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桃花シリーズに何度もでてきた「劫」とは?|中国時代劇トリビア#49

「運命の桃花~宸汐縁~」をはじめ、桃花シリーズ作品で出てくる日本人にはあまり馴染みのない言葉「劫」。「劫」という言葉そのものは、仏教などインド哲学の用語で、極めて長い宇宙論的な時間の単位として使われています。宗派によってその捉え方はそれぞれですが、ヒンドゥー教では、劫をカルパという独自の時間で表し、1劫 = 43億2000万年として数えられるそうです。

仏教では、歴劫(りゃっこう)修行(しゅぎょう)といわれる修行があり、菩薩が長い間、過去現在未来の三世において転生を繰り返して修行することを指します。道教にも仏教からこうした「劫」の概念が導入され、不老長寿の仙人、またはその上の神仙とよばれる存在になるための修行として、天から与えられる罰や災いである天劫を経験します。この際、昇天への道は非常に長くて険しく困難なものとして考えられています。

 「運命の桃花」場面写真1
「運命の桃花~宸汐縁~」より

宗教的な言葉として捉えるとなにやら難しいこの「劫」ですが、実は私たちの生活の中にも登場する言葉でもあるのです。例えば、「亀の甲より年の功」という、年長者の意見には耳を傾けるべきという意味のことわざの功の字は、もとは「劫」から来ており、齢とともに積んだ経験の貴さやその時の長さを尊ぶ表現となっています。

そして、面倒な時につかう「億劫」という言葉。これは先にあげた1カルマの億倍した途方もなく長い時間を表しており、時間が長くかかるからやりきれない、とか、時間がかかりすぎて面倒くさい!といった意味で用いられるようになったそうです。

「運命の桃花」場面写真2
「運命の桃花~宸汐縁~」より

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。

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