大好き芸人さんまで何人も現れましたしね。

露木 
今、「愛の不時着展」なるものが東京を皮切りに全国4都市で開催中なんですよ。グッズなんかもすごく力が入ってて。アクリルスタンドまであるのにはびっくりしました(笑)。一方で、「梨泰院」の「タンバム」を再現した店が西麻布で開店したり……。本当にすごいブームです。

◆「愛の不時着」公式予告編 - Netflix

高橋  雑誌や情報番組等での取り上げられ方も含めて、2004年の冬ソナブームと同じ匂いを感じましたよね。「冬のソナタ」が「不時着」になり、「オールイン」が「梨泰院」になった印象です。前者は女性受けする少女マンガ風で、後者は男性受けする少年&青年マンガ風のスタイル。結局この2つが鉄板なんだなって実感!

杉本 
今回のブームが今までと違うのは年齢層ですよね。すごく層が広がった。私たちの雑誌の読者も男性や中学生ぐらいからのお便りが増えています。


――ええっ! 中学生ですか~。なぜ、これほど当たったと思いますか?

杉本 
もちろん面白い作品だっていうのは大前提なんですが……。乱暴に言ってしまうと「タイミング」と「運」は大きい。それはともかく、何よりもすごくわかりやすい話だったのが、男性をはじめ、これまで韓国ドラマを見慣れてなかった層にドンピシャだった気がします。

露木 
「不時着」のリ大尉にしろ、「梨泰院」のパク・セロイにしろ、同性も認めるかっこよさがあったとよく耳にしますね。

高橋 
「不時着」も「梨泰院」も、ヒロインが圧倒的に強かった。男の人と対等に渡り合えるヒロインというのが今っぽいなと。それは、“涙の女王”がもてはやされた「冬ソナ」などとは違う。だから今の日本の人にもウケたんだと思う。その一方で、男性側も働く女性に理解があって尊重してくれるっていうのもポイントだった。強がるヒロインの弱いところまで包み込んでくれる大人男子は無条件に素敵です。

杉本 
「梨泰院」がよかったっていう男性視聴者も、女性にこんなふうにハッパかけられたいみたいな気持ちがあったと思う。女性のほうに「私がこの男を成功させてやるわ」みたいな気概があるじゃないですか。“御曹司”や“できる上司”がヒロインの保護者じゃなくなったことは大きな変化だなと。

露木 MeToo運動以降、作品内の女性の描かれ方は本当に変わったと思います
。うじうじ泣いているヒロインは皆無。

高橋 
そう。“涙のヒロイン”は、もういません!

◆「梨泰院クラス」公式予告編 - Netflix

<次のページ:「不時着」「梨泰院」を抑えた名作とは!?>

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