【特集】「山河令」ゲイリー・シン監督 インタビュー “主演2人の内なる性格が、役柄と非常に似ている”
2021年最大のヒットとなったブロマンス時代劇「山河令」が現在DVDレンタル&配信中、Blu-ray&DVD-BOXが4月8日より発売! このリリースを記念し、本作の演出を務めたゲイリー・シン(成志超)さんのインタビューをお届けいたします。
― 「山河令」を監督することに決めた理由は何でしょうか? このドラマのどんなところに魅力を感じましたか?
ゲイリー・シン監督(以下、シン監督) 2019年の年末に本作のプロデューサーからオファーを受け、脚本を見た後、ドラマ化を引き受けました。脚本に描かれた武侠の世界と義侠精神に深く感動して、創作意欲が湧き、この作品で“新たな国風”武侠ドラマを作るという構想が浮かびました。この構想があったので、慈文影視(ツーウェン・メディア)から難なく「山河令」への協力を取り付けられました。
― 「山河令」が配信される前に、これほどの大ヒットを予想していましたか? 中国、そして海外でも支持された理由は何だとお考えですか?
シン監督 先ほど、本作を“新たな国風”武侠ドラマにしたいと言いましたが、この構想はプラットフォーム側の制作者の考えとも合致していました。皆が意気投合して、すぐに本作の作風を決めました。
実際の作業では、どうすれば伝統的な名作武侠ドラマの要素を失わずに、新鮮な要素を盛り込めるかを考えつつ制作する必要がありました。のちにアクションにダンスの要素を加えたいと思い、武器に柔軟性を加えました。全体の感じは飄々としつつ、強壮さも失ってはなりません。撮影前に何度も実験や練習をしました。失敗した経験を総括して、再び挑戦したんです。
最終的には現れた効果は大成功でした。“新たな国風”武侠ドラマという概念こそ、本作の魅力であり、本作が突出した理由だと思います。視聴者は、視覚で伝統的な武侠の要素とドラマ全体に加えられた新鮮味を感じることができます。演出家としては、ドラマ全体の作風と品質をコントロールするだけでなく、市場のニーズを理解し、受け手と同じ周波数でいる必要があります。あるタイプのドラマが市場で飽和傾向にある、もしくはすでに飽和状態にある場合、どうやって突出できるかを、学び考えて続けています。
― 人気小説を原作とした時代劇ドラマの場合、一般の視聴者と原作ファンの両方の期待に応えるべく、バランスをとらなければならないと思いますが、これについてはどんな考えをお持ちですか?
シン監督 原作を改編して制作するドラマについてですが、この類いのドラマを制作する初期の段階で、まず真剣に原作を読み、原作のストーリーの中核を理解する必要があります。この類いの作品は、原作の精神と人物関係を失ってはならないと思います。改悪してはなりません。
その次に、今のドラマ市場と受け手を結び合わせ、新しい要素を加えて、ストーリーと人物を最適化します。ストーリー全体を今の市場のニーズに合わせつつ、原作の精神も失わないようにするんです。
― 主演のチャン・ジャーハン(張哲瀚)さんとゴン・ジュン(龔俊)さんを起用された理由を教えてください。
シン監督 チャン・ジャーハンさんとゴン・ジュンさんに初めて会い、少しおしゃべりした人の多くが、彼らの性格と役柄には相違があると感じるでしょう。チャン・ジャーハンさんは活発でおしゃべり好きですが、ゴン・ジュンさんは口数が少ない。役を交換したらちょうど良さそう、と。
ですが私は彼らと長い付き合いがあり、さらに撮影時に役柄について深い話もしてきたので、2人の内なる性格が役柄と非常に似ていると思っています。チャン・ジャーハンさんは明るいですが、何か問題を話し合う時はとても穏やかです。こういう時、彼が周子舒(ジョウ・ズーシュー)の性格に近いと分かります。ゴン・ジュンさんの口数は多くありませんが、冗談を言うのが上手です。ゴン・ジュンさんは特別なものを持っていて、清らかで純粋です。これは、まさに温客行(ウェン・コーシン)を演じるうえで必要なものです。温客行は子供のような純粋な感覚を持っているからです。
― お二人のほかにも、キャスティングについて印象に残っている方はいらっしゃいますか?
シン監督 本作に出演した俳優は皆、役柄にとても合っていたと思います。大勢の有名な実力派俳優に参加してもらいました。また若手で伸び盛りの俳優も出演しています。皆の演技がとてもすばらしく、印象深かったです。本作に力を貸してくれたことを感謝しています。本作の成功も、彼らの尽力のおかげです。
― 強い絆で結ばれた周子舒と温客行に、多くの視聴者が夢中になりました。二人の関係性をあれほどまで魅力的に表現できた秘訣はなんなのでしょうか? 演出の際に特に意識されたことがあれば教えてください。
シン監督 どのドラマを撮影する場合も、演出家はまずドラマのストーリーと人物関係をよく理解して、先にストーリーと役柄に入り込んでおく必要があります。ストーリーと役柄に本当に入り込んでいれば、撮影するたびに、登場人物はどのような心理状態か、彼/彼女はどのような動作や反応、目つきをするか、自然と答えが浮かんできます。
― チャン・ジャーハンさんとゴン・ジュンさんに、具体的にはどのような演出をおこないましたか?
シン監督 俳優に演出を行ううえで一番重要なのは、目で会話することです。多くのことは言葉で言えば簡単かもしれませんが、目や表情、動きなどで人物の内面の感情を正確に表現するのは簡単ではありません。主役の2人が払った努力に、大きな驚きと喜びを感じました。
また、彼らには自分の武器に愛着を持つよう求めました。あらかじめ2人がグループで訓練を行うよう手配する必要がありました。周子舒が劇中で使う武器は柔らかい剣なので、チャン・ジャーハンさんは機敏に動く必要がありました。ゴン・ジュンさんは扇子の使い方を学ぶ必要があり、手の柔軟性を高めました。
俳優は自分の武器に愛着を持ってこそ、最高の結果を出せます。愛着があれば上手く使いこなせるようになるんです。訓練を行ったのは、彼ら2人のチームワークをより深めるためでもありました。
― 本作には、セリフや衣装、美術など、細部にわたりこだわりと意味が詰まっています。こういった演出はある程度脚本に書かれていたのでしょうか? それとも演出の段階で追加していったものなのでしょうか?
シン監督 脚本は撮影前にすでに完成していますが、時には撮影段階で、現場の様子や俳優との会話をもとに少しセリフを改良することがありました。
衣装や美術は、一般的に準備段階でたくさん仕事があります。多くの資料を探し、美術や服装などの各部門と会議を行い、全体的な作風をどのように表現するか詳細に話し合います。会議で決定した注文して基調に沿ってもう一度デザインを作り、基調とずれていたら再び会議をして修正案を話し合います。最終案が確定するまでです。そして発注して制作します。これら一連の複雑で煩雑な流れを撮影前に、すべて済ませなければなりません。
― 特に思い入れのあるシーンはありますか?その理由も教えてください。
シン監督 特に好きなシーンは2つあります。1つは主役の男性2人が日なたぼっこをするシーンです。「こうして誰かの名を呼べる。幸せだ。」(第12話)というセリフは、2人が互いに救い合う関係であることを証明しています。とても心温まります。
もう1つは、湖面で戦うシーン(第6話)です。これは気持ち的なものかもしれません。湖面にたくさんの煙霧を発生させたことで、場面に奥行きが出て、より美しいシーンになりました。画面の背景は、より水墨画っぽくなっています。この時の2人は、まだ互いに腹を割っておらず、煙霧は彼らの心の状態と同じです。あのシーンは、ドラマ全体に通じるアクションの概念を集中的に体現しており、画面全体がまるで水墨画のようです。また私の代表的な考えを表現しています。
― 「山河令」はじめ、シン監督が思う「ドラマを描く際に最も大切なこと」は何ですか?
シン監督 すべてのドラマを作るうえで一番大切なことは、作品に対して真っすぐな気持ちで向き合い、ありったけの努力を払うことだと思います。結果のよしあしはあまり気にしません。自分が本当に努力と情熱を傾けたかどうか、また各ステップをきちんと行ってきたかを考えるんです。この2つのことができていれば、自分の作品に対して恥じることはありません。
― 「山河令」をこれから見る日本のファンに、メッセージをお願い致します。
シン監督 日本の視聴者が「山河令」を気に入ってくれたことを本当に感謝しています。本作を応援してくれてありがとうございます。今後も、さらに多くのすばらしい作品を生み出して、皆さんにお届けします。応援してくれてありがとうございます!
(インタビュー実施:2021年7月)
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