中国時代劇に登場する、不思議な石たち|中国時代劇トリビア#14
ヤン・ミー&イーサン・ルアン主演の大型ラブ史劇「扶揺(フーヤオ)~伝説の皇后~」で、ヤン・ミー演じるヒロインのフーヤオが身に着けている五色石は、謎めいた力を秘めた石として登場します。
このように、中国の物語やドラマには、不思議な力をもつ石が登場してきます。今回はそんな不思議な石のパワーについてご紹介していきます。
"五色石"という言葉を調べると、まず中国の神話に登場する女媧(じょか)の伝説が出てきます。女媧は、天地が割れ、大火と洪水が起きたときに、五色の石を煉って天の崩れを防いだと言われています。この女?の作った石の一つが玉となり、人間界へと送りだされ、やがてその玉の行方は、中国古典小説「紅楼夢」の主人公、賈宝玉が生まれた時に口に含んでいた玉へ...と続いて行きます。
このように中国の物語では、"石"から始まるお話が多く、その代表とされるのは、先にあげた「紅楼夢」、謎の石碑を掘り起こすことから始まる「水滸伝」、山の頂きにある仙石から出てきた石の卵が、やがて猿になる「西遊記」などが挙げられます。
石は、古くから生命の神秘や、超自然的な力と関係するものとして重要視されていました。
女?の伝説をたどれば、そこに登場する石たちには"癒し""天の意志""母性"が示されており、こうした力をつかさどる石は人間が豊穣や調和を祈願する際に補助的な役割を果たす重要なものとして、信仰(雨乞いの儀式や厄除けなどを含む)の対象としても扱われていったのです。
日本にも、九尾の狐の"殺生石"など、中国にある伝承と近しい石があり、つながりを改めて感じたりもします。私たちのより身近なところにある石の力というと、アクセサリーなどの装飾品に使われるパワーストーンがあります。中国ではその中でも翡翠(玉)が特に愛されていて、魔除けや不老不死、さらには五徳(仁・義・礼・智・勇)を高める石として大変珍重され、富豪たちは、第一夫人にはもっとも高価で価値のある翡翠を、第二夫人にはダイアを贈ったそうです。商売繁盛の力もあるということで、中国商人たちは大事な商談の際には、翡翠を身につけてその場に挑んだとされています。
中国商人のドラマと言えば、「月に咲く花の如く」!!このドラマの中で呉聘様が、商談の際には翡翠のリングをつけていました。さらにベテラン商人の呉聘パパ・呉尉文に至ってはリングを複数つけるという、さすがの徹底ぶり!
時代が変わっても、中国では様々なシーンで石の力が利用されていたことが改めて感じられて、面白いですね!
Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。
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<参考文献>
ミネルヴァ書房 編著者 武田雅哉 加部勇一郎 田村容子
「世界文化シリーズ6 中国文化55のキーワード」
法政大学出版局 著者 ジン・ワン 訳者 廣瀬玲子
「石の物語」中国の石伝説と『紅楼夢』『水滸伝』『西遊記』を読む
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