中国ドラマに登場する「神獣」たち|中国時代劇トリビア#66
神々たちが活躍するドラマ「運命の桃花~宸汐縁~」「夢幻の桃花~三生三世枕上書~」では、色々な神獣たちが登場し、時にはドラマの可愛いマスコットのような存在になって、私たちを楽しませてくれます。今回はこの神獣について、探って行きたいと思います!
まずは四神と言われている神獣をご紹介していきます。
四神とは、青龍・朱雀・白虎・玄武の四つの神獣を指します。四神は、中国神話において天の四方の方角を守護している神獣です。この四神の思想は、古代中国における陰陽五行思想に基づくもので、四神は天の東西南北の星宿(中国で定められた星座)の象徴であり、それぞれが掌る方位・色・季節などをもつとされています。
このことから、中国の神獣は、天から国や人々を守る需要な存在であったことが分かります。四神図と星宿・天文図は互いに作用しあい、一つの宇宙、世界を象徴していると言われています。
●「青龍」は想像上の動物・龍で表現される。方位は東を掌り、色は青、季節は春を象徴。
●「朱雀」は鳳凰とも混同される想像上の霊鳥で、孔雀あるいは山鳥に似た形で表現される。方位は南、色は朱(赤)、季節は夏を象徴。
●「白虎」は白い虎。方位は西、色は白、季節は秋を象徴。
●「玄武」は蛇と亀の合体した姿。方位は北、色は黒、季節は冬を象徴する。
このほかに、中国古代経典『礼記』に記される四霊といわれる四種の神獣がいます。これはとてもめでたい生き物とされ、瑞獣、吉祥獣とも呼ばれます。また、中国神話に登場する盤古の天地創造の力になったとも言われています。
●麒麟(きりん)中国神話に現れる伝説上の霊獣。仁の心を持つ君主が生まれると姿を現す。
●鳳凰(ほうおう)徳と智慧の象徴とも。
●霊亀(れいき)中国神話等では、背中の甲羅の上に神々が住む「蓬莱山」と呼ばれる山を背負った巨大な亀の姿で描かれる。
●応龍(おうりゅう)4本足でコウモリまたは鷹のような翼がある。黄帝に直属していた。
この吉祥獣といわれる物の中には、九尾の狐も含まれています。神々の姿や、恐ろしい生き物などのことも記載されている中国最古の空想的地理書『山海経(ぜんがいきょう)』では、九尾の狐は「青丘山に巣食う怪物は九尾の妖狐」とされ、人を好んで食べる妖怪と記されています。
しかし、後に漢代におこった祥瑞思想(人の善美な行為に応じて、天神がめでたいしるしを降ろすという思想)の発達にともない、吉祥獣へと変化していったそうです。
傾国の美女となった妲己(だっき)や、日本では鳥羽上皇の伝説上の寵姫・玉藻前(たまものまえ)となったという九尾の狐とは、妖(あやかし)というルーツで繋がっており、悪から善へと変化を遂げるのは、とても中国神話的だといえそうですね。
【参考文献】
著者:伊藤清司 慶應義塾大学 古代中国研究会編
書名:『中国神獣・悪鬼たち 山海経の世界【増補改訂版】』
出版社:東方新書
Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。
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