【韓流お仕事図鑑】声優・内田夕夜さんインタビュー|第1回「美男<イケメン>ですね会」
★★今までの「あなたのもとに韓国ドラマが届くまで」はこちら★★
普段私たちが見ている韓国ドラマ。韓国で制作されたドラマがどのような道のりを経て、日本でテレビ放送されたりDVDになったりするかご存知ですか? この連載は、韓国ドラマを日本のお茶の間に届ける過程に携わる人たちにインタビューをしていく【韓流お仕事図鑑】です。
今回は「師任堂(サイムダン)、色の日記」(以下、「師任堂~」)でソン・スンホン演じるイ・ギョムの声を演じた俳優、内田夕夜さんにお話をお伺いしました。ご自身も俳優でありながら、声優として洋画等や海外ドラマの吹き替えでも活躍され、レオナルド・ディカプリオやウィリアム・フォンなどの吹き替えで知られる内田さん。画面で演じる側でもあり、声を吹き込む側でもある。ハイブリットな活躍をされる内田さんだからこそのお話は必読です!
第1回 「美男<イケメン>ですね会」
第2回 「怨(えん)という感覚」
第3回 「ソン・スンホンの"咳"」
<プロフィール>
内田夕夜(Uchida Yuuya)さん
劇団俳優座所属。レオナルド・ディカプリオ、ライアン・ゴズリング、ジェームズ・マカヴォイなどの吹き替えを多く担当している舞台俳優・声優。海外ドラマや洋画の吹き替えでも数多くの役をこなす。主な出演作に『スーパーナチュラル シリーズ』サム役、『美男(イケメン)ですね』シヌ役など。
内田夕夜さん
― まずは、お仕事の内容について簡単に教えていただけますか?
内田夕夜さん(以下、内田) お仕事は声優です。声優なので、文字に書かれているものを、声を使って表現したり、情報を伝えたりする仕事です。
― どういった経緯で声優のお仕事をされるようになったのでしょうか?
内田 僕は劇団俳優座という劇団に所属しておりまして、舞台俳優を目指してこの"演じる"という業界に入ってきました。
僕は昔から「シャーロック・ホームズ」が好きだったのですが、たまたまNHKの「シャーロック・ホームズ」を見ていたら、舞台人である宮本充さんが物語の中に出てくる声、つまり声優の仕事をやってらしたんです。「こういう仕事もあるんだ」って。今まで、声優は声優、舞台俳優は舞台俳優、と思っていたのですが、「これおもしろいな、やってみたいな」と思いました。
それで、家にあったマイクとコンビニで売っている500円の傘でパラボラマイクのようなものを作り、自分で適当にシェイクスピアのセリフだとか家にあった旅行雑誌だとかを読んで録音したMDを作ったんです。それを事務所の映画放送部に持っていって、「もし声の仕事があるようなら興味があるので、これをデモテープとして出して欲しい」とお願いをしました。
それと並行して、俳優座には小山力也という俳優がいるんですが、彼が海外ドラマの「ER」でジョージ・クルーニーさんの吹き替えをやりまして。俳優座って70年ぐらいの歴史があるんですが、まだ声優っていうカテゴリーがなかった時代に、50歳ぐらい上の大先輩たちはすでに声優の仕事をやってらしたんです。でも、そこからしばらく俳優座では声優の仕事はやっていなかったのですが、小山が「ER」の吹き替えを担当したことで、俳優座でも声の仕事をやる人間がいるということを業界に広めてくれたんです。
それで、たまたま「ER」の日本の関係者の方が、次の作品で「俳優座で誰か良い人いませんか」と声をかけてくださって。ちょうどその時、僕がテープを出していたので、オーディションに行くことが出来、合格して、それでこの業界に入ることができました。
― タイミングがバッチリだったんですね。
内田 そうですね。俳優座で声の仕事をしている人間は何人かいますが、その90%以上が、小山が開けてくれた扉を通ってこの業界に入っています。
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― では次に、日本語吹き替えのお仕事で嬉しかったことを教えてください。
内田 いっぱいありますが、一番嬉しかったのは、たくさんの人と関われるようになったことですね。僕は俳優座の人間なので、周囲にいるのは俳優座の人間や舞台関係者がほとんど。また、俳優座って桐朋学園の演劇科を出ないと、俳優座の試験自体を受けられないという状態だったので、桐朋学園の演劇科から俳優座というルートを通ってきたプロの俳優たち、という狭いくくりの中の人が多かったんです。
でもこの仕事をやるようになってから、当然別の劇団の人もいれば、声優事務所の人もいる。DJからこの仕事をやるようになりましたとか、ナレーターからこの仕事をやるようになりました、とか。そういう様々な人に会えました。
あとはやはり、舞台はその舞台の空間にお客様がいらっしゃってくれないと知り合うことは出来ませんが、声の仕事は多くの人に発信することが出来るので、様々な人を介して、多くの人達に出会うことができました。それが一番嬉しいことですね。
― 放送されれば日本中で、DVDになれば全世界に届けることができますしね。
そんな内田さんの、吹き替えのお仕事での"こだわり"や"意識されていること"はありますか?
内田 吹き替え全般で考えていることで言えば、吹き替えであることを自分でも承知の上で、「日本語版を作っている」という感覚を忘れないようにしています。それが一番注意していることですかね。
©中国伝媒大学電視制作中心、北京東方恒和影視文化有限公司
― では、これからは韓国ドラマでのお仕事についてお伺いしていきます。
今まで内田さんがご担当された作品で、印象に残っている韓国ドラマ、またはアジアドラマはありますか?
内田 パッと思い浮かぶのは、「美男<イケメン>ですね」です。元は韓国版ですが、リメイクされた台湾版も、同じ声優陣で担当させていただきました。(※)作品自体もすごくおもしろかったですし、話題にもなりましたし、いろんなところでリメイクされるほど力のある作品だったと思います。声優陣メインの4人は未だに仲良くて、年に1.2回ですかね、"美男<イケメン>ですね会"があります。
※内田夕夜さんは、カン・シヌの声を担当。カン・シヌは、韓国版ではジョン・ヨンファ(CNBLUE)、台湾版ではジェイコブが演じたキャラクター。
― "美男<イケメン>ですね会"!?とても豪華ですね!
内田 汚い居酒屋で呑んだりするだけなんですけどね(笑)。
― A.N.JELLが日本の汚い居酒屋で呑んでるなんて...(笑)
内田 あと、「美男<イケメン>ですね」はパチンコにもなったんです。4人ともパチンコをほとんどやったことがないから、「ひとりで行くのは怖いからみんなでパチンコしに行こうぜ」って。みんなで集まって、「美男<イケメン>ですね」パチンコをしました(笑)。パチンコからは自分たちの声が聞こえるんですが、パチンコのやり方がわからないから、「何これどうやるの!あ!なんか喋った!」みたいな(笑)。
― 想像するだけで、とても可愛らしいやりとりです(笑)
同じ俳優さんで別の作品を担当される事はよくありますが、同じ作品で別の俳優さんの声を担当される事は珍しいですよね。
内田 そうですね。あれだけリメイクされる作品はなかなかないです。同じ俳優の声を演じさせてもらった作品だと、「蘭陵王」のウィリアム・フォンさんですね。あの作品以降、『TAICHI/太極』や『西遊記』のシリーズでも、ウィリアム・フォンさんを演じさせていただきました。『TAICHI/太極』と『西遊記』は次のシリーズがたぶん出るんじゃないかな?両方ともすごく面白いですよ。それも、「蘭陵王」があったおかげですね。
― 日本でのウィリアム・フォンさんと言えば内田さんということですね!
そのきっかけが「蘭陵王」というのは、発売元のエスピーオーにとってすごく嬉しいです。
内田 「蘭陵王」では水樹奈々さんとご一緒したのですが、収録し始めたのが年末頃からだったんです。水樹さん、紅白の準備ですごくお忙しい時期だったのに、「なるべくみんなと一緒に録りたい」と言ってくださって。収録現場も良い雰囲気だったし、良い作品でしたね。自分としてはすごく面白い俳優さんを持ち役(※)にも出来たので、思い出深い作品です。
※持ち役:一人の声優が、作品を超えて同じ俳優の声を担当すること。内田さんは、レオナルド・ディカプリオやライアン・ゴズリング、ウィリアム・フォンなど持ち役が多数ある。
― 「蘭陵王」は、日本でもファンが多い作品なんです。ウィリアム・フォンさんも人気ですね。
内田 彼は、かっこいいのに三枚目の役も平気でやるじゃないですか。
― コメディ演技も似合う俳優さんですよね。
内田 「蘭陵王」のときも、すごくかっこいいシーンがあったかと思うと、そこまでやっちゃって平気なの?という感じのシーンがあったりね(笑)。
<第2回につづきます>
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BD:21,000円+税/DVD:18,000円+税
発売元:フジテレビ/フィールズ/エスピーオー
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