「中国医療の名人堂」この名医、時代劇でみたことある!?|雑誌『和華』セレクション
中国ドラマ好きのための、雑誌『和華』セレクション
毎号1つのテーマを徹底的に掘り下げ、日中文化の魅力を再発見する雑誌『和華』。様々なテーマを取り上げてきた『和華』のバックナンバーから、読んでおくと中国ドラマ鑑賞がより楽しくなりそうな記事をピックアップして紹介します。
『和華』HP:https://visitasia.co.jp/waka/
中国医療の名人堂
文・イラスト/『中國旅游』 翻訳/中島大地
(『和華』第16号 特集「漢方」より)
中国の伝統医療は太古の「1本の針、1本の灸、1碗のスープ」から始まり、2000年前にはすでに厳密な理論体系を形成していた。世界の4分の1の人口の繁栄、生存、発展を維持し、世界で唯一、数千年にわたって途切れることなく伝わり、今に至るまで受け継がれてきた古代医学。この数千年の発展の中には、輝かしい名前と偉大な大著がきらめいている。
太古
治療石、骨針
中華民族の祖先は進化の過程で火と火を使って病を治すことを知る。それがお灸療法の起源となった。石器を使用するうちに治療石を発明し、石針、骨針へと発展させ、やがて針療法となった。動植物を食べる中で病気を治す効果があると分かり、それが煎薬の起源となった。
百草を味見する 神農
『史記・補三皇本紀』には次のように記載されている。「神農は臘日をつくり、赭鞭をもちいて草木を鞭打ち、百草を味見して、はじめて医薬とした。」前漢初期の『淮南子』にも次のような記載がある。「神農は百草の滋味を味わい、1日にして70の毒に遭った」
鍼灸の祖 黃帝
中原の各民族共通の祖先と言われ、岐伯と医学を討論したこともある。中国に現存する最古の医学典籍『黄帝内経』は黄帝の名にちなんでつくられた。『内経』の中に多くの針灸に関する方法、理論が記録されているため、黄帝は後世の人から針灸の祖として尊ばれた。
春秋戦国
『黄帝内経』
戦国、前漢頃に成立した、太古の時代の中国人の医学と養生における知恵の結晶であり、中国で初めての医療理論の教典と呼べるものだ。養生に関する初めての貴重な書物、生命に関する百科事典であり、『伏羲八卦』、『神農本草経』とともに「上古三墳」と称される。
脈学の創始者 扁鵲
もとの名を秦越人といい、およそ紀元前5世紀に生きた。彼は診断に優れ、特に望診法と切脈で名高い。斉の桓公の望診や、昏睡した虢国太子を蘇らせたという言い伝えによって漢方医師たちの熱い視線を浴びている。『史記』には次のような記載がある。「今に至るまで、天下で脈と言えば扁鵲だ」
漢
外科の祖 華佗
後漢の著名な医学者(約145〜208年)。内科、外科、婦人科、小児科、針灸などに優れ、特に外科医として称賛された。初めて酒で麻酔薬「麻沸散」をつくり、腹部の手術を行い、外科の祖と称された。『三国演義』の中には、華佗が関羽のために骨を削り毒を取り除いたという描写がある。
医聖 張仲景
後漢の傑出した医学者(約150〜219年)。当時の疫病の流行と惨憺たる死の光景を目の当たりにして、「古人の教訓から学んで、幅広く方法を収集した」。『傷寒雑病論』を著して中国医療の弁証施治という医療原則を確立して、後世「医聖」とたたえられた。
『神農本草経』
中国に現存する最古の薬物学書。その中には、薬365種(植物の薬252種、動物の薬67種、鉱物の薬46種)が掲載されており、上品(じょうほん)・中品(ちゅうぼん)・下品(げほん)に分かれている。中国の民間薬である中草薬が初めて系統的にまとめられた。
魏晋
予防医学の先導者 葛洪
道教の代表人物の1人(261〜314年)。著名な医薬学者、煉丹術師であり、彼の養生に関する著作『抱樸子』は唐代に多くの不老不死を求める皇帝たちの枕元に置かれる読み物となった。彼の著作『肘後備急方』には天然痘に関する症状と治療に関する最古の記載がある。
唐
藥王 孫思邈
唐代の人(541あるいは581〜682年)。養生を尊び、自ら実行して、百歳を過ぎても視力、聴力が衰えなかった。彼の医術は精密であり、医学を行いながら薬を採り、唐の太宗李世民から「薬王」に封じられた。著作に『千金要方』、『千金翼方』などがある。
宋
小児科の祖 銭乙
北宋の著名な小児科学者(1032〜1113年)であり、著作に『小児薬証直訣』3巻がある。本書は、ヨーロッパ最古の小児科に関する著作より300年早く、中国に現存する最も古い原本の形式で保存されてきた小児科学の専門書であり、「四庫全書」において「小児科の祖」と称されている。
法医学の祖 宋慈
南宋の著名な法医学者(1186〜1249年)。彼の著した『洗冤集録』は世界最古の法医学の専門書であり、元、明、清の刑官、法官にとっての必読書である。フランス語、イギリス語、オランダ語など多くの言語に翻訳された。西洋の同類の著作より350年あまり早く、世界の法医学の元祖と言える。
明
薬聖 李時珍
明代の傑出した医薬学者(1518〜1593年)。彼は長期にわたって山に登って薬を採り、民間に分け入って、歴代の医学書800種余りを参考にして、27年を費やして、「東方薬学の大著」とよばれる『本草綱目』を著した。その本では1892種類の薬を収録して、李時珍は人々から「薬聖」と称された。
清
『医宗金鑒』 呉謙
清代初期の三大医学者の一人(1689〜1748年)。乾隆時代に太医院の院判となり、皇帝直属の医者として彼はよく皇帝の身辺に仕えた。後に『医宗金鑒』を編纂したが、全90巻に及ぶ本書は中国の総合的な医学書物の中で最も完璧で最も要領を得た著作となっている。
今回ご紹介した記事は第16号「漢方」特集に収録!
漢方の基本的な知識や成り立ちをご紹介しています。
発売中 763円(税込)
出版社:アジア太平洋観光社/星雲社発売 出版年:2017年
https://visitasia.theshop.jp/items/53230740
バックナンバー一覧:https://visitasia.co.jp/waka-backnumber
公式ショップ:https://visitasia.theshop.jp/categories/3856510
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