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中国のペット文化はいつ頃から始まったの?|中国時代劇トリビア#46

ドラマ「運命の桃花~宸汐縁~」では、人間界からやってきた犬の小白や神獣の白澤がペットとして可愛がられています。この中国のペット文化はいつ頃から始まったのでしょうか?

人間との付き合いが長いのはやはり犬。犬の家畜化が始まった場所はヨーロッパか中東......と言う説が一般的でしたが、最近では、最初の家畜化の段階は約3万3000年前に現在の中国で始まり、ほかの地域に広まりはじめたのは約1万5000年前からだったという研究発表が出されています。

犬を抱くチャン・チェン  

その中でも、中国の歴史に残るペットとしての犬は、ペキニーズという犬種で、ペキニーズは、唐の時代に絵画で存在が確認でき、宗や元の時代の飼育記録も残っていることから、記録だけでも1000年以上の歴史が確認できるそうです。

ペキニーズは、皇帝への貢物として献上され、宮廷でのみ飼育を許されていました。宮廷で神聖な犬として扱われるようになったペキニーズには、皇族の棺を墓まで先導するという役割が与えられ、西太后の葬儀の際には、棺を先導したモータン(牡丹)という名前のペキニーズがその役目を務めたとも。映画『ラストエンペラー』にも、このペキニーズが西太后と登場するシーンがありました。

西太后はこのほかにも、チベット原産のラサアプソとペキニーズが交配してできたシーズーも可愛がっていました。なんと西太后は犬好きが高じて自ら犬種改良も研究していたというから驚きです!確かに、セレブな西太后と長毛のエキゾチックな犬は、とてもお似合いです。

ペキニーズ

ペキニーズ

ここで登場するラサアプソという犬種も気になりますね。ラサアプソも長い歴史を持つ犬種で、古代、チベットではラサアプソを「魔除け」として珍重していました。宮廷や僧院など限られた場所でのみ飼うことが許され、ときには貢ぎものとして中国の皇帝に献上されていたそうです。「ラサ」は聖都の名前、「アプソ」はチベットの言葉で長い毛を持つこと、またはヤギを意味します。僧院への侵入者を発見し、僧侶たちに知らせる役割を果たしていました。一方のシーズーという名は、中国において「獅子狗」(シーズークゥ)と呼ばれていたことに由来があるそうです。

皇帝に珍重されたペットたちは、その後、19世紀後半に勃発したアロー戦争(第二次アヘン戦争)によって清王朝の王宮が占領された際、犬好きのイギリス人の手により保護されて渡英した個体と、アヘン戦争以前に清王朝から英国の王侯貴族に贈られていたシーズーが土台となって、シーズーは世界的な繁殖の道を歩みはじたそうです。

シーズー

シーズー

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<参考サイト>
ナショナルジオグラフィック「イヌ家畜化の起源は中国、初の全ゲノム比較より」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/122100372/(2015年12月22日)

ブリーダーナビ「中国の皇帝が独占したかった犬種!ペキニーズの歴史的な魅力を紹介」
https://www.breeder-navi.jp/column/dog/pekinese/pekinese-column04/(2020年5月1日)

みんなのブリーダー「中国の宮廷で愛された犬! シーズーの性格とその歴史って?」
https://www.min-breeder.com/usefulArticle-13338.html
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Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。

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