【インタビュー】「台北ラブ・ストーリー」モー・ズーイー<2>「人生は美しい未来へ進むことができる」
現在、毎日ちょい見せで期間限定公開中の「台北ラブ・ストーリー~美しき過ち」。本作で幼い頃に母を亡くしたことで心に傷を負う繊細な青年チェン・ユーエンを演じたモー・ズーイーに本作について話を聞いた。
※本インタビューは「台北ラブ・ストーリー」が日本DVDリリースされた2013年に実施されたものです。
<1>台湾ドラマ界ではとてもめずらしいこと 2018.11.22公開
<2>人生は美しい未来へ進むことができる 2018.11.26公開
<3>まさに「学校では教えてくれない愛」 2018.11.27公開 ※ネタバレあり※
【プロフィール】モー・ズーイー
台湾の俳優。15歳で俳優デビューし、舞台や映画を中心に活躍。初のアイドルドラマ出演となった「台北ラブ・ストーリー」で演技力が高く評価され、金鐘賞の主演男優賞にノミネートされた。最近ではドラマ「台北歌手」で主演と脚本を務め、第53回金鐘賞の最優秀長編ドラマ脚本賞を受賞するなど幅広く活躍している。
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― ドラマの中で印象に残っているシーンがあれば教えてください。
ユーエンの父ダーシェンを演じられたワン・シーシェンさんとのシーンは結構印象に残っています。彼は台湾ドラマ界の大先輩ですが、撮影中は僕と兄弟のように仲良く接してくださいました。いわゆる先輩風を吹かすようなことも全くなく、とても優しかったです。
そして、演技をしているときは、彼と目を合わせるだけで彼がどういうふうに演じたいのかわかりましたし、お互いの気持ちがすごく通じました。いつもこういうふうに感じながら演じられるわけではありません。本当に素晴らしかったです。
― 親子役ですが、実際のおふたりの年齢は13歳差と近かったですね。
そうですね。ヒロインがこの親子の間で心が揺れ動くという設定ですから、シュー・ユーティンさんも脚本を書くにあたって最初から兄弟のような親子を求めていました。親子にも見えるけど兄弟にも見えるような感じで。
― モー・ズーイーさんご自身はどんな息子さんですか?
わがままです。正直に言うと、あまり親孝行をしていません。本当はもっと親孝行ができる環境にいるのはわかっているのですが、僕はわがままなので自分がやりたいことだけやっています。外ではお芝居に全力をそそぎ、家に帰ってくるとあまり話もせずにひとりでゆっくりしたいと思ってしまいます。家族は大変だと思います。こんなわがまま息子を我慢してくれているので...。
― ヒロイン、マンチン役のリン・チェンシーさんと共演してみていかがでしたか?
彼女はすごく純粋でストレートな人です。芸能界という特殊な世界でずっと純粋でストレートに居続けるのは難しいと思いますし、そういう人はそんなに多くないです。
― まさに、マンチンの役柄に近いですね。
そうなんです。やっぱり芸能界ではストレートな人は他人に気に入られない場合が多いですし、この世界で長く生きている人はまろやかになります。良く言えばまろやかですが、悪く言えばずるく表面的になります。
でも彼女はずっと純粋な心を保ってます。好きなら好き、嫌いなら嫌いとはっきり。いろんなことを恐れない性格は僕にはありがたかったです。
― モー・ズーイーさんもそういう感じがしますよ。
いや、でも僕は言いたくない時は黙りますから。彼女は言いたくない時は言いたくない、ダメなときはダメと言います。僕は言いたくないときもダメなときも沈黙(笑)。
彼女とはお互い社交的な人間じゃないとわかってるので、撮影の合間も気楽に話ができました。3,4か月くらいの撮影のなかで二人のシーンも多かったですし、お互いに初めてのアイドルドラマの主役ということもあり仲間意識も生まれました。今でも連絡を取っています。
― マンチンの3人のママとのシーンもすごく楽しそうでしたが、撮影現場の雰囲気はどうでしたか?
3人のママとは面白いエピソードがたくさんあります。撮影は僕とマンチン含めた5人で一日中撮影することも多かったので、楽屋を5人一緒に使っていたんですね。朝、楽屋に入ってメイクしてもらっていると、ママたちが「ここで衣装チェンジするから見ないでね!振り返っちゃダメよ!」と言いながら着替え始めるんです。で、僕が目をつぶっていると「もういいよー。目を開けていいよー」と言うんですが、それは嘘で、絶対に着替え途中なんです(笑)。
― (笑)。ということは、見ちゃったことがあるんですか?
いや、ないです!僕はわかってましたから。ママたちの「いいよー」が危険だと。なので、「もういいよ!僕はママたちが出てから目を開けます!」っていつも言ってました(笑)。
― 楽しいママたちですね(笑)。
もうひとつエピソードがあります。クランクアップの日です。最後に撮影したシーンはマンチンの家に行って、ママたちとお酒を飲んで酔いつぶれるシーンだったんですが、元々脚本では僕が酔っぱらってソファに横になったところでカットがかかるはずでした。ですが、その日はみんな僕にイタズラしたいと思ってたらしく、ソファに横になっても監督はなかなかカットを言ってくれないんです。それで、ママたちもチャンスだと思い、1枚づつ僕の服を脱がしていきました(笑)。でもカットの声がかからないので、僕は演技を続けなければと思って、そのまま酔っ払いを演じてたんですが、どんどん服も脱がされてしまいついに最後の1枚に...。さすがにやばい!と思ってついに自分で「カーット!」と言いました(笑)。もうやりたい放題です。
― 大人の女の人たちに囲まれてかわいがってもらったんですね(笑)。
現場ではママたちにすごくお世話になりました。撮影の合間には彼女たちがデビューした頃のことや、お芝居の経験などもたくさん話してくださいましたし、あまり身なりを気にしない僕が、毎日同じ古い靴で現場に通っていたら、見かねたチンシアママ(リン・メイシュウ)とシュー・ユーティンさんから靴もプレゼントしていただきました。本当に素晴らしい先輩がたです。
― モー・ズーイーさんご自身は、マンチンのダーシャンに対する愛情は、父親に向けるような愛情と恋人に向ける愛情のどちらか近かったのだろうと思いますか?
僕としては、前半は父親という存在への憧れが強かったと思いますが、後半は恋人に対する愛情になっていたと思います。ダーシェン自身もマンチンに向ける気持ちが、娘に対するような...そんな純粋な思いではないと気付きブレーキかけようとした。
二人とも本当はそっちには行きたくなかったのだろうと思います。でも恋愛は自分でコントロールできないですよね。今、誰を愛するべきか、誰を愛してはいけないのかと理性的に考えようとするけどできない。恋愛のむずかしさですね。
― モー・ズーイーさんが思うこの作品の魅力はどんなところにありますか?
この物語の中でヒロインのマンチンも僕が演じたユーエンも、はっきりいってどちらも人生は不幸から始まった。でも、僕はこの世で生きてる人たちはだれでも不幸な出来事が少なからずあると思っています。そしてこの物語はいくら不幸であっても、人生は美しい未来へ進むことができるということを教えてくれます。それが一番の魅力だと思います。
<3へつづきます>
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「台北ラブ・ストーリー?美しき過ち」DVD情報
DVD-BOX1~3 好評発売中 各9,500円+税
2012年|台湾|音声:オリジナル中国語・字幕:日本語|発売&販売元:エスピーオー c 2012 Taiwan Television Enterprise, Ltd. All Rights Reserved.
公式サイト:http://www.cinemart.co.jp/taipei-lovestory/
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