中国にはいつからそろばんがあったの?|中国時代劇トリビア#133
落ちぶれた名門一家の女性たちが、聡明なヒロイン・花芷を中心に、数々の困難を乗り越え前向きに生き抜いていく姿を描いたドラマ「惜花芷~星が照らす道~」。今回もこのドラマの中から、気になるアレを探っていきたいと思います!
中国にはいつからそろばんがあったの?
「惜花芷~星が照らす道~」©2024 Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd. All Rights Reserved.
「惜花芷~星が照らす道~」の商売のシーンで登場するそろばん。中国ではそろばんを「算盤」と呼んでいます。北宋の「清明上河図」にも、薬屋の店先で使われている「算盤」が描かれているくらい、古くから使われているこの道具が、中国のいつの時代に発生したのかは、漢代・唐代・宋代・元代・明代節……と、かなりの説があるそう。
漢代説として登場するのは、「数学の聖人」として崇められた後漢の天文学者・劉洪を祖とするもので、彼の弟子である徐岳が記した「数術記遺」の中に、劉洪やそろばんに関する記述があったことから、漢代説とされているそう。この「数術記遺」に書かれたそろばんが、古代ローマで使われていたアバカスというそろばんによく似た計算盤に起源を発したもの、という考え方もあるとか。
「数術記遺」が書かれたと推察されているのが漢の時代の紀元前202年頃から紀元220年頃までの間で、この時代の交易の際に、古代ローマで使われていたアバカスが中国に伝わり、これが中国式算盤に改造され、使用するようになったという考えで、ローマのそろばんが中国に伝わり、さらにそれが日本に伝わった…という説も研究者からは挙げられているそうです。
一本の棒や溝に、いくつか珠が通されたシンプルな形状であったローマ式そろばんのアバカスが、上に二つの珠、下に五つの珠を通した「算盤」型に改造されたのは、中国人による創意のもので、中国人の数計算の必要から生まれたものともされているとも。
そしてこれらとはまた違った考え方では、「算盤」は春秋時代の籌算という算木と呼ばれる一組の棒を用いる一種の器具代数術が進化したものとされていたり…と、調べてみると実に様々な説を目にすることができます。
そろばんの起源にご興味がある方はぜひ、さらに詳しく調べてみても面白いかもしれませんね!
「惜花芷~星が照らす道~」©2024 Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd. All Rights Reserved.
【参考文献】
J.M.Pullan 塩浦正男訳 みすず科学ライブラリー46 『ソロバンの歴史 計算法の変遷』 みすず書房
【参考資料】
大众日报『我为家乡代言|山东蒙阴刘洪,“古代计算机”——珠算奠基人』
百度『算盘』
提供:エスピーオー/BS12 トゥエルビ
発売元:エスピーオー 販売元:エスピーオー
https://www.spoinc.jp/official/sekikashi/

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。
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