2008年に発売されたゲーム「薄桜鬼~新選組奇譚~」は、出生に秘密を持つ一人の少女と、激動の幕末を生きる熱き新選組の男たちを核に描いた物語である。緻密な歴史背景と大胆な発想で展開されるストーリーと、刹那的な生き方を自ら選ぶ彼らの哀しさや儚さを見事に描き切り、観るものの心を揺さぶった。
命を賭して時代を駆け抜けた「薄桜鬼」のキャラクターたちが、もしもこの平和な現代に生き、さらに舞台が学校だったら、という思いを込めて作られたのが2014年に発売された「薄桜鬼SSL~sweet school life~」である。勉強、部活、友情、恋愛に学園生活を謳歌するキャラクターたちの姿が共感を呼び、スピンオフのゲームとしては異例のヒットにつながることとなる。
実写版「薄桜鬼SSL ~sweet school life~」はそうした意図をくみ取り、ゲームのコンセプトに沿って制作。男子校だった『薄桜学園』が共学となり、ただ一人の女生徒が入学したことから物語はスタート。今まで平穏無事な男ばかりの世界に女子が加わることによって、教師・生徒間のバランスが微妙に崩れ、さまざまな出来事が巻き起こってしまう。
薄桜学園の教頭で古文教師、土方歳三役には中村優一。新選組副長としての厳しさや頑なさを持ちつつ、内面にある暖かさや優しさを見事に表現した。土方を恩師として慕い、風紀委員として生徒達を取り締まる斎藤一役には染谷俊之。真面目で実直な人柄と、内に秘めた情熱を丁寧に織り上げた。人をからかうのが大好きな剣道の達人、沖田総司役には木村敦。飄々と自由に振る舞いながらも、決して本心は見せない難しい役どころを巧みに演じている。彼らの恋のライバルとして、藤堂平助役の石渡真修、原田左之助役の稲垣成弥、「薄桜鬼」オリジナルキャラクターである風間千景役の井深克彦、彼らの恋の矢印を一身に集める薄桜学園唯一の女子生徒、雪村千鶴役に大野未来、と若手の有望株が名を連ねる。また教師陣には、馬場良馬、玉城裕規、特別出演の加藤和樹といった演技派を配し脇を固めている。幕末の命がけの戦いから現代の高校生活へ。刀や槍から教科書や携帯電話へ。時代が変わり場所が変わっても、唯一変わらないもの…それは男たちの大切な人、すなわち雪村千鶴を守り抜くこと。そんな男たちの姿を、ゲームの名シーンも織り交ぜつつ、実写版ならではの迫力で映像をお見せします!