「驪妃(りひ)」は“ハラハラドキドキしたい!”あなたに効くドラマ《前編》|アジアドラマの処方箋#28
この連載では、様々な症状に効く中国ドラマ・台湾ドラマを紹介。第28回の今回は「ハラハラドキドキしたい!」あなたにおすすめの1本を紹介します。
お薬ドラマ「驪妃(りひ)-The Song of Glory-」《前編》
このドラマの効能
・ドラマチックなラブストーリーとサスペンスを堪能できます
・最後の最後までハラハラドキドキできます
・いつもとは一味違ったラブ史劇が楽しめます
「驪妃(りひ)-The Song of Glory-」を詳しく解説《前編》
・前編「1つの事実と複数の真実〜サスペンス編」
・彭城王は善人?悪人?
・沈家の娘は2人いる?
前編「1つの事実と複数の真実〜サスペンス編」
最近の中国時代劇はサスペンス要素の強い作品が流行中。
そのため「王女未央-BIOU-」のスタッフが再集結した「驪妃(りひ)-The Song of Glory-」も、皇宮を舞台にした男女のドラマチックなラブストーリーだけでなく、先の読めない権力闘争のサスペンスが見どころとなっています。
特に、このドラマはある「事実」について、いくつもの「真実」が描かれていくのがポイント。
「事実」とは、実際に起こった客観的な出来事。
「真実」とは、その事実に対する主観的な解釈。
つまり、「事実」は一つでも、それを受け取る人の数だけ「真実」があると言っても過言ではないのです。
まずは、本作を面白くしている1つの「事実」に複数の「真実」が絡み合うサスペンス満載のストーリー設定を紹介しましょう。
彭城王は善人?悪人?
【事実】
南朝の宋では皇帝が長らく病で臥せっていて、代わりに彭城王が監政として政治を担っています。
しかし、実際に権力を握っているのは外戚(孫太妃の親戚)の陸遠で、彼が朝廷を牛耳っています。
【真実1 朱雀盟の刺客/驪歌の場合】
朱雀盟の刺客として育った驪歌にとって、彭城王は両親を死に追いやって自分を孤児にした仇敵です。
しかも、奸臣・陸遠をのさばらせている、無能で悪どい為政者でもあります。
彼女にとっての真実とは、「彭城王を成敗することこそが正義であり、国のためである」ということ。
そのため、朱雀盟の暗殺指令に従って、迷うことなく彭城王の命を狙います。
【真実2 監政/彭城王の場合】
彭城王は病弱な体を抱え、監政でありながら、陸遠の専横を許しているように見えます。
ところが、それは陸遠と互角に戦う力を蓄えるまでの時間稼ぎ。
あえて病気のふりをして、彼との衝突を避けることで、彼を油断させてきたのです。
そして今、彼は陸遠の悪事を暴くため、身分を隠して潜入捜査を始めます。
【真実3 後宮の主/孫太妃の場合】
孫太妃は血の繋がらない彭城王を幼い頃から育ててきた養母。
彭城王を支持しているようですが、本当に可愛いがっているのは実の息子・竟陵王です。
しかも、彭城王と対立する陸遠は、彼女にとって親族。
こうした状況下で真に権力争いをコントロールできるのは自分だと、孫太妃は自負しているのです。
沈家の娘は2人いる?
【事実】
驪歌は18年前に何者かにさらわれた沈家の長女・嘉寧である証拠となる腕輪を持っていました。
そのため沈家に迎え入れられ、養女の沈楽清とは義理の姉妹となります。
【真実1 朱雀盟の刺客/驪歌の場合】
驪歌が腕輪を持っていたのは、朱雀盟で一緒に育った親友の阿奴から受け取った形見だったからです。
驪歌と同じく孤児だった阿奴は、朱雀盟の師匠・徐臨の命令で驪歌の身代わりとなり、陸遠に殺されてしまいました。
そして、息を引き取る前に、彼女の出自を辿る手がかりとなる腕輪を驪歌に託したのです。
結局、驪歌はこのチャンスを活かして沈家に潜入し、任務と復讐を続けることを決めます。
【真実2 沈家の養女/沈楽清の場合】
沈楽清は幼い頃に両親を亡くし、その死に責任を感じた将軍・沈廷章に引き取られ養女となりました。
そして、さらわれた長女の代わりに、沈家の一人娘として愛情を受けて育ってきました。
しかし、突然、驪歌が長女として戻ってきたことで、沈楽清は“妹”になってしまいます。
彼女にとってはいきなり二番手の娘に格下げされたも同然で、沈家の人々にどんどん恨みを募らせていきます。
【真実3 監政/彭城王の場合】
既得権益を守ろうとする名族の陸遠に対抗するために、庶族の沈廷章と手を組みたい彭城王。
彼はそのために沈家と姻戚関係を結ぶのが最善だと考え、沈廷章を説得します。
彼にとっては、沈家の娘もまた陸遠に対抗するために必要なキーパーソンなのです。
そんな中、沈家では驪歌と沈楽清のどちらを彭城王に嫁がせるのかが問題となりますが……。
このように、1つの「事実」にそれぞれの「真実」があることで、ストーリーは1話ごとにハラハラの展開に!
しかも、このサスペンスと並行して、お互いの正体を知らないまま驪歌と彭城王が出会って恋が始まるラブストーリーも進行していくことに!
後編「1つの事実と複数の真実〜ラブストーリー編」では、そんな驪歌と彭城王による思いがけないロマンスの「事実」と「真実」にも迫ります。お楽しみに!
後編「1つの事実と複数の真実〜ラブストーリー編」につづきます
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TEXT: 小酒真由子(フリーライター)
アジアから欧米までドラマについて執筆しています。双葉社『韓国TVドラマガイド』にて「熱烈推薦!! 中華ドラマはこうハマる!」を、Cinem@rtにて「アジドラ処方箋」を連載中。また、執筆させていただいたキネマ旬報ムック『中国時代劇で学ぶ中国の歴史 2022年版』が絶賛発売中です。
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