【インタビュー】「月に咲く花の如く」チェン・シャオ #1「沈星移はずっとそこにいる星」※ネタバレあり※
2017年中国時代劇ドラマ視聴率No.1を獲得し、社会現象となった大ヒットラブ史劇超大作「月に咲く花の如く」。変わりゆく時代のなか、ヒロイン周瑩を一途に愛し続けた御曹司・沈星移を演じたチェン・シャオに「月に咲く花の如く」について話を聞いた。
第1回「沈星移はずっとそこにいる星」 2018.11.8更新 ※ネタバレあり※
第2回「演じることは、視聴者をその世界に連れて行くこと」 2018.11.9更新
【プロフィール】チェン・シャオ
'87年7月5日生まれ、安徽省出身。主な出演ドラマに「後宮の涙」('13)「月下の恋歌 新笑傲江湖」('13)「雲中歌~愛を奏でる~」('15)。'14年の「神鵰?侶(原題)」で共演した台湾女優ミシェル・チェンと'16年に結婚。
★「月に咲く花の如く」公式サイト http://www.cinemart.co.jp/dc/c/tsukihana.html
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―この作品の出演の決め手は何でしょうか?
僕にとっての決め手は、ストーリーが面白いところです。僕の中では面白いドラマと面白くないドラマしかなく、面白いドラマであれば僕は喜んで演じます。
「月に咲く花の如く」は僕とディン・ヘイ監督の2回目の作品になりました。一回目は「大秦帝国」。そして今回も出演させて頂き本当に光栄だと思いました。「大秦帝国」の後、こんな大事な役をやらせて頂けるなんて思っていなかったので、本作のお話をいただいた時はちょっと興奮しながらも、ちょっと緊張もしました。「大秦帝国」の撮影で、監督はすごく厳しい方だと分かっていたので...(笑)。
― チェン・シャオさんから見た沈星移はどのような人物ですか? 沈星移を演じながら、共感できたところ、共感できなかったところはどんなところでしたか?
「月に咲く花の如く」は時代を跨いでいます。沈星移も放蕩息子から愛国者になっていきます。僕は沈星移がすごく豊かな人物だと感じたので、ちゃんとこのチャンスを掴まえて、この役の成長過程を演じることを楽しもうと思いました。
沈星移はすごく多様性があり、成長の波が続いているので、共感できるしリアリティもあります。僕は沈星移みたいに明るくはないです。人間の性格を外向的と内向的と分けると、沈星移は外向的、僕は内向的だと思います。でも、彼のことは理解できました。
― 沈星移を演じるにあたり、役作りはどのようにされましたか?
自分とは性格も違う豊かなキャラクターにチャレンジすることは、僕にとってゲームみたいな感じで、難しければ難しいほど内容が素晴らしくなります。自分がチャレンジしたいと感じている時は特にです。誰かに教えを請うのはいい方法だと思っています。先輩や監督は経験も経歴も僕より多いから、彼らとよく話をすることによってインスピレーションが得られるかもしれない。そういう時に切り口を探せれば、いいものを出せるはずです。皆さんが本作で見た細かい部分や細部の動きなど、その人物がその状況でやりそうな表現は、話し合いから見つけていきました。
― 沈星移は、周瑩のどこに惹かれたと思いますか?また、チェン・シャオさん自身が思う周瑩の魅力とはどんなところだと思いますか?
沈星移と周瑩の感情は(自分でその気持ちに)気がつくのが遅いものでした。誰かのことをすごく愛しているのに、自分はまだ気付いておらず、独占欲だと勘違いしている。感情の話じゃないと思って考えることも避けているのに、いつかある瞬間、何かのきっかけによって急に自分が愛していることに気がつく。でも、実は結構前から相手のことが好きになっていたんですよね。自分では気付いていなかっただけで。こんな感覚は、すごく繊細なものなので僕も演じながら楽しかったです。
沈星移は沈家の次男で、小さい頃から家族全員に大事にされ、自分の意思がなくてもいいから、ゆっくり富裕な人生を過ごせばいいと思っていました。彼はわがままで明るくて、何に対しても誰に対しても偏見を持たない。だから、偶然自分より強い使用人・周瑩に出会い恋に落ちてしまった。彼にとって周瑩はなかなか征服できない馬みたいな存在で、その過程の中で彼女のことが好きになったんです。
― スン・リーさんとは初共演とのことですが、ヒロイン役がスン・リーさんだと聞いて、どう思われましたか?また、実際に共演されていかがでしたか?
正直に言うと、最初はかなりプレッシャーを感じました。事前に勉強し準備をしましたし、プライベートでも脚本についていっぱい相談したり、セリフを練習したり。殴るシーンとかもなるべく本気でやっていました。
そうしていざスン・リーさんと会うと、彼女は周りの人を励ましてくれる方だということに気がつきました。彼女はよく、「シャオ、さっきのシーンの演技がすごく沈星移っぽかったと思うよ。脚本を読んだとき、沈星移はそういう感じだと思ってた」と言ってくれました。彼女の言葉によく励まされて、僕はより大胆に演じることが出来ました。
あと彼女はいつも落ち着いているんです。それが周りの人にも影響するので、僕はいつも自分に「油断するな!このチームは皆前を向いて走っているから遅れちゃダメだ!ずっと走らないと!」と言い聞かせていました。
― スン・リーさんとの共演シーンで印象に残っているシーンがあれば理由も合わせて教えて下さい。
一番印象に残っているシーンは、周瑩が沈星移に心を潰されてしまうシーン(第65話)。このシーンは二、三回撮り直しました。正直に言うと、あれは何回も取り直せるシーンじゃないんです。感情が強すぎるから。僕は、彼女が僕の胸をたたくのを知っていたんですが、あんなに力を入れてたたくとは思わなかった。
このシーンだけでなく、本作でスン・リーさんに殴られるシーンは、彼女がすべて本気でやっていました。後半に重いシーンがいくつかあるのですが、どれも全部本気で演じていました。本気でやらないと感情が出ないから。彼女の力から、周瑩がどのくらい悲しいのかを、どのくらい沈星移を愛しているのかを完璧に感じられます。深い愛がなければ、あそこまで強くは殴れないから。
ただ...あのシーンの撮影が終った後、ちょっと胸が痛かったです(笑)。
― 沈星移の気持ちをなかなか周瑩は受け止めてくれませんでしたが、演じていてもどかしく思ったりしたことはありませんでしたか?
遊んで暮らしている御曹司でも、時代の変化で成長した愛国者でも、時代とともに沈星移は変わっていきますが、ずっと変わらないのは周瑩への深い愛情。若い頃の沈星移はストレートに「好きだ!」と伝えたり「プロポーズをしに来た」と周瑩に粘ったりします。でも色々と経験すると、若い時の情熱を抑えることができ嘘まで言えるようになります。
この二人の感情は元々、あとから気がついたものなので、なかなか叶わなくても大丈夫。二人の関係は、沈星移の名前みたいに、彼はずっとそこにいる星。たとえいつかこの人はもう側にいなくなったとしても、空を見上げたらその星はずっとそこにある。
<第2回につづきます>
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