【のむコレ2018特集】シネマート新宿/?斎橋 番組編成担当・野村武寛さんインタビュー
シネマート新宿&シネマート心斎橋の劇場発信型映画祭「のむコレ」。11月3日からのスタートに向け、Cinemartでは「のむコレ2018」の見どころや裏話をお届けしていきます。
今回は「のむコレ」チェアマンかつシネマート新宿/?斎橋の番組編成担当・野村武寛さんに今年の「のむコレ2018」についてお話しいただきました。
「のむコレ2018」公式サイト
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― 野村さんがチェアマンを務める「のむコレ」ですが、今年の方向性みたいなものはどう考えられていましたか?
シネマート番組編成担当・野村武寛さん(以下、野村) 「こうしよう」といった方向性より、今年はまず上映作品をできるだけ増やして、連鎖的に今まで以上に数字が上がればいいなぁという気持ちで始めたかな。
去年は期待以上に来場者数を伸ばせなかったところもあるし、もっといけたかもしれないという反省が終わった後にあって。だから第2回のことは考えないでいようと思ってたんだけど、なんとなく「のむコレ2018」の話がチラチラ出てきたから、2年目やっていいんだって。
でもやる以上は、今年はもう少し作品数を増やせたらいいなと。それで、新たに配給会社の何社かにお願いしてみたら、作品をご提供いただけました。皆さんどうかわかんないけど、言われたら出すしかないよね(笑)。
そうやって24作品が集まって配給会社さんも増えたから。今年もやってよかったんだな、信じていただけてるなら、という想いが一番強いかな。
― 「のむコレ2018」のラインナップは、特集の中の1本ではなく、本興行ができるぐらいビックタイトルが多いと、いままでインタビューさせていただいた皆さんおっしゃっていました。どうしてそれだけの作品を集められたのでしょうか?
野村 それは逆に聞きたい(笑)。もちろん配給会社さんの中で、公開時期とか予算とかDVDリリースとか、いろいろ考えたうえで作品をご提供いただいたと思うんです。でも24本集まってみると、それぞれ作品が際立っているなと。
おそらく韓国映画に関しては、シネマートや「のむコレ」への信頼があったのかもしれない。シネマートは、韓国映画をしっかり集客できる自信があるから。そういうところで、ビックタイトルをご提供いただけたのもあるんじゃないかなって思います。
― 韓国映画で言うと、『The Witch/魔女』はすでに期待されている方が多いですよね。
野村 『The Witch/魔女』は韓国映画を扱う配給会社さんは皆さん注目されていた作品で、話題作だったからね。「本興行で上映しましょう」「1日4回上映しましょう」っていう話もあったかもしれないけど、それでも「のむコレ」のみの上映でいいですって。
『The Witch/魔女』以外にも、『プロミス ?氷上の女神たち?』や『復讐のトリック』、チャン・ドンゴンの『七年の夜』もそうだし。韓国映画は、勝負できるすごい作品を預けてくれたんやろうなと思いますね。
― 韓国映画のほかにも「この作品はお客さんがたくさん入りそうだな」と思う作品はありますか?
野村 シネマートという劇場の力もあって、アジア作品は絶対入ると思います。あとはホラーもアクションも鉄板なんですけど...意外と『バトル・オブ・ブリテン~史上最大の航空作戦~』は注目だと思う。
― 野村さんがご覧になって特に印象に残っている作品はありますか?
野村 『The Witch/魔女』。だって韓国公開から3か月かかってない間に日本でも観れるっていうのは、今までできなかたことだから。(配給元の)カルチュア・パブリッシャーズさんはだいぶお疲れになった思います。すごい集中力と判断などないとこんな事できないので。
― 「のむコレ2018」の上映作品はここでしか見られない作品ばかりなんですか?
野村 うん、ここだけ。今のところ日本での通常公開が決まっていない作品しかない。もうシネマート新宿とシネマート心斎橋でおわり。
― では『The Witch/魔女』も、現状は「のむコレ2018」でしか観られないんですね。
野村 そう。その心意気がすごいなと思う。
― 今年の「のむコレ2018」ですが、短期間に集中的に上映した去年と異なり、今年は長期間かけて少しずつ上映されますよね?具体的にどういった上映の仕方になるんでしょうか?
野村 劇場や作品によって、1日2回上映されるときもあれば週1回上映の作品もあったりする。でも、すごく人気があれば、すぐに追加上映をするつもり。反響があった映画は何回も上映したいから。
実は主要な上映スケジュールはすでに組んであるんです、全部。でも、そういう融通が利くようにしています。それで年末に終わればいいね、ぐらいの感じ。
― お客様の反響によって自由にスケジュールを組めるのは、劇場が主体となって行う映画祭だからこそですね。「のむコレ2018」では割引サービスも話題になっていますよね。
野村 すごいよね。あとは「野村さん割引」をやらないと。苗字が"野村"の人は1回無料。「のむコレ」やし、これはしないとあかんよね。僕も野村さんに会いたいし。
― 1回無料!? "野村"って苗字の方、結構多いですよ!?
野村 そうやねん。でも、それがきっかけでその人たちがシネマートに来てくれたら嬉しいし。「のむコレ」だからできることの最後はとりあえずそれかなって。
― 他の方のインタビューで「映画を観に来る、映画館に来るハードルを下げる」という話があったんですが、「のむコレ」は特にハードルを低くしようという意思の強さを感じます。
野村 ははは!それでお客さんが来てくれたら。そういうところでお客さんにもザワザワしてもらえたら、一ついい宣伝にできたかなって思うよね。
ただ、いろんな人が来るからスタッフは大変じゃないかな。ポニーテールで来られたりとか、「安藤です」って来られたりとか(笑)。
― 確かに受付のスタッフは大変そうですね(笑)。判断も難しいですし。ニコラス・ケイジはどこまで似てなきゃいけない、とか、股割はどこまで開かなきゃいけない、とか。
野村 そこらへんはもう、それで劇場に来てくれたんなら似てなくてもOKな気がする。ノッて来てくれただけでありがたいのに、「似てませんよ」なんて言えない(笑)。「どうぞどうぞ」って感じだと思う。前向きに来てくれたらいいなぁって思いますね。
― ニコラス・ケイジ似の日本人ってなかなかいないと思うんですけど、似てなくてもまずはチャレンジしてほしい?
野村 そうそう。「ニコラスです」って来られたら「はい、どうぞ」ってなるよね。明らかに違っても、その人の努力や勇気がすごいと思うし。ありがたいですよ。
股割でも、チケットカウンターの前で股割してくれるっていうことがありがたいよね(笑)。
― 映画館に行かなくても気軽に映画が見られる時代に、あえて映画館まで来て股割をしてくれるという...(笑)。
野村 その勇気がすごいと思う。ほんとありがたい。だから、割引するのにはそれで十分じゃないかな。
― 「のむコレ2018」では11月2日、3日と前夜祭&オールナイトが行われますが、それ以降も何かイベントなどは予定されていますか?
野村 やりたいなぁとは考えてます。あと、イベントだけじゃなく、全24作品それぞれに何かを用意しています。来場者プレゼントがあったり、ロビーにスタンディがあって写真を撮ってもらえたり。
例えば、来場者プレゼントだと『暴走機関車』『スコルピオ』『ミッドナイトクロス』の公開当時のオリジナル復刻版チラシ、『The Witch/魔女』は韓国版チラシ、『パグ・アクチュアリー ダメな私のワンダフル・ライフ』はポストカードを用意しています。『ザ・ミスト』はフランス版の大型ポスターを抽選でプレゼント。すごいでかいやつ。『霊幻道士Q 大蛇道士の出現!』ではキョンシーのスタンディをロビーに置くのでキョンシーと写真が撮れる。それ以外にも全部の作品にそれぞれ何かしらあるよ。
― 1作品1作品にかなり力が入ってますね。
野村 うん、そこは予算を度外視してでもお預かりしている作品を盛り上げないと、と思っているから。だから、いまプレゼントの制作を担当してくれてるドラゴンフライの古川さんが大変。毎朝メールの受信数すごいことになってる(笑)。
― 古川さんにインタビューさせていただいた時は、「チラシを納品したので僕の仕事は終わり」とおっしゃってたんですが...
野村 さみしいから終わらせたくなかった(笑)。
― (笑)。ということは、そういった特典は全てシネマートが用意しているということですか?
野村 うん。「のむコレ」以外やったら配給会社にお願いする。でも、「のむコレ」に関しては自分たちがやってる。
― 野村さんは、お預かりした作品をいかにシネマートという場で育てるかを考えているんですね。
野村 ありがたい言い方してくれるけど、お預かりした以上はちゃんとお返しできるようにしないとね。ヒットしなかったら終わっちゃうし。
― そういう野村さんだからこそ、『The Witch/魔女』をはじめビックタイトルを預けてもらえたのかもしれないですね。
野村 そこは大切にできたらいいなとはすごく思ってるし、それでうまく来年また形になればいいなって思ってる。来年の時にどれだけ作品が集まるのかが、今年の答えなのかなって思うよね。もし来年「のむコレ2019」ができて、今年以上に作品が集まったなら、「のむコレ2018」に満足してもらえたのかなって。
― 「のむコレ2018」はまもなくスタートですが、感触としてはいかがですか?
野村 今のところ、結果は別としてすごくうまくいってる気がする。みんなも頑張ってくれてるから、うまく形になってほしいなと思う。
僕なんていいとこ取りやと思う。名前も「のむコレ」やし。まぁそこの精神的なタフさは必要やけど(笑)。僕は作品集めてくるけど、現場では宮森とか劇場のスタッフ、デザインの古川さんや宣伝の村井君が頑張ってくれて。それで「のむコレ」がヒットしたら「ありがとうございます」っていわれるのは僕やからね。だからすごいおいしいとこ取りやなって。
― 今年はロゴだけじゃなくて、上映スタイルも、オールナイトのやり方も、割引も、去年と全然ちがいますよね。今後の「のむコレ」も今年のようなスタイルで続けていく予定ですか?
野村 それは違うな。今回は「こんな形でもできるんだな」っていうことだから、あくまでこれはAパターン。でもBもCもあるから、来年はもしかしたらBパターンかもしれないし。それは来年の状況によって。
― 「のむコレ」というよりは、「のむコレ2018」なんですね。
野村 そう、だから来年は全然違う気がする。その時期になってみてからだと思うな。こんな風にしたいなってとか、作品とかも配給会社の人とかも話しながら。
― 劇場発信型だからこそやれる映画祭の可能性を活かしたものができるといいですね。
野村 真似されたら嫌やねんけど、本当は上映したらすぐにDVD売りたいねん。映画を観た後にすぐ買えたら面白いじゃん。DVD付きの鑑賞チケットとか。普通の興行だったら「ちょっと待ってくださいよ」ってなるけど、「のむコレ」ならできることかもしれない。そういうのが出来たらいいなぁ。
でも、何をやるにしても最後に決めるのはお客さんだからね。そう考えると、好きなことできるなって思う。お客さんが来る作品もあれば来ない作品もある。だから「決めるのはお客さんやから」って思って、勝手に好きなこと考える。
― 去年のインタビューでも野村さんがやはり「決めるのはお客さん」とおっしゃっていて、とても印象的でした。でも、すごく怖くなりませんか?どう思われるだろう、こうなっちゃったらどうしようって。
野村 ぜんぜん!それを考えても、結局決めるのは僕じゃないから。そんなところで悩むのがしんどい。それなら、やることワーっとやって、あとは「これ好きじゃなかったんだ」とか「これ気に入ってもらえたんだ」と反応を見て、なるほどねっていう感じ。だから自己満足で「これだけやったのに」とかは思わない。そういう考え方、好きじゃないから。最後に決めるのはお客さんだから、お客さんにお任せしようと思う。
― 「のむコレ2018」たくさんのお客様に気に入っていただけるといいですね!
野村 そうやね!
<おわり>
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「のむコレ2018」
名作映画発掘フェスティバル「のむコレ」が、上映作品24 本にスケールアップして今年も開催?
11 月3 日(土・祝)よりシネマート新宿・シネマート心斎橋にて開催!
「のむコレ2018」公式サイト
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