「公主」と「郡主」、違いはなに?|中国時代劇トリビア #90
ひょんなことから結婚相手を間違えたカップル2組が運命の愛に出会う溺愛ラブコメ時代劇「花咲く合縁奇縁」。最旬イケメン俳優ホアン・ジュンジエと、フレッシュな魅力あふれる若手女優リー・ゲンシーの共演が話題となり、各種人気ランキングで1位を獲得したこの作品。今回は、この人気ドラマの中で気になるアレ!を探っていきます。
「郡主」ってどんな身分の女性? 「公主」とは何が違う?
「花咲く合縁奇縁」© Youku information technology (Beijing) co., LTD
“プリンセス“とひとくくりにできない女性たちの呼称。中国時代劇「花咲く合縁奇縁」で、生粋のお嬢様である陸英瑤は郡主として大切に扱われています。この「郡主」とはどんな身分なのでしょうか?
郡主は、古代中国の封建社会における皇族の女性に対して使う呼称で、「郡公主」が変化したもの。郡の王女という言葉に由来し、漢王朝の東部で始まりました。郡主が皇太子の娘という特定の称号であったのは唐王朝まで。宋王朝以降は、皇太子の娘だけでなく王子の娘もこの呼称が使われるなど、時代の変化により、郡主は皇帝の娘、皇太子の娘、女王の娘、王子の娘など様々なアイデンティティを持つようになります※。
では、同じく時代劇にたびたび登場する呼称で、先の文中にも出てきた「公主」はどんな身分なのでしょうか?
公主は古代中国における王女の呼称で、皇帝の娘、王子の娘で、王公貴族の女性子孫にあたります。公主に対応する男性の呼称は王となります。周朝では「王姬」、戦国時代に「公主」という称号が始まります。前漢の諸侯王女には「翁主」という呼称があり、ドラマで見かけることがあるかもしれません。
また、これもよくドラマに登場する「長公主」は、皇帝のおばが大長公主、皇帝の姉妹は長公主、と呼ばれるそう。ちなみに臣下が公主を娶ることを「尚公主」といい、その夫は「駙馬」と称します。ドラマに登場する駙馬のキャラクターが、かな~り肩身が狭そうな様子で描かれるのは、このためなのですね!
※郡主の身分に関してはドラマ「明蘭」のトリビアでもご紹介しているので、ご興味があればこちらもご参照ください!
Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。
「花咲く合縁奇縁」
DVD-BOX1発売中/BOX2 2022年8月3日発売(各16,500円・税込)
発売・販売元:エスピーオー
公式サイト:https://www.cinemart.co.jp/dc/c/aienkien.html
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