インタビュー|『流転の地球-太陽系脱出計画-』原作者 リウ・ツーシン(劉慈欣)
ヒューゴー賞受賞SF小説「三体」原作者による同名短編小説を基に豪華キャストで映画化した『流転の地球 -太陽系脱出計画-』が、3月22日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー。
この度、原作小説『流浪地球』の著者、リウ・ツーシン(劉慈欣)さんのインタビューが到着した。
リウ・ツーシンさん
——『流転の地球』や『三体』など、リウ・ツーシンさん原作の作品が相次いで映像化されておりますが、ご覧になった感想を教えてください。
リウ・ツーシン 原作者として、自分の物語が鮮やかで壮観な映像に変わるのを見るのは、とてもエキサイティングで衝撃的です。「三体」と「流浪地球」2つの小説の映画化やテレビ化は大成功を収めました。「流転の地球」は中国初のSF超大作シリーズで、SFコンテンツの特殊効果や映画技術の面で非常に高いレベルに達していますし、「三体」のTVシリーズは、エイリアン文明の侵略という超越的なテーマをリアルなトーンで表現し、原作の内容を的確かつ鮮やかに豊かな映像に変貌させており、劇中のキャラクターも非常に良いなと思いました。
——『流転の地球-太陽系脱出計画-』はエピソードゼロで原作にはないオリジナル脚本となりましたが、リウ・ツーシンさんは内容にどのように関わられたのでしょうか?
リウ・ツーシン 『流転の地球-太陽系脱出計画-』のプロットは原作とはかけ離れていますが、とても良い話だと思いますし、小説を書いていた時に、なぜこのようなアイデアを思いつかなかったのだと深く後悔しています。撮影時期がちょうど新型コロナウィルス流行の時期でしたので、脚本を提案するくらいで、撮影自体にはあまり参加しませんでした。なぜなら小説と映画は別物であり、映画には独自のルールや表現方法があるため、映画の制作は制作チームが主体であるべきだと常々から考えているからです。
——ハリウッド大作と比べても全く見劣りしないスケールだったと思います。中国のSF映画及び中国映画の進化についてどのように考えられてますでしょうか?
リウ・ツーシン 『流転の地球』に関しては、進化というのではなく、リープフロッグであって、これまでの中国SF映画を遥かに超えたと思います。中国では、これほどの巨額の予算と壮大な物語のSF映画は経験がなく、もし私が事前に知らされずに見ていたとしたら、このような質の高いSF映画が中国で作られているとは信じられなかったでしょう。
しかし、「流転の地球-太陽系脱出計画-」は、中国のSF映画の現状を象徴しているわけではありません。中国映画の長い歴史の中で、SF映画は散発的にしか作られておらず、経験や才能はまだまだ不足しています。SFを作るのに必要なのは、産業システムではなく、創造的な概念と考え方の面だと思います。SF映画には創造性と革新が成功の鍵であるので、これまでのリアリズムを追及してきた中国映画にとって、この分野でのスターの育成と未来への革新的な思考の形成が必要なんだと思います。
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——SFはアイデアが何にもまして重要かと思いますが、これまで影響を受けた作家や作品がございましたら教えてください。
リウ・ツーシン SF文学では、アーサー・Ⅽ・クラークやジョージ・オーウェルの影響を受けました。前者からは宇宙の広い視野と現実を超越する魅力を、後者からはSFがリアリズム文学にはない独自の視点で現実を深く反映できることを私に教えてくれました。その他の文学では、レフ・トルストイに深く影響を受けました。私が自分のSF小説で情熱を注いでいた壮大な物語は、おそらく彼から来ています。
——近未来を描くSF作品には、未来や人類への提言などのメッセージが含まれることが多いですが、リウさんの作品には、希望が織り込まれていると思います。それはなぜですか?
リウ・ツーシン 私は人類の未来について断固とした楽観主義者で、人類の未来は明るいと信じています。しかし同時に、私は合理的な楽観主義者でもあり、明るい未来への道は危機と罠に満ちていて、文明の衰退や破壊を避けるために人類は常に正しい選択をする必要があると思っています。進歩と開拓の精神を持ち続け、テクノロジーによって地球上の生活がいくら快適になったからといって、宇宙探査をやめないことが大切だと思っています。
——日本の観客へのメッセージをお願いします。
リウ・ツーシン 日本の観客の皆さん、こんにちは、春のご挨拶を申し上げるとともに、SF映画が私たちをつなぐ架け橋となり、共通の希望と夢を見い出し、共により良い未来に向かって進んでいくことを願っています。
2024年3月22日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
2023年/中国/中国語・英語/173分/カラー/ビスタシネスコ/5.1ch/DCP/原題:流浪地球2/英題:THE WANDERING EARTH Ⅱ/
字幕翻訳:神部明世/字幕監修:大森望/配給:ツイン
https://rutennochikyu.jp/
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提供:ツイン
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