「沈香の夢」の四大神器、そのモデルになったものは?|中国時代劇トリビア #110
「霜花の姫~香蜜が咲かせし愛~」のヤン・ズーと、「琉璃~めぐり逢う2人、封じられた愛~」のチョン・イーの共演が話題を呼んだファンタジー時代劇「沈香の夢」。四葉の蓮の精のヒロインと、魔族の血をひく神仙との切ない愛と輪廻を壮大なスケールで描いたこのドラマ。今回は本作に登場する重要なアイテムについて調べていきます!
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近年、中国時代劇では劇中に登場する古代中国の歴史的および文化的シンボルの表現にますます注目が集まっており、伝統的な中国文化を復活させる傾向を引き起こしていると分析されています。なかでも、ファンタジー色を強調した仙侠ドラマは、伝統的な文化要素も特出しているジャンルになるのだとか。
ドラマ「沈香の夢」にも、“四大神器”というアイテムが登場。これらに関して“古代中国の歴史的な文化遺物に基づいてデザインされている”という意見が中国のネットに投稿され、話題を集めたそうです。重要なアイテムとして描かれる4つの神器、いったいどんなパワーを持ったものなのか? そのアイデアは何から生まれているのでしょうか?
まずは四大神器が登場する場面を振り返ってみましょう。
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東極青離帝君・応淵(チョン・イー扮)が人間界に降りて唐周になった後、仮面の男の陰謀により、唐周を守っていた仙衣が破れて力が溢れ出してしまいます。力の減少を食い止め仙力を復元するためには、各地に散らばった“四大神器”を見つけ出さなければならず……。
ここで登場する神器が「理塵、楮墨、地止、七曜神玉」の4つ。原作小説の中では、七曜神玉は魂を浄化する働きがあり、彝族が法器として保管するものでした。楮墨は魔相を開く法器、理塵は鏡の法器、地止は山の中に埋められていて、これは応淵の法器とされています。
続いて、ドラマに登場するバージョンの神器について詳しく見ていきましょう。
神器1:地止(ちし)
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地止は、応淵帝君の神器。上部は自由に開くことができる8枚の花びらで構成され、中央部はくり抜かれたねじれた枝のパターンで包まれ、輝く後光がわずかに現れます。
デザインのモデルとしては、「金銅八弁蓮華曼荼羅」のような仏塔や、古代の香炉などが考えられるとか。大地や山、岩を砕く力を持つ一方で、癒しのパワーを持ち、人々を守ることもできます。
この神器の力は強力で、使用する者が善意を持つ者であれば民を守ることができるけれど、悪意を持つ者であれば災いを引き起こすこともあります。この神器は光明であり、応淵の迷いを払って進むべき道を照らし、その光で三界を守ることを常に彼の心に思い出させる役割を持つものとなっているそうです。
神器2:理塵(りじん)
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理塵は、昭聖帝君の神器。僧が用いる法具の払子(ほっす)のようで、迷いや障害を一掃する力を持っています。
制作の際に数多くの宗教用具や祭器を検討した結果、払子の特徴と蓮の花のデザインを組み合わせ、金・銀・玉の質感を表現したそう。
蓮は神聖な花として宗教用具にもよく使われ、製作者によると、蓮の花は花の中の君子であり、品格も高尚で泥の中でも外界のあらゆる誘惑にも揺るがず、高潔さを維持するイメージの象徴となる、ということなのだそう。
神器3:七曜神玉(しちようしんぎょく)
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七曜神玉は、湾雲帝君の神器。魂を浄化し、寿命を奪う力を持っています。
七曜神玉は、象牙などで作られる「同心球」がモデルとなっており、この中国古来の工芸品の技術、複雑な職人技と絶妙なデザインは世界でも類を見ないものだとか。
底部は 3 つの趣のある金と銀の獣で支えられ、七曜神玉の神聖さと厳粛さを示しています。
神器4:楮墨(ちょぼく)
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楮墨は、長生帝君の神器。楮墨のデザインは、硯と墨がもとになっています。
硯と墨は中国伝統の文房四宝であり、古くから文人、書家、画家に愛され、文化の普及に重要な役割を果たしました。楮墨にあしらわれた「錯金銀」という技法は国家無形文化遺産の一つで、殷(商)・周時代の青銅器に初めて見られる重要な装飾技法。
楮墨は魂を蘇らせることができ、失われた命を生まれ変わらせる力を持っています。
中国伝統の文化が積極的に取り入れられ、ドラマを成功させるための“魔法の武器”になっている…と評されるのも、中国時代劇ならでは!で、面白いですね。
Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。
「沈香の夢:前編~蓮の花芳る時~」
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発売・販売元:エスピーオー ©2022 Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd. All Rights Reserved.
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