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「中国四大刺繍」とは?|中国時代劇トリビア #86

家族を失いながらも、数々の逆境の中を才能と強い心を持って成長していくヒロインを描いたドラマ「霓裳(げいしょう)~七色に輝く虹の如く~」。古代ファッション業界を舞台に繰り広げられるこの物語に登場する、古代中国の刺繍や織物について、今回は注目していきます!
   

中国四大刺繍ってなに?

「霓裳」場面写真2
「霓裳(げいしょう)~七色に輝く虹の如く~」
ⓒYouku Information Technology(Beijing) Co., Ltd.

中国の染色・織物の起源についてはこちら

刺繍は官吏の服にも階級を表すものとして使用され、様々な動物や模様が描かれるようになりました。民間伝統工芸としてひろまった刺繍には、蘇州の「蘇繍」、広州の「粤繍」、湖南の「湘繍」、四川の「蜀繍」があり、これらは「中国四大刺繍」といわれています。

蘇繍
蘇繍は2600年以上の歴史を持ち、中国の刺繍の中でももっとも古い歴史を持っていると言われています。宋の時代に既に大きな規模となり、明の時代には独特なスタイルを確立し、浸透していきました。清の時代に発展はピークを迎え、当時の皇室の刺繍の多くは蘇繍が用いられていたそうです。双面異繍とも呼ばれる両面刺繍の技法が有名。

粤繍
粤繍は「広繍」とも言われています。構図が複雑で、色取りが鮮やかな点が特徴で、文様には花と鳥、鳳凰、ボタン、松、鶴、サル、シカ、鶏、ガチョウなどがよく用いられています。その粤繍の中でも、最も有名なのが汕頭(スワトウ)刺繍。「汕頭」は広東州東部にある街の名で、18世紀頃、香港経由でキリスト教の宣教師がヨーロッパのレースや刺繍技術を伝えたことに由来し、その後独自の形となっていったそうです。

湘繍
湘繍は湖南省長沙市を中心に作られている刺繍。古代の農村の女性たちが、衣類や小物入れ、たばこ入れなどを装飾するために行っていた針仕事が起源とも言われているそうです。中国画の技法を刺繍の下絵に用いて、その繊細な表現を実現するために様ざまな運針法を編み出しており、精巧かつ色彩豊かに、生き生きとモチーフが描かれています。

蜀繍
四川省成都市を中心とする蜀繍は「川繍」と呼ばれています。サテンとカラーの絹糸を用い山や川、人物、花と鳥、虫と魚などを刺繍し、写実的に色が鮮やかに表現された人物や風景、動植物などの絵柄が多く、絵画のように光や色を重視し立体感を持って細やかに描かれるため、工芸を超えた芸術としての評価も高く、海外でも人気に。縫い目は細かく色々な変化に富み立体感があります。

参考文献
黄能馥・切畑健.『中国美術全集6』工芸編染織刺繍(Ⅰ).株式会社京都書院.

【中国時代劇トリビアのバックナンバー】

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。

このコラムに登場した作品
「霓裳」DVDジャケット

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