Cinem@rt エスピーオーが運営するアジアカルチャーメディア

アジア版ピューリッツァー賞「SOPA」、台湾公共テレビが2部門受賞

ニュース提供元:台湾公共テレビ(公視/PTS)

1999年、香港を拠点に創設されたアジア出版者協会(SOPA)は、優れた報道に賞を授与し、アジアのピューリッツァー賞とも呼ばれる。2021年度は世界各地の国・地域の独立メディアから、計760件の応募が寄せられた。6月24日の授賞式は、新型コロナウイルス感染症の影響により、オンラインでライブ配信された。


台湾公共テレビ(公視/PTS)は初のSOPA出品で、2部門の賞にノミネートされただけでなく最優秀賞受賞という国際的評価を得た。一つは「P#新聞實驗室」(公視ニュースラボ)が制作した「中国軍機が台湾の防空識別圏を飛行する政治的意図を読み解く−−台湾の海が米中対立の戦場に」という内容で、ニュース解説部門の最優秀賞を受賞。もう一つは環境ニュース番組「我們的島(原題)」(私たちの島)による「ごみが溢れる島−−燃やしきれない廃棄物」が、環境ニュース部門の最優秀賞を受賞した。

 


「P#新聞實驗室」の制作チームは、3〜4カ月かけて資料を集め、ビジュアル化したグラフやイラストを用い、中国軍機がこの1年で台湾空域に侵入した空路、ミサイル射程、台湾の対応措置などを説明し、米中台三方のパワーバランスについて理解を促した。プロデューサーのジュオ・グワンチー(卓冠齊)は、「私たちは公共メディアの本分をわきまえ、報道のさらなるステージのために努力を惜しまない。異なる思想を持つ人々との壁を乗り越え、対話の可能性を取り戻せるようになれば」と話した。

公式サイト https://news.pts.org.tw/project/china-warplane-activity/

「我們的島」の取材チームは廃棄現場を直撃。さらにP#新聞實驗室の協力を得て、長期間をかけて集めた環境資料のデータを分析した上で、対話型チャートや映像を作り、台湾のごみ処理の窮地を脱する解決策の提案に導いた。プロデューサーのユー・リーピン(于立平)は、「さまざまな伝達チャネルと革新的な語りによって、環境ニュースの影響力を拡大することを、ずっと目標としてきた」とし、「最も重要なのは、報道のコア・バリューが変わらないこと」と強調した。

公式サイト https://news.pts.org.tw/project/garbage-island-2020/

翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。2017年4月より、ラジオ番組「Asian Breeze」では台湾の現地情報を発信するコーナーを担当中。

記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!

TOP