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「孤高の花」から考える、戦うヒロインたち|中国時代劇トリビア#12

乱世の中、類まれなる頭脳を持ち女性軍師として活躍するヒロイン白娉婷の愛と葛藤を描いたドラマ「孤高の花~General&I~」。この物語に登場するような女性軍師、そして戦うヒロインについてご紹介していきます。


「孤高の花~General&I~」より

唐代、明代の小説や伝承の中では男性顔負けの強さで戦う女性ヒロインたちが登場し、人々の人気を集めていました。戦場で自ら武器を持って戦うヒロインたちは「巾幗(きんかく)英雄」(女ものの頭巾をかぶった英雄の意)と呼ばれたそうです。

その代表格となるのが、ディズニーで実写版映画『ムーラン』が製作されたことで再び話題となっている花木蘭。老いた父の代わりに男性の姿になって戦地に向かい、女性だと隠し通したまま12年の歳月を過ごします。

京劇の演目や映画にもなっていて、中国では広く知られている「楊家将演義」は、北宋の楊一族の活躍と悲劇を描いた明代の小説ですが、この中にも文武を兼ね備えた女将軍、穆桂英(ぼく・えいけい)や、男装して馬に乗り、敵地にスパイとして乗り込む楊八姐(よう・はっそ)など魅力的な女性キャラが登場します。

ちなみに、この楊一族を描いた映画『楊家将~烈士七兄弟の伝説~(忠烈楊家將)』(13年)では豪華キャストが起用されており、イケメンすぎる楊家7兄弟が実現!長男楊延平にイーキン・チェン、三男楊延輝はヴィック・チョウ、六男楊延昭にはなんとウーズンが!ロイヤル過ぎる楊家のお話...続きが気になる方は、ぜひチェックしてみて下さい。


フィクションのヒロインたちだけでなく、実在する女性軍師、将軍は果たしていたのでしょうか?

唐代の初代皇帝・李淵の三女・平陽昭公主も"娘子軍(じょうしぐん)"と呼ばれる7万もの兵を統率し、歴史に名を残す女将軍として紹介されていますが、今回は明の軍人で正史に残る唯一の女性武将と言われる秦良玉をピックアップしてみます。秦良玉は少数民族の出身で、彼女の軍はトネリコでできた槍を持っていたため、"白杆兵"と呼ばれたそうです。そしてその素顔は、武力だけでなく胆略智謀があり、教養にも優れ、詩文を好む才媛だったとか。夫の馬千乗に代わって後金の侵入を防ぐために戦い、その後も数多くの賊を退治していきました。聡明な司令塔として兵を率いる秦良玉は、白娉婷のイメージとも重なるように思います。

強くてかっこいいヒロインがどんどん登場してきている中国歴史ドラマ。今後はどんなNEWタイプのヒロインが登場するドラマが作られていくのか、とっても楽しみですね!

「孤高の花~General&I~」より




Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。

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<参考文献>
ミネルヴァ書房 編著者 武田雅哉 加部勇一郎 田村容子 
「世界文化シリーズ6 中国文化55のキーワード」
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