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イベントレポ|作家・角田光代が大絶賛!『花嫁はどこへ?』トークイベント

第48回トロント国際映画祭でお披露目されスタンディングオベーションを受けるなど各国の映画祭で喝采を浴び、米レビューサイトのRotten Tomatoesでは驚異の満足度100%が続く、感動の話題作『花嫁はどこへ?』が、10月4日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほかにて公開!

この度、9月25日(水)に試写会イベントが開催され、プラン・インターナショナルの支援者でもあり、世界中をバックパックで旅行するなど旅好きとしても知られる直木賞作家の角田光代さんが登壇した。

本作は、先日第97回アカデミー賞の国際長編映画賞インド代表に選出されたことが発表されたばかり。映画にちなんで赤いワンピースで登壇した角田光代さんは、その朗報を喜びながら、まず感想を問われ「すごく感動しました。話運びが上手く、いいセリフもいっぱいあり、うまいなぁと思うところがたくさん。素晴らしかったです!」と大絶賛。ISOさんも「数ある作品の中で、インド代表に選ばれたのも納得。みんなに愛される作品だと思います」と断言。

ここで本作の中心人物を演じた2人の花嫁について話がおよび、角田さんは「顔つきとか容姿がそれぞれのキャラクターの個性にぴったり」とオーディションを経て抜擢されたプール役のニターンシー・ゴーエル、ジャヤ役プラティバー・ランターを絶賛し「特にプールは、保守的な女性に育てられたのだけれど、迷子になって色々な人と出会い、色々なことを教わっていく過程が面白かった」、さらに印象に残ったキャラクターとして、プールを手助けする駅の屋台の女主人マンジュおばさんを挙げ、「女性がひとりで暮らしていても充実していて楽しいんだということをさりげなく教えてあげるのがすごく良い」と角田さん。また花嫁の捜索にかかわっていく曲者のマノハル警部補も印象深かったそうで、ISOさんも「いいですよね~」と同意。ちなみにこの役は元々アーミル・カーンが演じるはずだったそうで、2人とも“マノハル警部補”に注目したその理由は本作を観てのお楽しみに。

また、角田さんは劇中の印象的なシーンとして、「この国の女性はみな詐欺(フロード)にあっている」とマンジュおばさんがプールに語る場面や、花婿ディーパクに間違えて連れていかれたジャヤが花婿家族と過ごす中で思いもよらなかった気づきをディーパクのお母さんたちに与え、「家では姑とか嫁とか女は立場ばかり考えて友達になれなかった。お母さん、私たち友達になれる?」と姑と笑って話をする場面を挙げた。「ともすればフェミニズムの啓蒙的な感じにも捉えられかねないのですが、非常にさりげなくいいセリフをいうので、これが当たり前のことだと、逆に気づかされるんですよね」と声を大にして話すと、ISOさんも「この映画は女性のいろいろな生き方を肯定する作品」と語り、観客も同意するようにうなづく姿が多数みられた。

角田さんはバックパック一つで世界中を旅し、インドも訪れたことが2回あるとのことで、インドの印象について「インドの人たちって本当におせっかいというか、いい意味でそういう人が多いなぁという印象で。例えば長距離バスの休憩所でカレー食べてお店を出ようとしたら、お店の人に“お金払ってない”と言われたことがあるんです。私は払っているから”払った“”払ってない“と言い合いになったところ、周りからワッと人が集まってきて”この人は払ったよ“”払っているのを見たよ“と大騒ぎに。道に迷ったときもそうでしたが、”人のいいおせっかいさ“がこの映画にも凝縮されていて、みんなが花嫁を助けてあげようというのがあって、それがまたインドらしいなぁと感じました」という興味深い話に、ISOさんが「善意の反射神経が早い」と返すと、「それ上手い!」と角田さん。劇中でてくるインドの屋台メシにも興味津々で、「甘いお菓子の”カラカンド”も食べてみたい!」と盛り上がる一幕も。

そして旅での忘れられない出会いを聞かれると、角田さんは「昨今スマートフォンとかネットが普及すればするほど出会いは減っていきますね、道に迷っても自分で解決できてしまいますし。この映画を観ていると、携帯をもっていないからこそ巡り合う人と人との出会いがあるのかなぁと思います」としみじみ。 さらに角田さんが支援しているプラン・インターナショナルの活動にも触れ「女の子の教育を応援していく一環で、まだまだ虐げられている国や地域を訪問し視察に行くということをやっています。2011年にインドのオンゴールを訪問し、人身売買から保護されたシェルターや売春婦のカーストにいる女性たちの自立を支援する活動を視察したりしました。この現状はこの映画にも通じるものがあって、例えば劇中警部補が『暴力をふるって従わせるのは犯罪だ』というセリフがありますが、そういうことって言われないと気づかない」と真摯に語り、「そういう面でもこの映画で描かれていることが色々な人の力になるのではないかなと思いました。多くの人に届くように応援します!」と角田さんが力強くメッセージを語り、イベントを締めくくった。



『花嫁はどこへ?』
2024年10月4日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋他全国公開

2024年|インド|ヒンディー語|124分|スコープ|カラー|5.1ch|原題Laapataa Ladies|日本語字幕:福永詩乃
応援:インド大使館 配給:松竹
© Aamir Khan Films LLP 2024
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/lostladies/

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