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最新台湾ドラマ|2025年の注目ドラマ「悪との距離Ⅱ」、ヴィック・チョウら新キャストが記者会見に登壇

台湾ドラマ界に新たな金字塔を打ち立てた「悪との距離」(原題:我們與惡的距離)から5年、プロデューサーのリン・ユーリン(林昱伶)、脚本家のルー・シーユエン(呂蒔媛)、監督のリン・ジュンヤン(林君陽)ら制作陣が再結集し、ファン待望のシーズン2を制作した。6日、2024TCCF(台湾クリエイティブコンテンツフェスタ)のメインステージで行われた記者会見には、監督らをはじめ、主要キャストのヴィック・チョウ(周渝民)、シュエ・シーリン(薛仕凌)、リウ・ツーチュアン(劉子銓)、バイ・ルンイン(白潤音)が登壇、それぞれの役柄などについて語った。

   

脚本執筆に4年、ポストプロダクションを含め計5年の月日をかけて制作されたシーズン2。撮影は2023年12月から2024年4月までの111日間で行われた。台北から台中、雲林、嘉義、台南、高雄まで計107カ所のロケ地には総勢226人のスタッフを動員。一新されたキャストのほか3000人ほどのエキストラが集められ、その制作規模はシーズン1から格段にアップしたという。監督のリン・ジュンヤンは「制作の難易度はドラマ 3本分に匹敵するほど。これまで私が撮った中で最も苦労した作品です」と明かした。脚本家のルー・シーユエンは、物語の核となるテーマについて、ある判決がその人物の体験を再考するきっかけとなったことを挙げ、「シーズン1が無差別殺人やメディアの混乱、精神疾患に対する社会の注目を喚起したとすれば、シーズン2で描くキーワードは、選択、修復、理解、そして捕まえることの4つです」と説明。国策、無差別殺人、精神疾患、公衆衛生、社会治安などを描くことで、シーズン1とは別の角度から視聴者の議論を深める場を生み出す狙いだ。

この日解禁されたティザー映像の第一弾は、シーズン1のハイライトシーンで改めて本作のテーマを喚起しつつ、大規模な火災事件からヴィック・チョウ、シュエ・シーリン、ヤン・グイメイ(楊貴媚)、ニッキー・シエ(謝欣穎)らの思いが複雑に絡み合い、互いに巻き込まれていく展開が描かれる。画面に映しだされた「20年にわたる運命、絡み合う六家族の物語」というフレーズも、そのスケール感と物語の深みを予感させる。今回が初共演となるヴィック・チョウとシュエ・シーリンをはじめ、キャストおよび制作陣は三金(金馬奨、金鐘奨、金曲奨)受賞の強者揃いだけに、視聴者の期待も高まるばかりだ。

劇中それぞれ密接な関係がある登壇キャスト4人は、自身の役柄やティザー映像についての印象を次のように話した。ヴィック・チョウは「20年に及ぶ物語の中で、妻と子を事故で亡くした馬亦森を演じます。勇敢で明るく優しかった馬亦森は、あまりにも多くのことを経て、徐々に退廃的かつ陰鬱で不安に満ちた人生へと向かっていきます。泣き崩れたり自制心を失ったりセンシティブな感情表現が多く、非常に忘れ難い役となりました。ティザー映像を見て改めてショックを受けましたね」と語った。受賞歴の多さから「受賞マシーン」とも呼ばれるシュエ・シーリンもまた「ティザーを見て心を揺さぶられると同時に衝撃を受けました」と作品が描く重さに言及した上で、「私が演じるのは立法委員(国会議員に相当)を罷免される高政光。理想主義でありながら、自己実現と伝統的な政治環境の中でさまざまな影響を受ける、いわばクッキーサンドのような人物です。母親役のグイメイさんとの共演はとても楽しかったです」と明かした。

次世代スターのポテンシャル十分なリウ・ツーチュアンは「無差別殺人犯の胡冠駿を演じました。いろいろな要因によって多くの人を傷つけ、取り返しのつかない悲劇を引き起こしてしまう、劇中のカギとなる役です。楽しいシーンはほぼなく、ヘアメイク中から役の気持ちを作り上げていたので、本当は現場で先輩たちとおしゃべりしたかったのですが、なかなか交流する時間がありませんでした」と撮影時を振り返った。子役時代から活躍するバイ・ルンインは、「僕が演じる羅譽は、ニッキーさんの息子で加害者の家族です。幸せな家族がある事件をきっかけに突然変わってしまい、社会的制裁を受けるという大きな試練に直面します」と役柄の難しさを語った。また日台ハーフのバイ・ルンインはわずか15歳ながら、日本語で「悪との距離パート2!」とタイトルコールするサービス精神を発揮し会場を大いに盛り上げた。

TAICCA文化内容策進院(台湾クリエイティブ・コンテンツ・エージェンシー)、公共電視文化事業金会、台灣威亞數位科技、大慕可可による共同プロデュース、大慕影藝が製作する「悪との距離II」は2025年に配信予定。





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翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。

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