中国時代劇は宮廷ドラマが面白い《後編》「尚食(しょうしょく)~美味なる恋は紫禁城で~」に見る4つの新しい視点
© 2022 Huanyu Entertainment Co., Ltd.
「尚食(しょうしょく)~美味なる恋は紫禁城で~」は宮廷ドラマらしい面白さがあるだけでなく、新しい視点が採り入れられている点も多くの視聴者から支持され大ヒットした理由。ドロドロとした闘争劇の描写は控えめで、現代人がより共感しやすいリアルな人間ドラマが描かれています。
そんな新時代の宮廷ドラマというべき本作の新しい視点を解説します。
《前編:「尚食(しょうしょく)~美味なる恋は紫禁城で~」がすごい4つの見どころ》
「尚食(しょうしょく)~美味なる恋は紫禁城で~」に見る4つの新しい視点 目次
【新しい視点1】現代的な価値観の自立したヒロイン像
【新しい視点2】皇族たちが見せる人間味のある素顔
【新しい視点3】寵愛を争わない宮廷の三角関係
【新しい視点4】対立するのではなく連帯する女性たち
・ 放送情報
【新しい視点1】
現代的な価値観の自立したヒロイン像
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尚食局で働く料理人・姚子衿(ようしきん/ウー・ジンイエン)は、皇太孫・朱瞻基(しゅせんき/シュー・カイ)に食事を届けるようになり、彼と愛を育んでいきます。しかし、彼女が求めるのは後宮に閉じ込められる妃になることではありません。そんな自分の信念もはっきりと彼に伝えます。
そんなふうにヒロインが自分らしく生きるために奮闘していくのが共感できるところ。彼女が運命に翻弄されながらも、恋愛においても仕事においても自立した現代的な価値観を持って、皇后への道を歩んでいくことになるストーリーに注目です。
《ココにも注目!》ウー・ジンイエンが演じる痛快ヒロイン
「瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~」で女性版“半沢直樹”と言うべきヒロインを演じたウー・ジンイエン。穏やかな笑みの裏に強い意志を秘めた姚子衿役もはまり役です。
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【新しい視点2】
皇族たちが見せる人間味のある素顔
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宮廷ドラマと言えば、皇帝たちが贅沢に暮らす様子をイメージしがち。でも、本作はそんな皇族たちのきらびやかな面だけでなく地味な日常生活も丁寧に描写、日々の食事や趣味を楽しむ普通の姿も描いていきます。
特に朱瞻基が絵を描いたり詩を詠んだりするだけでなく、姚子衿との何気ないやり取りの中で喜怒哀楽の表情を見せてくれるシーンはときめき満載。高貴な身分である朱瞻基が人間味のある一人の男性として描かれ、彼の視点から改めて新鮮な気持ちで歴史ストーリーを見ることができます。
《ココにも注目!》シュー・カイも共感したキャラクター
皇太孫、皇太子、皇帝と成長を続けていく朱瞻基。これを演じるシュー・カイはインタビューで、「朱瞻基が家庭や家族を大事にする人物という点がとても共感できた」と語っています。
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【新しい視点3】
寵愛を争わない宮廷の三角関係
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史実では、朱瞻基の即位後、皇后の胡善祥(こぜんしょう)は男子を産まなかったことで廃位され、代わりに朱瞻基に寵愛された孫氏が皇后に立てられました。そんな三角関係はこれまでのフィクションでは、二人の妃が寵愛を争う物語として描かれることが多かったと言えます。
でも、本作の胡善祥は朱瞻基に心を許さない女性として登場、皇后の交代劇は新たな解釈で予想外の経過をたどります。思いやりに満ちた朱瞻基と、それぞれの決断をする女性二人。彼らの関係性からも目が離せません。
《ココにも注目!》胡善祥役は役どころが広いジャン・ナン
自分の殻に閉じこもった胡善祥役を演じるのは、「双燕秘抄 乱世を舞う二羽の絆」「伝家~華麗なる一族~」のジャン・ナン。様々な役どころを演じられる芸達者な彼女の好演にも注目です。
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【新しい視点4】
対立するのではなく連帯する女性たち
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これまでの宮廷ドラマは寵愛や権力を巡って女性たちが手段を選ばない闘いを繰り広げるのがお約束の展開でした。でも、姚子衿は尚食局で貧しい出身の殷紫萍、彼女をライバル視する蘇月華と切磋琢磨する中で、たとえ対立することがあっても相手を理解する努力をして、助け合う関係になっていきます。
さらに、朱瞻基に嫁いでからも自分を見失わず、女性たちと連帯していく姚子衿。欲望と嫉妬が交錯するドロドロの闘争劇ではなく、友情と思いやりに満ちた心温まる“シスターフッド”のエピソードを観ることができて、癒しと感動を味わえます。
《ココにも注目!》シスターフッドも人気のテーマ
近年、中国時代劇は「清越坊の女たち〜当家主母〜」「夢華録」など、虐げられる女性たちが手を携えて人生を切り拓いていくシスターフッドをテーマにした作品が増えています。
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2024年12月3日(火)より放送
毎週月曜~金曜15:00~16:00(尺:60分)
※1月1日~3日休止
2022年/40話/字幕
https://www2.myjcom.jp/special/jtele/
TEXT: 小酒真由子(フリーライター)
映画界・出版界での会社勤めを経てフリーライターに。アジアから欧米までドラマについて執筆しています。双葉社『韓国TVドラマガイド』にて「熱烈推薦!! 中華ドラマはこうハマる!」を連載、Cinem@rtにて「『山河令』の台詞を読み解く」「アジアドラマの処方箋」などを執筆。
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