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イベントレポ|グー・シャオガン監督来日『西湖畔(せいこはん)に生きる』トーク付き先行上映(東京)

グー・シャオガン監督
『西湖畔(せいこはん)に生きる』先行上映のアフタートークに登壇したグー・シャオガン監督

『春江水暖〜しゅんこうすいだん』のグー・シャオガン(顧暁剛)監督の第二作で、人気中国俳優ウー・レイ(呉磊)が主演する『西湖畔(せいこはん)に生きる』が9月27日(金)より新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。この度、公開に先駆けてグー・シャオガン監督が来日。Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて、監督のアフタートーク付き『西湖畔(せいこはん)に生きる』先行上映が行われた。

昨年10月の東京国際映画祭以来の来日ということで、グー・シャオガン監督は「また日本にやってきて、今回さらに多くの方に映画をご覧いただき、嬉しいと同時に親しみを感じています」と笑顔で観客に挨拶。

インディペンデントな手法で制作された初長編作品『春江水暖〜しゅんこうすいだん』に比べ、2作目の『西湖畔(せいこはん)に生きる』ではスター俳優の起用や一流スタッフの集結など、大きくスケールアップしたことについて、「私は早い段階から商業映画の制作についても関心があり、今回は幸運なことに規模の大きな制作方法で映画をつくることができました。また、前作は“山水”という映像言語の可能性を提示したものであったとすれば、本作では“山水”が映像言語の1つであることを超えてジャンルになる可能性について追及しようと思いました」と話す。

スケールアップしたとはいえ、山や川など自然の風景が印象的に登場することは変わりなく、特にドローンで山の茶畑を撮影したオープンニングは圧巻だ。このシーンについては脚本の段階から構想していたようで、「前作では、中国の山水画が持つ時間・空間の概念を映像表現に落とし込み、ひとつの時間・空間の中で登場人物たちがいろいろな物語を繰り広げる、そういう長回しの手法をたくさん使いました。本作でも山水画の要素から新たな映像言語を作り出せないか考えたんです。あのドローン撮影のシーンは、山水画の“ひとつの画面に複数の空間・時間を並列で置く”という考え方を映像に応用したシーンです」と明かした。

マイクで話すグー・シャオガン監督

本作の見どころといえば、主演のジアン・チンチン、ウー・レイの名演も忘れてはならない。非職業俳優がほとんどだった前作とは異なり、グー・シャオガン監督にとって本作が初めてプロの俳優たちとの仕事となった。

ジアン・チンチン、ウー・レイとの仕事について「今思い出すと、彼らと仕事ができたことは夢のようなことだったと思います。ただ、ここに登壇する前にエンドロールの音楽を聞きながら、今回の撮影は本当に地獄の旅のようだったとも感じました。本作の撮影は、俳優を打ち砕いてしまうようなものだったからです」と語る。雨に打たれながらジアン・チンチンとウー・レイが感情を爆発させるシーンを例に挙げ、「あのシーンでは、ウー・レイは本当に心が崩壊してしまいそうになりました。ムーリエンという役に深く感情移入し、撮影が終わった後も1時間ほど泣き続け、その夜はずっと芝居から抜け出すことができない、そういう状態でした。このシーンの2人は、決してタイホアとムーリエンを演じていたわけではありませんでした。だからといって、ジアン・チンチンとウー・レイ自身だったわけでもありません。多くの母子の情感や魂が彼らの上に降りてきたから、あの演技ができたんだと思います」と話し、「俳優たちは皆、私たちのチームを信頼して、身と心を預けて演じてくれました。私はあの雨のシーンの撮影で、魂の交感を本当に実感しました」と、撮影を振り返りながら俳優たちへの深い感謝を滲ませた。

マイクで話すグー・シャオガン監督2

大きな衝撃と余韻を残す本作ゆえか、Q&Aでは観客からも活発に手が上がり、アフタートークはあっという間に1時間越え。最後に次回作について聞かれ、「次回作も山水映画です。今度は家族の物語かつ、ラブストーリーになると思います。特にラブストーリーの要素が強くなるかな。できるだけ早く皆さんにご覧いただけるように頑張ります」と明かし、最後に「今日は遅い時間までお付き合いいただき本当にありがとうございます。すばらしい夜でした!」と笑顔で締めくくった。存分に作品への思いやエピソードを語ってくれたグー・シャオガン監督に、観客からは大きな拍手が送られた。

『西湖畔(せいこはん)に生きる』は、2024年9月27日(金)より新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。

グー・シャオガン監督2


『西湖畔(せいこはん)に生きる』
2024年9月27日(金)
新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

原題:草木人間|英語題:Dwelling by the West Lake|2023年|中国映画|118分
©Hangzhou Enlightenment Films
公式サイト:https://moviola.jp/seikohan
公式X(Twitter):ID @ seikohan_jp リンク:https://twitter.com/seikohan_jp

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