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最新台湾ドラマ|性や結婚のリアルを赤裸々に描いた「今夜一起為愛鼓掌」、台湾で配信スタート

ニュース提供元:壹壹影業

 
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結婚や不妊、親子間のトラウマ、嫁姑など、近しい間柄の問題を掘り下げた映像作品に対し、視聴者の反響が顕著に高まる昨今。そんな中、台湾のNetflixで17日から配信開始したドラマ「今夜一起為愛鼓掌(原題)」が話題を呼びそうだ。同作は、女性の成長や性に対する価値観を通した「性の癒やし」がテーマにも見えるが、実際には結婚や恋愛における核心的な課題を深掘りした「心の癒やし」がテーマ。性的自立、ワークライフバランスなど、恋愛や結婚で見過ごされがちな問題を、大胆かつ繊細なアプローチで掘り下げる。

性に関する個々のカウンセリングを通してパートナーとの関係や感情を探っていくため、性的なことにも率直に触れ、特に女性が自分の欲求や許容範囲を意識することの大切さに焦点を当てている。性セラピストの張佳晨を演じるシェリル・ヤン(楊謹華)は、「多くの人は、問題が悪化したり身体がサインを出したりするまで性について語ることを避け、向き合おうとしません」と指摘する。身体の自己決定権や性教育に関しては、タブー視するのではなく、誰もが学ぶべき基礎知識であるべきだ。さらに「劇中では、例えばクリトリスをクリちゃんと婉曲的に呼ぶようなことはしません。目や鼻と同じ身体の一部なのですから」と説明。率直で健全な姿勢を通じて、より多くの人々が自分の体を正しく理解し、自分を守る方法を学ぶことができる。しかし、性に対する考え方については、役柄とまったく異なるようだ。「佳晨は肉体的な一線が比較的緩く、楽しければ一夜の関係も受け入れるし、異性に関してもオープンな価値観の持ち主。私はどちらかといえば保守的で、気持ちを確認してからでないと親密な関係には進めません」と明かした。


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性の問題のほか、家庭内のコミュニケーションについても深く掘り下げる。Ella(陳嘉樺)が演じる青語と、ヤン・ヨウニン(楊祐寧)演じる夫の阿哲が陥るのは、コミュニケーションの行き詰まりだ。互いに愛はあるが、些細なことで口論し、それを避けるために今度は黙り込む。こうした問題は夫婦だけでなく、嫁姑や家族、友人の間でもありうるが、主演のシェリル・ヤン、Ella、ヤン・ヨウニンの3人は、コミュニケーションで大切なのは「直接口に出すことが肝心」だと口をそろえる。ヤン・ヨウニンは、「穏やかなコミュニケーションであろうと、たまの言い争いであろうと、すべては相手に自分をより理解してもらい、互いの関係を深めるためのものです」と、あらゆるコミュニケーションを肯定。Ellaは「会話には訓練が必要です。私は、理性的に落ち着いて穏やかに話すようにしています。感情的にならなければ、相手をむやみに傷つけることも避けられるはず」と、自身のアプローチを示した。シェリル・ヤンも「良好なコミュニケーションは勝ち負けを競うものじゃなく、お互いを理解し、相手の考えを尊重すること。最適な落とし所を見つければ、より健全で調和の取れた関係を築けます」と語った。


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夫婦間の「生活習慣の違い」についても、ネット上での議論がますます盛んだ。劇中でも「油でベタベタの手を服で拭く」、「食べ物の汁を床にこぼす」など、些細な生活習慣の違いが原因で青語と阿哲が口論するシーンが描かれる。娘二人の父親であるヤン・ヨウニンは、「女子寮に住む者としては、全男性諸君にトイレは座ってすることをお勧めします」と、ユーモアたっぷりにアドバイス。Ellaは、「息子が手を洗った後、手を拭かずに床を濡らして滑って転んだことがあるんです。そこですかさず、『手を洗った後とお風呂上がりは、ちゃんと拭こうね。そうすれば床が濡れないんだよ』と教えました」と、自身の育児体験を披露。一方、シェリル・ヤンは「昔は寝るのも起きるのも遅い生活のせいで、体調が悪くなりモチベーションも下がっていましたが、ワークライフバランスを整えたら、心身の安定を取り戻せました」と、悪習慣を改善したことを明かした。

あるネットユーザーによると、青語というキャラクターは、常にルールに従って自分の欲求は抑えこみ、内なる心の声に耳を傾けたことがない古風な女性のステレオタイプを象徴していると指摘。そんな青語を説得力たっぷりに演じたEllaは、全女性に向けて「私たちは誰もが特別な存在です。もっと自分の声に耳を傾け、自分を守らなければなりません。自分を抑圧したり目を背けたりするのではなく、真の欲求を知ることで、心と体を守ることができるんです」と、温かく激励。シェリル・ヤンも「青語のように自分探しをしていても、佳晨のように自分らしさを貫くタイプでも、一番大切なのは自分を大切にすることです」とし、さらに自分を知る勇気を持ってほしいとエールを送った。

「今夜一起為愛鼓掌」は、台湾のNetflixで配信中。


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翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。

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