Cinem@rt エスピーオーが運営するアジアカルチャーメディア

ロングインタビュー|「AntiReset」ホアン・リーフォン(黃禮豐)&ウー・ピンチェン(呉秉宸)

台湾から誕生したオリジナルBLドラマ「VBLシリーズ」の第4部「AntiReset」がデジタル配信中&Blu-ray BOX・DVD-BOX発売中!

この度、 人間の姿と感情を持つAIロボット・恒9(ホンジウ)を演じたホアン・リーフォン(黃禮豐)と、何に対しても興味がない氷のように冷淡な大学教授・褚一平(チュー・イーピン)を演じたウー・ピンチェン(呉秉宸)のロングインタビューを公開!


  ホアン・リーフォンとウー・ピンチェン1

——「AntiReset」に出演されることになった経緯と出演を決めた理由を教えてください。

ホアン・リーフォン オーディションの際、僕は最初から恒9というキャラクターが一番好きでした。その理由は、AIロボットの解釈に挑戦してみたいと思ったことだけでなく、恒9の可愛らしさと魅力、そしてキャラクターの性格の変化に深く惹かれたからです。そのため、この役を演じさせて頂けるよう努力しようと決めました。


ウー・ピンチェン この作品に参加できたことは僕にとって非常に幸運であり、この規模の作品に主演するのも初めてで、魔法のような過程でした。

僕たちのプリプロダクション期間(撮影の準備期間)は十分にあるので、僕とリーフォンは一緒に過ごし、リハーサルを行い、信頼関係を築く時間が多かったです。僕にとって、それらのリハーサルの過程は、俳優として最も幸せな時間でした。撮影期間には多くの挑戦がありましたが、それらの困難を乗り越えたとき、本当に達成感を感じました。最高のパフォーマンスを発揮できなかったかもしれませんが、少なくともミッションを達成するために全力を尽くしました。それは非常に忘れられないものです。

出演を決めたのは、この役が魅力的であり、前後の対比が非常に大きいので、それは僕にとって非常に興味深いもので、彼の世界を深く理解したいと思いました。また、オーディションの時にリーフォンと演技をするのがとても心地よかったので、彼と一緒にこの旅を経験したいと思いました。


—— 演じるにあたり、演出家や制作スタッフから何かアドバイスはありましたか?

ホアン・リーフォン 最初は、自分がロボットに見えないことを心配していましたが、総監修のツァイさんが僕に心配しなくても良いと言ってくれました。なぜなら、恒9は非常に人間らしいロボットであり、機械的な動きをあまりする必要がないからです。彼女は僕に、ただ恒9と一平の間の頼り合う感覚を把握し、オーディション時の解釈に従って演じれば良いと言ってくれました。

ウー・ピンチェン 製作チームが褚一平の背景を説明した際、とても深い印象を受けました。台本には一平の過去の出来事がいくつも記載されていますが、製作チームが教えてくれた情報ほど完全ではありませんでした。彼が子供の頃に両親と経験したことや、犬のことなど、これらの詳細が僕にこの人物をより理解させ、キャラクターに厚みを与えました。そのため、製作チームが彼の過去を多く補足してくれたことに感謝しています。彼のバイオグラフィーを描く際に、これらの詳細は非常に助けになりました。


—— 演じられた人物をどのような人物だと解釈し、演じられましたか?演じるうえで意識されたことや、工夫されたことがあれば教えてください。

ホアン・リーフォン 恒9を演じる際、自分の目がカメラで、身体は鉄とシリコンで構成されたものと想像して、各関節を支点にして動かしました。また、ストーリーに応じて、幾つかの段階に設けて、徐々に人間に近づくように努めました。

物語の前半では、中性的な姿勢を保ち、感情を表に出さず、笑顔も表面的な笑みにとどめました。恒9自身の意識(自我)が発展してきたら徐々に感情や柔軟性を持った目線や動きを取り入れました。同時に、AIに関連する多くの作品を参考にしました。例えば映画の『エクス・マキナ』と『A.I.』、韓国ドラマの「愛しのホロ」、そして日本の「絶対彼氏」など。

しかし、それぞれの作品や俳優のAIロボットに対する解釈や想像力が異なることに気づきました。これが恒9を演じる上での興味深くも難しい部分で、自分自身の恒9を見つける必要がありました。彼は人間になりたがり、愛を望みますが、人間とは何か?愛とは何か?また、人間とAIの間での愛は本当に可能なのか?など、恒9はこれらの問いを常に考えていて、「自我」を追求しています。ドラマを観た方が恒9の自己探求を通じて自分自身を見つけ、深い愛に陥るときの感動を見出してほしいと願っています。

 
©2023 “VBL Series” Partners All Rights Reserved.

ウー・ピンチェン 最初は脚本をじっくりと読みました。その後、そのキャラクターとのつながりを探し、さまざまな可能性を創造するようにしました。

彼の芯は、この世界で生きる価値を見つけることだと思います。はじめに彼は歴史で自分の内面を安定させ、かつて傷ついた自分を歴史で包み、解釈しました。恒9に出会うことで、彼は自分の内面の弱さが解決されていないことに気づきました。そのため彼は重心を恒9に移し、恒9を自分の生きる価値にしました。もちろんたくさんのジレンマはありましたが、最終的には恒9が彼を完全に変え、褚一平が自分自身を見直すきっかけとなりました。

僕自身の人生にも、このような時がよくあります。仕事で忙しくなるように、内面の不安を隠すことがあります。しかし、誰かとの出会いや何かの出来事で、自分の内面の弱さに向き合うべきだと強く思いました。一平は僕に心の弱さに真摯に向き合うことを促しました。しかし、褚一平の最終的な状態が良いのか悪いのかについては、視聴者それぞれ違う解釈があるかと思います。

また、キャラクターのために楽曲リストや体の動きを作りました。褚一平の楽曲リストにはクラッシックがたくさんあります。彼がフーガを好む人物であるため、多くのバッハの音楽が含まれます。また、彼の心を静かにするドビュッシーの音楽もあります。他には、孤独感の強い曲が含まれており、彼の内面の深い脆弱さを反映しています。体の動きについては彼が教授であることから、より背筋を伸ばす必要があるため、歩く際に力強さを意識し、常に胸を張って歩きます。恒9の前だけでは、彼は自分の脆弱さや柔らかさを表現することができます。

僕はリーフォンがロボットであるということを信じるのが難しかったです。映画『her/世界でひとつの彼女』などを参考にしました。しかし、最終的には、愛は非常に広いものであり、さまざまな形があることを理解しました。そして、一平とリーフォンが演じる恒9の間の感情は、一平自身にとって愛の究極の表現であるということに気付きました。彼が恒9を深く愛していると信じるだけでよくて、彼がどのような身分であってもそうであると思うようになり、突破口を見つけようと努力しました。そして、撮影前には脚本分析のレッスンに参加し、そこで学んだ論理を使って役柄の目標や動機などを見つけ出しました。効果はわかりませんが、興味深い新しい試みであると感じました。


©2023 “VBL Series” Partners All Rights Reserved.

—— ご自身と演じられた役柄、似ているところ・似ていないところを教えてください。

ホアン・リーフォン 似ているところは、僕も恒9も世界への不安や、周囲に溶け込めず他人に受け入れられないことへの恐れを深く抱いているという点かと思います。似ていないところは、恒9が子供のような純粋な目と好奇心を持っているので、僕は自身の経験やこれまでの人生の苦しみといった部分を隠さなければならないところでしょう。

ウー・ピンチェン 僕の演じるキャラクターの最初の方の性格と僕自身の間には大きな差があります。一平は比較的冷淡で、物事に対して無関心に見え、感情を内に秘めています。そのため、僕は常に周りの似たような人々を観察し、その人の状態を理解しようとしました。後になって、このキャラクターの芯を見つけ始め、実は僕と似ている部分があると気づきました。

僕は常に、自分とキャラクターの間にはある類似する特性が存在し、そのキャラクターに適しているから自分が選ばれたと感じています。そして、自分の演技でそのキャラクターが唯一無二の姿になるのです。

後でよく考えると、一平は冷たいと感じさせるのですが、実際には感情が豊かで、ただその感情を非常に深く秘めているだけだと気付きました。その後、なぜそのように感情を隠す必要があるのかを探求し、その背後にある動機を理解したことで、僕はキャラクターにより近づいたと感じました。このプロセスはとても楽しく、演技をすることが非常に幸せな体験だと思いました。


—— 恒9にとって褚一平はどんな存在だと思いますか?

ホアン・リーフォン アヒルが生まれた時、最初に目にした人を主人と認識するように、恒9にとって、褚一平は彼の天、彼の存在意義です。


—— 褚一平にとって恒9はどんな存在だと思いますか?

ウー・ピンチェン 褚一平にとって、恒9は彼の人生で唯一、自由を感じさせ、大切にしたい存在です。彼は以前、HARUというペットの犬がいましたが、犬が亡くなった後、再び孤独な一人に戻りました。彼が捧げた愛も一緒に埋もれてしまったようです。恒9が現れたから、彼はこの世界に自分の存在を気にかけてくれる人がいて、自分を理解し、世話をしてくれる人がいることをいることを感じました。

恒9は特別な存在で、彼のおかげで一平の不安感が徐々に消し去られ、壁が一つずつ取り壊され、外の風景を見てみようとし、恒9の目を通して世界の美しさを体験してみようとしました。僕が思うに、一平と恒9が共に歩いて行こうと決めたのと同時に、一平が恒9を失う可能性があることを完全に理解したが、彼は愛を体験したからこそ、愛の本質は今この瞬間に目の前の人のために尽くすことであり、一緒にいる時間を大切にすることを知ったので、勇敢になると決意しました。


©2023 “VBL Series” Partners All Rights Reserved.

—— 恒9が変化していった理由は何だと思いますか? また、褚一平への想いが愛に変わった理由とタイミングについてはどう考え、演じられましたか?

ホアン・リーフォン 恒9が一平に惹かれる鍵は、一平が自分を完全に受け入れ、機械だから尊重しないなんてことはせず、彼を独立した完全な一個体として扱うことだと思います。恒9はそのような温かさに包まれ、徐々に一平への愛情が芽生えていきました。

湖畔を散歩しているとき、一平が「キスの仕方」を教えてくれたため、恒9は一気に心を打たれ、単なる「キスを体験する」ことから、本当に「キスを楽しむこと」に進むことができました。僕は、恒9がここで自分が一平に恋をしたことを確信したと考えています。そのあと、一平が恒9に設定に縛られる必要はないと告げます。この変化は非常に重要だと思います。恒9はここで目が覚めて、自分自身を安心して一平に委ねることを決意しました。その後のストーリーでは、僕は恒9が一平を恋人として見るように演じ、自分自身を本物の人間として振る舞うように演じました。

恒9はその気持ちで、屋上で何麗に対するヤキモチを大胆に伝え、一平と一生を共にしたいという気持ちを示しました。


—— 褚一平が変化していった理由は何だと思いますか? また恒9への想いが愛に変わった理由とタイミングについてはどう考え、演じられましたか?

ウー・ピンチェン 最初は、一平は幼少期の心の傷から他人との接触を避けていましたが、恒9は人間ではないから、むしろ距離を縮めました。そして、一平は恒9に対して好奇心を抱きました。好奇心に駆られていく中で、感情が徐々に芽生えていったのだと思います。おそらく第4話のソーシャルディスタンスのシーンが鍵だと考えます。最初の感情は好奇心から始まりましたが、恒9が彼にキスをすると、一平は自分の内に別の想いがあることに気づきました。そのシーンから、一平の内心には多くの曖昧な感情が芽生え始めたと感じます。そのため、彼は恒9を失うことを恐れるようになりました。

僕は一平の恒9に対する感情をいくつかの段階に分けました。最初はペットのように好奇心で、次に曖昧な感情が芽生え始め、その後、失うことを恐れて冷たく振る舞うようになり、さらには無我夢中で独占したいと望むようになり、最後に信頼と安心が築かれます。台本上では一平の成長が完全に書かれているので、違う段階で彼と恒9の関係がどのように変化していくかを理解するのに役立ちました。


©2023 “VBL Series” Partners All Rights Reserved.

—— 恒9と褚一平の撮影シーンが一番多かったかと思いますが、演じるうえで心がけたことやお互いに対して気を使った部分はどのようなところでしょうか?

ホアン・リーフォン ピンチェンは演技中の感情が非常にリアルであり、テンションの低いシーンを演じる際には、深く入り込んで演じることがあり、それを見ると心が痛みます。そういう時に、僕はできる限り彼のそばにいたり、彼が見える場所にいたりして、誰かが彼と一緒にいて、彼の気持ちを大切にしていることを彼に知らせました。

ウー・ピンチェン リーフォンは素晴らしい俳優で、適応力や調整能力も優れています。撮影中はお互いの状態をよく気にかけ、すべてが順調に進むように確認していました。何かがうまくいかないと感じるとか、気持ちを伝えたい場合はちゃんと話し合っていました。僕たちはいつもお互いのことを考えていると思います。


—— 撮影中に起こったハプニングや印象に残っている撮影裏話があれば教えてください。

ホアン・リーフォン 天台でのキスシーンの撮影は、夜景が非常にロマンチックでしたが、撮影用のライトが山中のすべての虫を引き寄せたため、僕たちは大量の昆虫が舞う中でそのシーンを演じました。キスシーンの撮影中、時々蛾が僕たちの頭の上を飛んでいき、さらに、僕は一匹のゴキブリがピンチェンの体の上にとまってしまったのを見ましたが、それでも僕たちは動じることなくキスを続けました。

ウー・ピンチェン あるキスシーンの撮影の際、華麗な回転をしながら僕が彼を窓ガラスに押し付けたのですが、僕の力加減がうまくコントロールできず、撮影中に彼を直接窓ガラスにぶつけてしまいました。とても申し訳なく感じました...その時は彼が怪我をしないか心配でした。幸いなことに、彼は無事でした。


—— ホアン・リーフォンさんから見たウー・ピンチェンさんはどんな魅力を持った俳優だと思いますか?

ホアン・リーフォン 彼の実際の性格はとても反抗的ですが、世界に対して非常に包容力と理解力を持っています。感じることも感情の表現も敏感で繊細で、かつリアルです。これらは、俳優として非常に貴重な特性で、羨ましく思います。


—— ウー・ピンチェンさんから見たホアン・リーフォンさんはどんな魅力を持った俳優だと思いますか?

ウー・ピンチェン 彼の目はとても魅力的で、すぐに役に入り込み、物語があります。演技するときにも集中していて、時々彼自身と役柄とのギャップが大きいので面白く感じました。また、彼は非常に賢く、彼と脚本について議論すると常に多くのアイデアが湧きます。彼は多くの素晴らしい提案をしてくれる、素晴らしい俳優です。

ホアン・リーフォンとウー・ピンチェン2

—— 撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

ホアン・リーフォン 撮影日数は短く、スケジュールは忙しかったですが、みんなが楽しく働いていたことが印象的でした。僕にとって最も印象的だったのは、クランクアップ日の最後のシーンで、第9話の別れの引きのシーンでした。当時スタッフは一斉に建物の外に移動し、残されたのは僕とピンチェンだけで、二人はまるで本当に別れを告げ、そしてこの建物とも別れるかのようでした。その時の感覚は非常に深く、撮影が終了した後、僕は涙が止まりませんでした。こんなに素晴らしい仲間と一緒に働けて本当に幸せです!


ウー・ピンチェン 雰囲気は非常に良く、みんなでよく遊んでいました。真面目にやらなければいけない時にはもちろん真剣な雰囲気を築きました。撮影中で特に印象的だったのは、第10話、ソファーで映像を見ながら泣くシーンを演じた時です。そのシーンはチーム全体にとってとても重要なシーンであり、スタイリストさんたちも監督のモニターの後ろで見てくれました。その時小さな空間にたくさんの人が集まっている光景は、とても面白くてかわいかったです。当時、僕はエネルギーをかなり消耗していたので、リーフォンを探していました。その小さな部屋に入ると、たくさんの視線が僕を見ていることに気づき、非常に印象的でした。また、その時はリーフォンから多くの力をもらい、そのシーンを完成できたことに感謝しています。


—— 「AntiReset」で、ご自身が一番気に入っているシーンまたはセリフがあれば教えてください。

ホアン・リーフォン 「あなたは悪くない。たくさんの愛をくれた。お礼を言わないと。人間として生きられた。最初で最後の経験でした。リセットされてもかけがえのない思い出です」


ウー・ピンチェン 
お気に入りのシーンは夜景のシーンです。このドラマでは最もロマンチックな場面だと思います。2人の気持ちがピークに達し、感情は非常に濃厚です。また、競争者(何麗)が現れたため、お互いへの独占欲や好意がより明確になりました。撮影当日は夏の夜風が吹いていたから、撮影中には最も涼しい夜だったと思います。快適な雰囲気と綺麗な夜景が相まって、しかも2人が最も愛し合う場面だから、これまでにない感動を味わいました。その時、僕は完全にその瞬間を生きていました。ただリーフォンの目を見つめるだけで、自分が受け入れられ、抱かれ、愛されていると感じました。その感覚が、褚一平が恒9に完全に恋をした、彼と永遠に一緒にいることを決意した理由です。

「“一生”とは、命が尽きるまで一緒にいること」「一生が今この時で止まってしまえばいい」。このシーンは彼らにとって非常に重要です。彼らはお互いを認めました。これは人間とロボットの境界線を超え、純粋に愛の本質について語るシーンです。彼らはお互いを理解し、お互いに頼り合い、一生を共に過ごすことを決意しました。このシーンでは、僕もリーフォンも完全にその瞬間に没頭し、親密な動作も自然でした。

ホアン・リーフォン

——「AntiReset」には、キュンとするシーンがたくさんありますが、ご自身が思うNo.1胸キュンシーンを教えてください。

ホアン・リーフォン 第9話の最後の、恒9が一平の髪、耳、唇、喉ぼとけ、首、そして心臓にキスし、彼への欲望を表現し、その後2人が体を重ねたシーンです。 この甘いシーンの裏には、恒9だけがこれがお互いを占有する最後だということを知っているため、いろんな感情を隠しています。このシーンは切ないですが美しいと思います。

ウー・ピンチェン 第8話のラストの2つのシーン。この2つのシーンは、僕たちがドラマの中で最も親密なシーンであり、感情が最も濃厚で複雑だと思います。恒9にとって、彼が積極的になり、一歩近づこうとするのは、彼が最終的に離れなければならないことを知っているからです。しかし、一平にとっては、この時は彼が失ったものを取り戻す時です。彼は恒9が消えることを認識しているものの、再び恒9を抱きしめることができるという事実にも気づきます。

誰もがこのような経験をすると思います。その経験はパートナーとの和解かもしれませんし、自分が大事にしていたものをなくしてまた見つかったことかもしれません。こういう時、人は失っていたものの重要性に気づきます。 一平にとって、彼が恒9を強く抱きしめてキスするのは、もう恒9を失いたくないという気持ちがあったからです。彼は犬を失ったり、親の愛情を失ったりしたように、自分がとても大切にしている人をもう二度と失いたくないのです。だから、一平は恒9を大切にしたいと思っています。

彼は自分がすべての瞬間を大切にできる事を願っています。毎回のキス、毎回の触れ合いは、その時の彼にとって最も貴重なものでした。彼は自分の心と体を恒9に託し、彼はこの愛に入り込む決心をしました。彼は過去の不安を取り除き、目の前の存在を信じることを決意しました。

僕は、このシーンは非常に重要だと思います。何故ならここで一平は全ての防御を取り払いました。これはその後の発展が一平に与える影響がとても大きい理由でもあります。


©2023 “VBL Series” Partners All Rights Reserved.

—— 恒9と褚一平の2人のシーンで一番思い出深いシーンは何ですか?

ホアン・リーフォン 思い出深いシーンは、恒9が一平にビデオレターを撮ってあげたシーンです。直接対面ではないけれど、画面越しでも共演シーンとも言えるでしょう(笑)。

このシーンは、各シーンの撮影が終わった後に特別に時間を設けて撮影しなければなりませんでした。感情を素早く切り替えて、さっきまで一緒にいた幸せから離れ、別れの悲しみに浸る必要がありました。最初は緊張していましたが、気づいたら、僕はその場に集中していて、当時僕たちが一緒に過ごした多くの思い出のシーンや場所を見つめると、悲しみや別れの感情が自然に湧いてきました。


ウー・ピンチェン 第10話全体は僕にとって非常に衝撃的でした。演技の難しさだけでなく、感情の変化も僕が今まで演じてきた役の中で最も立体的でした。叔父とのシーン、恒9とのシーン、自分自身との対話、どれも非常に難しい挑戦でした。今でももっといい演技ができるはずだったと感じていますが、当時はその場にいることに集中し、すべての感情が非常にリアルでした。

撮影中に、何度か僕は考えすぎてしまい、状況に入り込めない場面がありました。しかし、リーフォンの手を握ったり、抱きしめたりして、そして彼と離れるときに、とても愛する人と別れる痛みを強く感じることができました。リーフォンと触れ合うことで、まるで一平と恒9の魂が僕の体内に触れ合って、完全に溶け込んでいくような感覚でした。

第10話で、僕は失恋した経験を思い出しました。とても愛している人と別れなければならないという事は、これまでで最も心が痛む経験でした。また、大学時代に友人が亡くなったときの衝撃も思い出しました。それは僕が同世代の誰かがいつでも周りから去る可能性があることを初めて経験する瞬間でした。友人が突然脳卒中で亡くなったことを聞いたその夜は、泣き続けることしかできませんでした。命はとても脆弱であり、愛する人が去ることは非常に大きな出来事です。演技をしているときにも、恒9が消え去り、リーフォンが消え去った場合、僕にとってそれはどんな感覚なのか、どうやってきちんと別れを告げるべきかを考えていました。


—— この作品はご自身にとってどのような作品になりましたか?撮影など振り返ってみての感想と合わせて教えてください。

ホアン・リーフォン この作品は人間とAIの間での愛の可能性について議論しています。僕はある観点から見ると、AIの愛(もしそれが本当に愛であるとすれば)は人間の愛よりもより純粋で揺るがない可能性があると思います。僕はこのテーマについて常に興味を持っているので、この作品に参加し、恒9役を演じられて幸せだと感じています。

一方で、僕は昔からBLに関連するジャンルに縁があり、多くのBLの先輩俳優たちが輝いているのを見てきましたので、もちろんこの作品を通じてより多くの視聴者に自分を知って頂きたいと思っています。しかし、俳優としての仕事そのものに立ち戻ると、僕たちが最も重視すべきなのは自分の演技、そして役柄や物語全体に対する責任です。作品が成功できるかどうか、僕たちはコントロールできませんが、少なくともこれまでいただいた貴重な経験(宣伝、インタビュー、メディアへの対応)、ファンからの愛情、そしてピンチェンと支え合って、大切な仲間となった思い出は、かけがえのない収穫でした。


ウー・ピンチェン 「AntiReset」は僕にとって非常に重要な作品です。僕に世界のさまざまな側面を見せてくれ、たくさんの新しい経験をさせてくれました。そのことに心から感謝しています。すてきなスタッフたちと知り合い、リーフォンとはとても親しい友人になり、一緒に1年以上の冒険の旅を経験しました。このドラマから得られたすべてに永遠に感謝します。この旅を経験した後、僕は非常に成長したと感じています。この宇宙が僕に「AntiReset」に出会わせてくれて本当にありがとう。

ウー・ピンチェン

—— 「AntiReset」をこれからご覧になられる日本の視聴者に向けて、自分たちだからこそ知っている“ここに注目しておくともう一歩楽しめる”というポイントを教えてください。

ホアン・リーフォン 二人が動物園で食べたアイスクリームは、実は溶けないようにとマッシュポテトで代用しました。アイスクリームを食べているように見せるために、甘く美味しそうな表情をしながら食べないといけなかったです。それは大きい挑戦でした!

ウー・ピンチェン 最初の数話では、教授は冷淡な性格に見えますが、細かく見ると彼は違う人に対して違う反応を示していることが分かります。これは僕自身にとって非常に興味深いことで、演技する際の大きな楽しみどころでもあります。彼は対象を非常に明確に区別しているため、反応も微妙に異なります。


—— 最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

ホアン・リーフォン 日本のすべてが大好きです。簡単なことでも細やかで完璧に仕上げると感じます。たとえば、偶然に食べたけど忘れられない親子丼。肉は柔らかく、卵は滑らかで、ソースがやさしくご飯と絡み合って、すべてがちょうど良かったです…。 皆さんまたお会いできること、そして僕が仕事でもプライベートでも日本に行ける機会が増えることを願っています! 皆さんが安全で健康であり、すべてが順調でありますように。そして、純粋な幸せを引き続き楽しんでください!

ウー・ピンチェン 皆さん、応援ありがとうございます。日本のファンが応援してくださって本当に幸せです。ファンミーティングは本当に夢のようなものでした。できるだけ早く多くの作品を持って日本に行きたいです。僕本当に日本のすべてが大好きです!次回会うのを楽しみにしています!

ホアン・リーフォンとウー・ピンチェン3



「AntiReset」
「AntiReset」キービジュアル

・デジタル配信中
・Blu-ray BOX、DVD-BOX 発売中

BD:13,200円/DVD:11,000円(どちらも税込)
映像特典:メイキング他
封入特典:ブックレット、サイン入りチェキ風カード
発売・販売元:エスピーオー
HP:https://www.cinemart.co.jp/dc/t/vbl4.html
X:https://twitter.com/vbl_rio_love
©2023 “VBL Series” Partners All Rights Reserved.

記事制作:Cinemart編集部

記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!

TOP