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「WAVE MAKERS〜選挙の人々〜」から知る、台湾の選挙事情|ドラマから知る台湾のこと #14

この連載では、台湾のドラマ(ときどき映画)を観て感じた小さな疑問をきっかけに、台湾のくらしや文化をご紹介していきます。 

教えてくれるひと:ローズさん
台湾・高雄生まれ、来日9年目。日本の映像系企業に勤務。台湾で10年間劇団に参加し、ドラマを観ることも大好き。言語と文化に興味を持ち、毎日日本人の旦那さんと日台文化の違いを楽しく体験している。将来の目標は台湾と日本の架け橋になること。


「WAVE MAKERS」場面写真1
Netflix

― Netflixで配信中の台湾ドラマ「WAVE MAKERS〜選挙の人々〜」、台湾ですごく話題になっているみたいですね!

ローズ 私もゴールデンウイーク中に全話を一気見してしまいました。テンポが良く、どの出演者も演技が良くて、セリフもとても自然なので観やすくて。ドラマを見ながら台湾にいた時の生活も思い出しましたね。

― ドラマの中に出てくる日常風景は、台湾人にとって結構リアルということ?

ローズ そうなんです! もちろん皆それぞれ違いますが、職場での同僚とのやり取りや、家族との会話などの表現がとても自然で共感できます。一番面白いのは、台湾語、台湾華語、時々英語も混ざって喋ること。台湾人は本当にそんな感じで会話しています。

― 選挙参謀を中心に描かれるドラマですが、劇中の選挙活動も、実際に台湾ではああいう感じなんですか?

ローズ 参謀たちがオフィスで戦略会議を練るところは分かりませんが、表の選挙活動の描写はそうですね。どこに行っても目に入る看板、立候補者が人気YouTuberとコラボしたり、学校で講演会を行ったり。あと政論番組や選挙キャンペーンの様子。全てリアルに描かれています!

「WAVE MAKERS」場面写真2
Netflix

― 大勢の若者が選挙に対して熱心なのも印象的でした。台湾の若者はみんな選挙に対して関心が強いんですか?

ローズ 皆が皆そうではないと思いますが、個人的には2014年3月のひまわり学生運動が、台湾の若者の政治や選挙に対する意識を変えた大きなきっかけだと思います。ずっと「政治はよく分からないから、選挙も私とは無関係」と思っていたけど、ひまわり学生運動を機に、選挙でどんな人が当選するか、それが自分の生活と密接に関係していることを実感した若者は少なくないと思います。私自身もそうでした。民主社会なので、ちゃんと自分の一票で自分が生きる未来を作らなければいけないと思うようになりました。

― 「WAVE MAKERS〜選挙の人々〜」では総統選挙の10ヶ月前から物語が始まり、選挙への戦略や出来事がメインストーリーです。でも、選挙と直接関係していないテーマも描かれていますよね。同性結婚、セクハラ、性差別、家事分担など、大きく言うとジェンダー平等というテーマで、どんな人にも、どこでもありそうなことが描かれます。

ローズ 私も、そこがこの脚本のすごいところの一つだと思います。本作は「台湾初の選挙参謀職人ドラマ」と位置付けられているので、視聴前はちょっとお堅いドラマかと想像していました。でも実際に観ると全然そんなことない、むしろすごく共感できる。ネットでもそういった感想が多くて、劇中のセリフに心を打たれたというコメントもすごく多いです。結局、タイトル「選挙の人々」にある通り、立候補者も参謀たちも有権者も、みんな人間なんです。

「WAVE MAKERS」場面写真3
Netflix

― 本当にそうですよね。日本人の私もすごく面白く視聴していたのですが、同時に台湾の選挙事情を知らなかったので、そこも新鮮で楽しかったです。

ローズ 最後に、台湾の選挙について面白い小ネタを1つご紹介。第一話の冒頭の開票集会のシーンで皆が「ドンスゥアン」と叫び、大きなスクリーンには「凍蒜」と大きな文字で書いてありましたね。

この「ドンスゥアン」、日本語字幕では「勝利を」と訳されていましたが、台湾語の「当選」を意味する言葉です。繁体字の「凍蒜」の発音と似ている為、繁体字で表記する際には「凍蒜」の二文字を当てることが多いんです。ただ、「凍蒜」は直訳すると「凍ったニンニク」(笑)。台湾の選挙期間中、この「凍ったニンニク」のスローガンをよく見かけるので、今度ニュースで台湾の選挙映像を見た時は、ぜひ「凍蒜」のことを思い出してくださいね!

「WAVE MAKERS」場面写真4
Netflix

「WAVE MAKERS〜選挙の人々〜」
Netflixにて配信中
https://www.netflix.com/title/81655481

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